鬼門の村
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| さえない大学生が大学教授の依頼で、ラジオの実話怪談投稿を整理していく。ただし条件は、調査中は田舎の村にある、一家惨殺事件が起きた一軒家に滞在すること。投稿内容を読み解いていくと実は……という驚きがあっておもしろかった。何より実話怪談が一つ一つちゃんと怖い。 | ||||
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| 主人公である青年の家庭は、再婚を経て既に青年を家族という枠から用済みと突き付けた事により、青年の最後の微かな希望さえ酷く傷つけ青年をある意味で解き放ってしまった。 また、青年を見いだした教授も、若くして母を失っている。そして不貞を働く父を恨んでいた。 この2人は決してマザコンとかではない。家庭を、母(妻)を顧みなかった父親が共通点であり、そして青年の向かった村で代々行われていた依代(ヨリ)を辱める行為の末その依代達の溜まりに溜まった怨念の思いが、いわば、ヨリ(達)+(トヨ子)そして青年、教授の三者三様であれど行き着いた思いの先が一致しただけの事である。 それだけの事で、地獄の蓋が開かれてしまうのか?世界は、私達は巻き添えになるのか?関係ないのに? そう、思ってしまうだろうか。 私はそうは思わない。もし、それだけの事で、と思えてしまうならば、それは私達が当事者ではなく、また彼らの味わったそれぞれの壮絶なまでの絶望と悲しみと怒りと恨みの気持ちの深さを知らないからだ。 他人とっては、そうでない事も、当事者にとっては、こんな世界なぞどうにでもなってしまえ、むしろ地獄と化してしまえ。と思う気持ちにすらなるという事なのだ。 もちろん、まったく無関係な者たちもいる。 だが、それだってどうでもいいのだ。 自分達が味わった苦しみの前では、何もかも。 あくまでだが、私は青年が 4 だけの返信を貰った事で、その返信を打ったのが恐らく父親ですらなく再婚相手であろう事に、青年がかろうじて縋っていた父親への、自分にまだ何かしらの父親と期待と情があったこと、そのなけなしから綺麗さっぱり解き放たれた事への解放感を感じた。 青年が教授に利用されたように(また、教授もヨリ達によって)心の底を嗅ぎ取られて利用されていたのかもしれない。青年もまた、少女を利用し、村から連れ出す事で、地獄を、怨嗟を解き放つ、きっとその中には、これまでの慰み者にされたヨリの地層のごとく積み重なった恨み悲しみ、ヨリの他、村に押し込められていた者たち、教授、青年の思いの澱も加わっているのだろう。 それは、ある者にとっては、理不尽であり、ある者にとっては待ち望んだものであり、ある者にとっては見覚えがあり、ある者にとっては爽快でもある。だが、 地獄とは─── きっと、そういうものなのだろう。 あと、文体がとてもまろやかで読みやすくて好みでした。 | ||||
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| 映画化を明らかに意識しているとおもいます。映像にすれば猛烈に怖いです。予備知識なければ漏らします。夜は一人でトイレ無理、もといシャンプーも無理になるんじゃないですかね。 ただし、本ですと、結構読解力が必要です。私が足りないからだとはおもいますが、人間関係(血縁関係)と、位置付け、さらには物理的な所在地の位置関係を理解しておかないと「良くわからない」だけでなく、作者の大仕掛けにもきがつくのが困難ではないかとおもいます。 この点で1点へらしてしまいましたが、普段は読まないのに、なぜか買ってしまい、一気によんでしまいました。それだけの面白さはあり、面倒でなければ関係をプロットしながらすすめれば腹落ちもバッチリではないでしょうか。 私は最後までよみ、一定戻りながら読み干しました。佳作であり傑作だとおもいます。 | ||||
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| 視点人物の友部の造形が絶妙です。冴えない男。周囲からキモがられる男。家族からも弾かれた男。信じた人間に利用される男。救った女性に後日捨てられるであろう男。現実世界で決して主役にはなれない男。自分も含めて本書の読み手の五割に当てはまるであろう見事な設定です。ツボに嵌まった読み手なら、冒頭から一気に作品世界に引き込まれるのは間違いありません。しかも、友部の平常心とラストの決断力も見事です。それまでに友部と一体化しているであろう五割の読み手にとって、爽快な読後感が得られます。 ラジオリスナーの体験談の面白さも半端ではありません。惜しむらくは、グロすぎない程度に、友部にもう少し怪異体験をさせたほうが臨場感が増して良かったのではないかと。しかし、それも些細なことです。 櫛木先生の過去作には正直乗れなかったのですが、本作は素晴らしい。今後もぜひこの路線で行ってほしいものです。 | ||||
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| 人に奪われてはいけない。流されてもいけない。そのためには強くならなくてはいけない。なんて事を思いました。 | ||||
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