水曜日ラビはずぶ濡れだった
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ボストン郊外の町バーナード·クロシングを、非常に強い勢力のハリケーン"ベッツィ"が襲った夜、金貸しのオヤジが、感染症で腹を下し、医者に処方された薬を飲んだあと、死ぬ。 本人はペニシリンアレルギーだったので、医師はペニシリンでない薬を処方したのに、薬局から送られてきた瓶に入っていたのは、ペニシリンだった。 その薬を届けたのは、医師でも、死んだオヤジの家族でもない、たまたま店に居合わせた客。 薬局は、大型ショッピングモールの建設のため立ち退きを迫られていた。 薬を届けた人間は、薬局に立ち退きを迫っていた不動産会社の男だった。 また、薬局の主人、息子、妻は、金貸しオヤジにそれぞれ恨みを持っていた……。 ……犯人は誰でしょう? ……例によって、バーナード·クロシングのラビ=ディビッド·スモールが、じわじわと事件の真相にせまって、全部で264ページのうち、最後の13ページで謎を解き明かす。 ……因みに、バーナード·クロシングというのは、架空の街なので、地図で探しても見つかりません。 ……でも、ハリケーン"ベッツィ"は、実際に1965年にアメリカ各地を席巻しました(Wikipedia調べ)。 ……長年"街の薬局"として、誠実に仕事をしてきた主人と、それを認めながらも反発する息子。 ……昔ながらの商店街の土地を売って、新しく教会の施設を作ろうとする街の教会の役員。 ……それに反発して、またしても窮地に追い込まれるラビ。 ……各人各様の、人間模様が描かれて、しかも、誰もがよく目にするような、人間同士の葛藤や衝突が、浮き彫りにされていて、その、"人間ドラマ"の方が、メインみたいな話です。 ……実際、この"ラビ·シリーズ"の魅力は、その"人間模様"の方だと思います。 ……それと、各人が、それぞれ自分の利益や都合で考え、行動しているときに、ラビだけは、それぞれの立場と言い分を、摺り合せて、最も適切な解決法を探ろうとする。 ……そして、最終的には、ラビがしたことのために、八方丸く収まる……ということになります。 ……まあ、実際の現実の物事は、そんなにうまくはいかないと思うけど……。 ……ラビみたいな、自分の利益は後回しにして、いろんな人のいろんな立場や考えをを考慮して、適切な判断を下せる人が、どの町にも一人くらいずついたら、今世の中にある、様々な対立や問題は、かなり……少なくとも多少は、解消されるかもしれない。 ……そういう"理想像"を描いていると思います。 ……また、見るからに強欲で、自分の利益しか頭にないような、我利我利亡者のことも、頭から否定することなく、その立場や考えを理解しようとするラビ=つまり作者の考え方にも、共感が持てる。 ……いろんな意味で、読む価値のある本だと思います。 ……私が買ったときは、2500円(送料300円)=中古でした。 ……もう絶版になっているので、プレミア価格です。 ……いい本なので、是非出版社の方で、再版してほしいです。 ……それと、ハリィ·ケメルマン著の"ラビ·シリーズ"で、まだ日本語訳が出ていないのが4冊(私の知る限りで)あるので、その本の日本語訳も、出版してほしいです。 | ||||
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1964年に始まったラビ・スモール・シリーズの第5弾。ラビ(ユダヤ教の律法学者)がタルムードで使う論法を応用して解決するという設定は変わらない。地方のユダヤ人コミュニティーの複雑にからみ合う人間関係が事件の背景や伏線になっているのも変わらない。 高利貸しのケスラー老人が嵐の晩に変死を遂げる。老人の息子の言い分では、医師に処方された薬を飲んでから容態が急変したという。その薬は医師が薬局に頼んだものを、薬局の別の客、警官を通して患者まで届けられている。これは過失なのか、巧妙な殺人なのか。 トリックというほどのものはなく、利害関係をたどると犯人の目星はつく。その利害の論理をたどることが、当時の世相を物語ることにもなる。キリスト教や仏教のような信仰方法を取り入れようとする教区の新会長、カルト教団のように尊師(レバ)の指導をあおぐ薬屋の息子が登場し、彼らや他の人に対し、保守派のラビが説くユダヤ教の信仰は、合理的で常識的でリアリティがある。事件の謎解きとは無関係のこうした護教論が、このシリーズの魅力なのだ。推理小説としては失敗かもしれないが。 | ||||
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1964年に始まったラビ・スモール・シリーズの第5弾。ラビ(ユダヤ教の律法学者)がタルムードで使う論法を応用して解決するという設定は変わらない。地方のユダヤ人コミュニティーの複雑にからみ合う人間関係が事件の背景や伏線になっているのも変わらない。 高利貸しのケスラー老人が嵐の晩に変死を遂げる。老人の息子の言い分では、医師に処方された薬を飲んでから容態が急変したという。その薬は医師が薬局に頼んだものを、薬局の別の客、警官を通して患者まで届けられている。これは過失なのか、巧妙な殺人なのか。 トリックというほどのものはなく、利害関係をたどると犯人の目星はつく。その利害の論理をたどることが、当時の世相を物語ることにもなる。キリスト教や仏教のような信仰方法を取り入れようとする教区の新会長、ハヴラー運動に属する尊師(レバ)の指導をあおぐ薬屋の息子が登場し、彼らや他の人に対し、保守派のラビが説くユダヤ教の信仰は、合理的で常識的でリアリティがある。事件の謎解きとは無関係のこうした護教論が、このシリーズの魅力なのだ。推理小説としては失敗かもしれないが。 | ||||
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