とんでもないパティシエ
- コージー・ミステリ (155)
- ダイエット・クラブシリーズ (5)
- パティシエ (14)
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コージー・ミステリはミステリが甘くなりがちとはいえ、今回は甘過ぎです。 おいしそうを通り越して胸やけしそうなレシピと持ちよりパーティ場面がてんこ盛り。 読んでるだけで血管がドロドロに詰まりそう。塩せんべいとほうじ茶に逃げたくなります。 その超高カロリー食の中に犯罪や犯人に関する記述が埋もれてしまった感が強い。 それは登場人物に「事件の実感がない」と言わせた作者もわかっているようなのが救いですが… この共犯の出し方は違反でしょというか、プロ作家のレベルじゃないでしょ。 おなじみの人物たちの近況は生き生きと描かれていて、楽しいことは楽しいですけど。 それに、小さな政府礼賛的なティーパーティー感覚が気になりました。 南部の小さな町の人々は「北のやつら」や「キャリア組」が大嫌いという描写がかなり露骨。 悪いことをしないと成功できない、と言わんばかりの記述も多い。 でも全国ネット番組への出演や都会の画廊で作品が売れることは町中で誇る… だからバカにされるんだ、と指摘する魅力的な都会人が出てきたら見直します。ムリか。 | ||||
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アメリカの田舎町クィンシーズ・ギャップで結成されたダイエット・クラブ〈デブ・ファイブ〉の男女5人組が毎回起きる殺人事件の謎に素人探偵として挑みながら深い友情を育んで行く愛あり笑いあり涙ありの大人気シリーズ第5弾です。前作ではめでたい事にメンバー全員に恋人らしき存在が出来まして気分上々幸せ一杯で順調かと思われましたが、意外にも何かと苦労が多くそれぞれに複雑な胸の内を抱えている気配がうかがえます。そんな中であっと驚く二つの劇的な変化が起きて新たに大きな幸福が訪れますので、本書はシリーズのファンには絶対に読み逃せない重要な転換点の巻だと言えるでしょう。 父ジャクソンとミラの結婚式が近づき、心が浮き立って発奮したジェイムズは新居探しとダイエットの再開を決意する。しかしそんな高揚した気分に水を差す様に家にやって来たミラの妹で「お菓子の女王」と呼ばれる有名な料理家ポーレットはわがままで口汚い毒舌家のまさに「とんでもないパティシエ」だった。やがて町中の人々がうんざりし始めた頃、何と彼女は突然死体となって発見される。お祝い気分が一転して悲しみに沈んでしまった父とミラに元気を取り戻そうとジェイムズらデブ・ファイブのメンバーは不審な死の真相を追い掛ける。 これまでシリーズを読んで来て感じる著者のミステリーに対する姿勢は罪を逃れ様と画策する狡猾な犯人を描く事やパズル性の追及にはなく、家族間に起きる犯罪の動機や事情といった悲劇的な実態を赤裸々に描く事にあるのだと思え、本書でも犯人の狂気の性が生々しく伝わって来ますのでやはり著者の狙いは成功していると思います。コージー・ミステリーを読む楽しみはやはり推理とは別に愛情たっぷりに描かれる人間ドラマの面白さにあるでしょう。ジェイムズの職場の図書館で毎回起きるスコットとフランシスの双子の兄弟が活躍する事件は今回最後まで読んでもやや真相が解り難いです。本書の目玉の一つ目はクイズマニアの郵便局員ベネットがクイズ番組〈ジョパディー〉に出演して優勝が目前となった時に自ら決断し実行した驚くべき愛のパフォーマンスです。ベネットが優勝者となる事以上に町中がお祭り騒ぎになって盛り上がるのが微笑ましいです。そして後半にジェイムズに訪れる思いがけないサプライズは男女の愛ではありませんが彼の心から幸福な気持ちが伝わって来る最高の出来事でしょう。まだこの女性との愛が本物なのかどうかは未知数ですが、これまで働く女性との相性が良くなかった事を思えば見込みは十分ありそうで期待が膨らみます。でもここまで二転三転して来たジェイムズの愛の行方は予想不可能で、ルーシーとの仲が今後どうなって行くのか興味深く見守りたいと思います。 シリーズが巻を重ねるにつれてデブ・ファイブのメンバーに次々に訪れる愛のドラマに興味津々まさに心が浮き立つ思いで、次回はどんな幸福なサプライズが読めるのか期待して楽しみに待ちたいと思います。 | ||||
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表紙:このシリーズはこの表紙がなかったら手にとっていなかったかもしれません。可愛いしおいしそうだし見ているだけで嬉しくなるイラストです。カバーの文字もキュートです。アメリカ版よりずっと魅力的です! 翻訳:最近の(人の)翻訳ものをあまり読んだことがないのですが・・・それでも最近の翻訳本の中ではダントツで上手い!と思います。カタカナと日本語のバランスも良いですね。3行に十単語以上もカタカナの直訳が入ると「読みにくいのでいっそ英語で書いてください」という気分になりますが、この本はそんなこともありません。読みやすいです。 昔の翻訳本のように日本語訳の横に英語のルビを振ったり、()内に注釈を入れたり、技巧を凝らして意訳をしている風でもないようですが、それが見えないぐらい自然なのかもしれません!わくわくしながらさくさく読めてしまいます。食べ物の描写の訳も上手いので本当においしそうです。(クリームとシュガーたっぷりのスイートなスイーツみたいな訳だったら、がっかりですが、「ピンと立ったメレンゲが雪が降ったばかりの山みたいな」「苺とクリームたっぷり」の「ふわふわの雲を食べてるような気分」にさせる「レモン・メレンゲ・レイヤー・ケーキ」なら大歓迎というわけです) その他の雑感:まだ面白いとは思うのですが、シリーズも5作目に入り、作者の思想のようなものがだんだん色濃く現れてきていて、少し辟易しました。 たとえば前からある種、極端な動物愛護の立場を絶賛する描写は多かったものの、それもジリアンという憎めないキャラクターを通して語らせた後に、他の登場人物に混ぜ返すような台詞を言わせるというような、それなりに客観的な視点だったと思います。しかし、最近はその”セルフツッコミ”ともいうべきコメディ性とともに、客観性も多少薄れてきたかなと思います。 店の前に駐車してある窓が少ししか開いていない車内にいる犬を助けるため、他人の車を破壊する(軽犯罪を犯す前に店内に呼びかける、アニマルコントロールを呼ぶなどの選択肢は?)というエピソードを英雄的に取り上げていたりした時も少し変だなとは思いましたが、今回も毛皮の襟巻きをしている人に熱いお茶をふりかける行動を絶賛する、などの描写があってちょっとびっくりしてしまいました。(コートの人と同じぐらい10秒前にあった知人のお客様に怒鳴りながらお茶を振りかける人は失礼だと思います・・・。言い方はともかく、コートの人が言ったことは雑誌に載っている「鶏はこの雑誌より狭いスペースで一生育てられ食卓に乗ります。それが嫌なら今すぐオーガニック食品を!」と同じレベルの内容ですし・・・雑誌にもお茶をかけて引きちぎるのでしょうか・・・?)また捕鯨ジョークはジョークなので笑い飛ばせると思いますが、その手の話題にセンシティブな読者さんは要注意かもしれません。 菜食主義もいいと思いますし、動物愛護にも賛成です。しかしそういったものの線引きと話題へのリアクションは読者それぞれ違うわけですし、それらが作者のそれらと離れていき、さらに作者が自分の基準を自分の虚構世界である小説で絶対的なものとして取り上げていると、その感覚のギャップに驚かされてしまうのかなと思いました。こういう各々の考える”程度の問題”が関わってくる話題は本当に難しいと思います。 もっとも、作者は自分の主張をフィクションで自画自賛しているだけで、実際に誰かに「熱いお茶をお見舞いしてやった」わけでも、他人の車の「ガラスを壊して」しまったわけでもないと思うので、作者自身の行動は温厚であると思います。ただ作品世界内で見たときに少し異常なだけですね。住民全員が絶賛していて、反対する人間は殺されるパタンだけになんとも・・・異常です。 ただそういう部分を除いてもありあまる魅力がこの本にはまだあると思います。翻訳と日本のイラストの力も大きいですね。某シリーズのように宗教がかった方向にいったり、何かの主義主張が全体の半分を占めるようになるなんてことにならない限り追いかけようと思います。 | ||||
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