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いわし雲 さんのレビュー一覧
いわし雲さんのページへレビュー数2件
全2件 1~2 1/1ページ
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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真梨幸子といえばイヤミスの代表的作家ということなんですが、同時に叙述ミステリの名手でもありますね。
この作品は、そのどちらも堪能できる彼女の傑作だと思います。ホント、作家というのはこんな小説よく書けますね。感心です。 細かいことはネタバレになるというか、ヒントになるのでほとんど書けないんですが、簡単に言うと「パラレルワールド」ってありますよね。無限にある異世界のことです。この作品にはA面とB面がありまして、交互に出てくるという構成になっています。パラレルワールドなので、登場人物もほぼ一緒です。基本この二つの世界が接触することはありえないんですが、主人公の陽子の「夢」でこの二つの異世界はつながっていたりします。そしてどちらの世界でも残虐な連続殺人が起こります。果たして犯人は? 1ページ目から真梨幸子ワールド全開、最初から「騙し」に入ってます。詳しくは書けないので読んでみて下さい。ユーモア的要素もあって吹き出すシーンもたくさんあります。真梨幸子の代表作になり得る傑作です。 |
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前川裕先生の最高傑作は個人的には「死屍累々の夜」ではないかと思っています。これにはいろんな意見があるだろうと思いますので、あくまでも私自身の意見です。あの作品で描かれていたのは、ほとんどサイコパスと言って良いような、稀代の悪党の犯罪の物語でした。あの作品の特徴はルポ形式で書かれたものであったということです。今回のこの「アンタッチャブル」これは厳密に言えばルポではありませんがルポ的な視点から書かれた犯罪小説と言っていいかもしれません。様々なストーリーが最後に一点に終結するこれが前川ミステリーの特徴なのですが今回も複数の登場人物の遭遇する犯罪を中心に描かれています。
ストーリーの流れは2つあります。まずは芸能マネージャーの保住、この男は北森という老俳優のマネージャーをやっております。北森は昭和30年代にヒーローものの主役として活躍したものの、その後仕事もなく落ちぶれており今では認知症を患っているのではないかと思われます。ある意味大変な厄介ものです。 保住はこの老俳優をなんとかしたいと考えます。そしてそこからストーリーは展開していくわけです。これ以上は語れませんが、非常に面白い展開を見せていきます。 もう一つの流れは元プロボクサーの瀬尾です。彼は世界チャンピオンにはなれなかったもの日本国内ではそこそこの成績を残したボクサーでした。しかしボクシングでは食えず、今はラーメン屋のバイトとジムでのトレーナーの二つをやりながら生計を立てています。彼には美人の妻もいます。彼が勤務しているラーメン屋にある日長崎と言うヤクザものが現れます。そこからストーリーは恐怖の展開を迎えていくわけです。 この二つの流れがどこで合流するのか、そして事件はどこまで展開していくのか。極めてスリル満点サスペンス満点の犯罪小説となっております。 前川作品ではとにかくよく人が殺されるなという印象です。サイコパス的に平気で人を殺せるような人間がいるというのは、非常に怖いことだと思います。またそのような性格がどんな生い立ちによって形成されたのか、それはよく分かりません。 前川先生は本業は比較文学、アメリカ文学を研究する大学教授と言うことですが、彼の書く小説は非常にいい意味で通俗的というかエンターテイメントに徹しているところが凄いと思います。 結構エロい表現も出てきますね。ちょっと気になるのはこの人の作品の中に出てくる登場人物のセリフの中に「でしょ」という言葉がたくさん出てくるところです。これは先生の口癖なのかもしれませんが、いろんな登場人物が必ず何度もこの「でしょ」を会話の中で使うのです。とにかくよく出てきます。どうでもいいことですが、そこに注目して読んでいただくと言うのも面白いかもしれません。 いずれにせよこの作品「アンタッチャブル」は非常に面白い作品なので読んで損はないと思います。ちなみにアンタッチャブルというタイトルは元プロボクサー瀬尾の現役時代のニックネームです。 |
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