永遠の0
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永遠の0の評価:
3.96/5点 レビュー 2,077件。 S ランク
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全4,096件 2,741〜2,760 138/205ページ
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この本はフィクションであるが、その記述はラバウル航空隊の戦闘機搭乗員達、特攻隊員らの凄絶な闘いの真の姿と勇気を描き切っている。文学作品というよりも寧ろ戦記として価値があり、日露戦争の実相を描いた「此の一戦(水野広徳)」「肉弾(櫻井忠温」」に匹敵し、先きの大戦の日本人にとっての本当の意味を絵解きしてくれている。
主人公宮部久蔵は幕府御家人を祖父に、倒産した実業家を父にもち、プロの将棋指しになりそこねた男、命を惜しむ変わり種の特攻隊員という設定である。零戦の戦闘経過の詳細、その「神話的奇跡」とも謂える開戦初期の対米戦捷、つづられたエピソードの一つ一つが感動的であり、心を揺さぶられるのは「此の一戦」や「肉弾」と変わらない。嘗ての帝国軍人の精強さの背景も読みとれ、昭和の時代に入っても日本人の尚武の心は脈々と伝承されていたことが伺える。櫻井忠温の「国の歴史を詳かに記して、後世の子孫をして永く忘れざらしむ」役割をこの本も果たしたといっていい。
ミッドウエイ敗北の原因が日本海軍の「驕り」という説は、この当時のゼロ戦の性能と航空戦隊の実力を知る時、頷ける。熟練搭乗員がこっそり体力作りに励んでいたことも意外だった。特攻隊員をテロリストと同視する新聞記者へ元特攻隊員が「特攻の標的、米空母は一般市民を無差別に爆撃した爆撃機戦闘機を積んでいたが911テロは貿易センタービルの無辜の市民を狙った。特攻は激しい反撃と弾幕のなかを突っ込んだがテロには反撃はない。」と主張する場面も説得力がある。「戦前の日本人は天皇を神様だと誰も信じていなかった」というのも本当だろう。
高級将校すべてが悪役にされているのが瑕瑾と言えば言えるかもしれない。一部には確かに傲慢で無能な者がいたかもしれないが、世界最強、最精鋭の軍隊の中核を担った男たちであり、陸士、海兵の人材達である。少数の例外があるからといって一概に全否定することは誇張である。
兵の命を軽んじた作戦、封建時代の遺制たる階級意識は確かに旧軍の欠陥だった。あの時代に宮部や美濃部氏(実在)のような強い個人がもっと多く居たらと惜しまれる。この弊を除き、旧軍の強さを引き継げば、自衛隊と称する日本の陸海空軍は再び世界最強の軍隊になる可能性を秘める。
それにしても主人公のような英雄が多数輩出した日本は誇るべき国である。国家に「ことあるとき」これら雄々しき者が登場する国であったればこそ明治の偉業と民族の独立が成し遂げられたのだろう。明治と同様、昭和の大東亜戦争も日本の英雄時代だったといえる。
生前の坂井三郎氏と親しく話したことがあるが、とてもあえだけの偉業を成し遂げた英雄とは外見上みえないごく普通の紳士だった。その著書「大空のサムライ」を読んでも通常の読者は知識こそ得ても坂井氏の偉大さを実感できない。この本で私は初めて坂井氏ら搭乗員の凄さを実感した。そして証言者に語らせる言葉で4年間の大東亜戦争時代の西太平洋での戦闘の実態を実感できた。先の戦争につき種々書籍を読み漁りおおよそ理解したつもりにはなっていたが、この本で戦争の全体像を掴めた。何も知らない若い世代にとっては入門書として有益であると同時に、多少の知識を有するものには出口、総括書となろう。
それにしても、米国を欧州戦線に参加させるため、日本に最初の1発を撃たせ戦争に引きずり込み、ここに描かれた日米双方の多くの勇士を無慈悲にも戦わせ殺させたルーズベルトとその徒党こそ憎むべき存在、東京はじめ全国の都市を火の海にしたルメイら、広島・長崎に核兵器を落とし一般市民を虐殺したトルーマン等こそ悪魔であった。以上