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皇帝のいない八月



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皇帝のいない八月の評価: 3.40/5点 レビュー 5件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.40pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

とんだ茶番劇 !

過激派自衛隊員のクーデターを扱った作品。冒頭は武器を積んだトラックが衝突で炎上する青森でのシーン。福岡から寝台列車「さくら」で東京に向かう主人公の石森は、かつて商社で武器輸出を担当した経験がある。石森の元恋人の杏子の父親は元自衛隊幹部。寝台をダブル・ブッキングした石森を執拗に排除しようする輩は武器を携帯した自衛隊員らしい。これでは誰でも「自衛隊のクーデター」を予想出来る。謎だらけの曖昧模糊とした出だしにしたいのか、それとも早めに主題をハッキリさせて、クーデターの進行を綿密に描きたいのか、中途半端な感じ。「さくら」に杏子が乗り合わせると言うのも流石に偶然過ぎる。東京に向かった隊員達は複数グループなのだから。

ところが、「さくら」以外で東京に向かおうとした反乱隊員は全て逮捕されてしまう。サスペンスの焦点を「さくら」に絞る意図かもしれないが、どうだろう。クーデターの全貌が不明な内に、クーデターが失敗してしまっては単なる列車ジャックである。その列車は国鉄(当時)が運行管理しているのだから、本作のように、ポイント切換え・故障(のフリ)等で幾らでも乗っ取り側を騙せる。計画(=作者の構想)が杜撰なのである。石森の精神的鈍磨さや杏子との関係が物語に絡んで来ない点もサスペンス性を著しく損ねている。黒幕の正体も全く意外性が無い。

文民統制や軍事政権と言った政治・思想的考察はまるで無し。胸躍るアクション・シーンも無し。思わせ振りな題名もコケ脅し。これなら、かわぐちかいじ氏の漫画「沈黙の艦隊」の構想の方が遥かに雄大かつ緻密。とんだ茶番劇の一作だった。
皇帝のいない八月 (講談社文庫 こ 2-5)Amazon書評・レビュー:皇帝のいない八月 (講談社文庫 こ 2-5)より
4061362100

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