国境の南、太陽の西

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評判

国境の南、太陽の西の評価:

4.22/5点 レビュー 233件。 B ランク

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平均点4.22pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全53件 1〜20 1/3ページ
No.53
(3pt)

「僕」の妻「有紀子」はその後どうなるのか・・・ |『国境の南、太陽の西』村上春樹

相変わらずの「僕」のやりたい放題。

内向的、ジャズが好き、一人エクササイズ好き。なのに女に困らない。そして勝手に周囲を巻き込み、一人カタルシスを起こしつつ、不思議に最終的にハッピーエンド。

でも、こんな「僕」に私は憧れていた気がします。

・・・
高度経済成長期前後。当時めずらしかった一人っ子の「僕」、ハジメ。小学校でおおよそ例を見なかった一人っ子にあって、唯一の一人っ子が、転校生の「島本さん」。子どもながらに「僕」、は彼女の中に「僕」だけにとってある場所・何か、運命的な何かを感じる。

別の中学校にそれぞれ進学し、彼女のことを思いつつ平凡かつ面白みのない中高時代を過ごす。高校で「イズミ」という彼女を作り、大々的に傷つけ、東京の大学へ進学。鬱々とするなかで、有紀子と出逢い、結婚。面白みのない教科書編集社をやめ、義父のサポートでバーを開業。

独立が軌道に乗るさなか、「僕」はとうとう「島本さん」との再会を果たしてしまう。「島本さん」に没入する「僕」はその後。。。

・・・
で、本作、ごくごく簡単に、誤解を恐れずに言えば「僕」の浮気の話です。それ以上でも以下でもない。気がします。

「僕」も「島本さん」も、心中死の予感を漂わせつつ、かつそれに抵抗もせず、自らを修正できずに互いに没入する様子は、人に惚れたことがある方なら理解できるかもしれません。歯止めが効かない。

・・・
考えさせるのは、「僕」の奥様「有紀子」の対応だと思います。

最終的に元のさやに納まる結末ですが、彼女は旦那をどうやって受け入れるのか。その心の動きは「僕」中心の視点で描かれる本作で、はかりようがありません。もちろん楽しいはずはありません。

察し想像するだけで陰鬱になりますが、気楽なのは男だけだなあ、という気持ちもふつふつと湧いてきます。

・・・
ということで久方ぶりの村上作品の再読でした。

不倫や浮気はかつては男の甲斐性などと言われたことが有りましたが、今は個人の話では収まらない感すらあります。社会から叩かれる。
というより、これだけ自由な世にあって、受け止める関係を続ける方の傷の深さよ。

私は勝手に「有紀子」のその後が気になりました。

皆さんはどういう感想を持たれるのでしょうか。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.52
(3pt)

「僕」の妻「有紀子」はその後どうなるのか・・・ |『国境の南、太陽の西』村上春樹

相変わらずの「僕」のやりたい放題。

内向的、ジャズが好き、一人エクササイズ好き。なのに女に困らない。そして勝手に周囲を巻き込み、一人カタルシスを起こしつつ、不思議に最終的にハッピーエンド。

でも、こんな「僕」に私は憧れていた気がします。

・・・
高度経済成長期前後。当時めずらしかった一人っ子の「僕」、ハジメ。小学校でおおよそ例を見なかった一人っ子にあって、唯一の一人っ子が、転校生の「島本さん」。子どもながらに「僕」、は彼女の中に「僕」だけにとってある場所・何か、運命的な何かを感じる。

別の中学校にそれぞれ進学し、彼女のことを思いつつ平凡かつ面白みのない中高時代を過ごす。高校で「イズミ」という彼女を作り、大々的に傷つけ、東京の大学へ進学。鬱々とするなかで、有紀子と出逢い、結婚。面白みのない教科書編集社をやめ、義父のサポートでバーを開業。

独立が軌道に乗るさなか、「僕」はとうとう「島本さん」との再会を果たしてしまう。「島本さん」に没入する「僕」はその後。。。

・・・
で、本作、ごくごく簡単に、誤解を恐れずに言えば「僕」の浮気の話です。それ以上でも以下でもない。気がします。

「僕」も「島本さん」も、心中死の予感を漂わせつつ、かつそれに抵抗もせず、自らを修正できずに互いに没入する様子は、人に惚れたことがある方なら理解できるかもしれません。歯止めが効かない。

・・・
考えさせるのは、「僕」の奥様「有紀子」の対応だと思います。

最終的に元のさやに納まる結末ですが、彼女は旦那をどうやって受け入れるのか。その心の動きは「僕」中心の視点で描かれる本作で、はかりようがありません。もちろん楽しいはずはありません。

察し想像するだけで陰鬱になりますが、気楽なのは男だけだなあ、という気持ちもふつふつと湧いてきます。

・・・
ということで久方ぶりの村上作品の再読でした。

不倫や浮気はかつては男の甲斐性などと言われたことが有りましたが、今は個人の話では収まらない感すらあります。社会から叩かれる。
というより、これだけ自由な世にあって、受け止める関係を続ける方の傷の深さよ。

私は勝手に「有紀子」のその後が気になりました。

皆さんはどういう感想を持たれるのでしょうか。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.51
(3pt)

ナルシスト男の妄想の果て

文章が上手でグイグイ読まされたが、男のナルシズム小説という感じで、女の私からすれば「こんな女いるかよ」とツッコミどころ満載だった。
イズミは高校生のときに男に傷つけられたからとはいえ、その傷をアラフォーになっても待ってるなど到底ありえない設定。大体の女はそんな男のことはゴミ箱に捨て、いい男と結婚してるのでは。
島本さんも12歳のときの初恋の男を思い続けるというだけでもないのに、初めて結ばれるときの描写も男目線のファンタジーすぎて、なんだかなぁ。
大人になってからの島本さんもイズミもハジメくんの妄想で、実在しないんじゃないか?
でも、男心の勉強になったので、読んだ甲斐はありました。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.50
(3pt)

ナルシスト男の妄想の果て

文章が上手でグイグイ読まされたが、男のナルシズム小説という感じで、女の私からすれば「こんな女いるかよ」とツッコミどころ満載だった。
イズミは高校生のときに男に傷つけられたからとはいえ、その傷をアラフォーになっても待ってるなど到底ありえない設定。大体の女はそんな男のことはゴミ箱に捨て、いい男と結婚してるのでは。
島本さんも12歳のときの初恋の男を思い続けるというだけでもないのに、初めて結ばれるときの描写も男目線のファンタジーすぎて、なんだかなぁ。
大人になってからの島本さんもイズミもハジメくんの妄想で、実在しないんじゃないか?
でも、男心の勉強になったので、読んだ甲斐はありました。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.49
(3pt)

違和感満載の「我々は」

春樹らしい物語展開。パラレルワールドが意識されている。そこにあった白い封筒が消える。忽然と現れ、去っていく島本さん。夢か幻か。リアルな性描写が空虚な実在感を与える。

お気づきだろうか。この作品では、3度、「我々は」という、文脈からも、作品世界からも異質なメタ言語が使われている。「僕達は」ではない「我々は」だ。作品の外部からの自己言及が、3箇所ある。流れるはずのナラティブを一瞬断ち切るこの違和感は最後まで解消されない。その意味で、この作品は不完全だと思う。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.48
(3pt)

違和感満載の「我々は」

春樹らしい物語展開。パラレルワールドが意識されている。そこにあった白い封筒が消える。忽然と現れ、去っていく島本さん。夢か幻か。リアルな性描写が空虚な実在感を与える。

お気づきだろうか。この作品では、3度、「我々は」という、文脈からも、作品世界からも異質なメタ言語が使われている。「僕達は」ではない「我々は」だ。作品の外部からの自己言及が、3箇所ある。流れるはずのナラティブを一瞬断ち切るこの違和感は最後まで解消されない。その意味で、この作品は不完全だと思う。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.47
(3pt)

過去に生きる男

いつも別れた恋人に恋焦がれて、今目の前にいる彼女を気づつけてしまう男の物語に感じました。2021年ではいわゆる不倫男として叩かれるような男だと思います。もしくは、家庭では存在感のない父が、心のなかの願望として過去の淡い恋を思い出して、つらい現実を乗り越える物語と考えると2021年の現代ではリアリティがあります。1980年代から時代は変わり男の存在が変化して、いまではこのような恋は世間では認められないような事ですが、当時は淡い恋物語だったのでしょうか?もしくは、自分が年をとったということなのか、、、と考えてしまいました。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.46
(3pt)

過去に生きる男

いつも別れた恋人に恋焦がれて、今目の前にいる彼女を気づつけてしまう男の物語に感じました。2021年ではいわゆる不倫男として叩かれるような男だと思います。もしくは、家庭では存在感のない父が、心のなかの願望として過去の淡い恋を思い出して、つらい現実を乗り越える物語と考えると2021年の現代ではリアリティがあります。1980年代から時代は変わり男の存在が変化して、いまではこのような恋は世間では認められないような事ですが、当時は淡い恋物語だったのでしょうか?もしくは、自分が年をとったということなのか、、、と考えてしまいました。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.45
(3pt)

この作品で何が言いたかったの?

読みやすくスラスラ読了。エンターテイメントとしては面白くたのしめた。
でも深みがなく、主題は何だったのか、何が言いたかったのか、がもひとつわからなかった。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.44
(3pt)

この作品で何が言いたかったの?

読みやすくスラスラ読了。エンターテイメントとしては面白くたのしめた。
でも深みがなく、主題は何だったのか、何が言いたかったのか、がもひとつわからなかった。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.43
(3pt)

結構普通の恋愛ストーリー

40手前の男性が初恋の女性と出会って今の家庭を捨てその女性と堕ちようとするがうまくいかなかった話。超現実的なことは起こらず、どこかありそうな話。
ただ主人公は超村上春樹的:人生に対してやる気はなく、すべてに諦めており、ただなぜかアッパーミドルな生活(青山に住みBMWに乗る)を送れてしまい、女性との性関係は不足していない
中学・高校時代に本当に惹かれる人がいたならもっと感情移入できたのかもしれない。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.42
(3pt)

結構普通の恋愛ストーリー

40手前の男性が初恋の女性と出会って今の家庭を捨てその女性と堕ちようとするがうまくいかなかった話。超現実的なことは起こらず、どこかありそうな話。
ただ主人公は超村上春樹的:人生に対してやる気はなく、すべてに諦めており、ただなぜかアッパーミドルな生活(青山に住みBMWに乗る)を送れてしまい、女性との性関係は不足していない
中学・高校時代に本当に惹かれる人がいたならもっと感情移入できたのかもしれない。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.41
(3pt)

『こっちへいらっしゃいよ』

物語の主人公である 僕は 1951年生まれだ。
「一人っ子」という境遇を 救い上げる。
読みながら 既視感 があるのは 同時代を過ごしたからか
それとも ムラカミハルキの世界に親しんだせいなのか、
よくわからないが ぼんやりと その時代が 浮かんでくる。
小学5年生の終わり頃に島本さんという足の少し不自由な女子が
転向してくることで 5年生の僕は ちょっと変な気分となる。
家が 目と鼻の先ということで クラスでは 隣の席で一緒に帰ったりして、
島本さんの家にお邪魔してレコードを聞くのが楽しみ。
リストのピアノコンチェルトが 僕にはお気に入りの曲になった。
一人っ子 同士の会話 すすむ。
島本さんは 僕に聞く
『自分にもし兄弟がいたらって思うことある?』
5年生の会話とは そんなもので始まるのかもしれない。
島本さんは 大人びていて、僕は 子供のまんま。
彼女は 一度だけ 僕の手を握った。
『こっちへいらっしゃいよ』といって、
それだけのことであるが、僕はそのわずかな体験がとても甘くセツない想いになっている。
そんな風に 「国境の南、太陽の西」は はじまるのだ。
異性に対する 想いが どこから来て どう始まっていくか
わからない 時期の 不思議な感覚は、一体 私にとっても どんな風だったろうか?
そんなことを 想い出させる。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.40
(3pt)

『こっちへいらっしゃいよ』

物語の主人公である 僕は 1951年生まれだ。
「一人っ子」という境遇を 救い上げる。
読みながら 既視感 があるのは 同時代を過ごしたからか
それとも ムラカミハルキの世界に親しんだせいなのか、
よくわからないが ぼんやりと その時代が 浮かんでくる。
小学5年生の終わり頃に島本さんという足の少し不自由な女子が
転向してくることで 5年生の僕は ちょっと変な気分となる。
家が 目と鼻の先ということで クラスでは 隣の席で一緒に帰ったりして、
島本さんの家にお邪魔してレコードを聞くのが楽しみ。
リストのピアノコンチェルトが 僕にはお気に入りの曲になった。
一人っ子 同士の会話 すすむ。
島本さんは 僕に聞く
『自分にもし兄弟がいたらって思うことある?』
5年生の会話とは そんなもので始まるのかもしれない。
島本さんは 大人びていて、僕は 子供のまんま。
彼女は 一度だけ 僕の手を握った。
『こっちへいらっしゃいよ』といって、
それだけのことであるが、僕はそのわずかな体験がとても甘くセツない想いになっている。
そんな風に 「国境の南、太陽の西」は はじまるのだ。
異性に対する 想いが どこから来て どう始まっていくか
わからない 時期の 不思議な感覚は、一体 私にとっても どんな風だったろうか?
そんなことを 想い出させる。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.39
(3pt)

ちょっとバブリーな村上さんという感じ

やっぱりいま読みますと、時代を感じます。バブルの名残りがありますね。この物語は、ハジメちゃんが、女を食い物、というか乗り越えてというか、犠牲にして大人の男に成長しました、という話なんでしょうか。あの二人の女性たちはどうなってしまったのか。これで終わり?という感想でした。いつかまた読めば印象も違うのかもしれません。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.38
(3pt)

ちょっとバブリーな村上さんという感じ

やっぱりいま読みますと、時代を感じます。バブルの名残りがありますね。この物語は、ハジメちゃんが、女を食い物、というか乗り越えてというか、犠牲にして大人の男に成長しました、という話なんでしょうか。あの二人の女性たちはどうなってしまったのか。これで終わり?という感想でした。いつかまた読めば印象も違うのかもしれません。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.37
(3pt)

実験的な作品(?)

果たしてこの小説、作者はあらかじめ構成・展開を決めた上で書いたのでしょうか。
何となくジャズのインプロヴィゼーション風に、筆行きに任せて書いたような印象を受けます。
そうであれば、島本さんやイズミとの関わり合いや、物語の着地の仕方に納得できるのですが、、、
いずれにしても、作者特有の喪失感、虚無感が漂う作品でした。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.36
(3pt)

実験的な作品(?)

果たしてこの小説、作者はあらかじめ構成・展開を決めた上で書いたのでしょうか。
何となくジャズのインプロヴィゼーション風に、筆行きに任せて書いたような印象を受けます。
そうであれば、島本さんやイズミとの関わり合いや、物語の着地の仕方に納得できるのですが、、、
いずれにしても、作者特有の喪失感、虚無感が漂う作品でした。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.35
(3pt)

幻想と幻滅

主人公は青春時代に浮気をしてしまい、付き合っていた彼女をひどく傷つけ、また、自分が不完全な人間であり、何かその欠落したものが出現すると、それを手に入れて完全な自分としたいあまりに不道徳なことさえも犯してしまう悪人となり得ることを知る。その後も主人公は不完全な自分を満たす何かを求め続けるが、手に入れたものはどれも不足を埋め合わせられない。結果、喪失を補うものは幻想であると失望する一方、過ちを犯した青春時代の呪縛が心の中で増していく。

タイトルの「国境の南」は幻想であり、「太陽の西」は幻滅である。幻想を現実のものとして手に入れるのか、それとも呪縛に屈して幻滅してしまうのか。緊張感が最高潮に達して大団円を迎える。

主人公の一人称の語りは幻想追求を免罪符にした主人公の懺悔の印象が拭えないが、作品の展開は秀逸である。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.34
(3pt)

幻想と幻滅

主人公は青春時代に浮気をしてしまい、付き合っていた彼女をひどく傷つけ、また、自分が不完全な人間であり、何かその欠落したものが出現すると、それを手に入れて完全な自分としたいあまりに不道徳なことさえも犯してしまう悪人となり得ることを知る。その後も主人公は不完全な自分を満たす何かを求め続けるが、手に入れたものはどれも不足を埋め合わせられない。結果、喪失を補うものは幻想であると失望する一方、過ちを犯した青春時代の呪縛が心の中で増していく。

タイトルの「国境の南」は幻想であり、「太陽の西」は幻滅である。幻想を現実のものとして手に入れるのか、それとも呪縛に屈して幻滅してしまうのか。緊張感が最高潮に達して大団円を迎える。

主人公の一人称の語りは幻想追求を免罪符にした主人公の懺悔の印象が拭えないが、作品の展開は秀逸である。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869