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アガラ
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アガラの評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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| 頭の中でよくこんなに 組み立てられるなと感心する 長編 SF 政治経済 小説。 読みながら いろんなことを考えさせられる。 | ||||
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| 作家が自分の好きなものをフィーチャーして、それを深く作品のなかで投影しつつ、テーマを代弁させる手練が素晴らしい。 じぶんが詳しくないものにも興味と理解をそそられる。この本ではパンクロックがそれだった。パンク精神には惹かれたし、しばらくパンクを聴いてみた。 さらにこの作家の凄いところは、身近な例からスケールが大きかったり、深かったりする社会問題を噛み砕いて読ませてくれる。押しつけたりはしない。あくまで提起として考える機会をくれる。とても上手い。ときに陰謀論や都市伝説、オカルト扱いのネタを拾うが、そこに寓意的な真実味を娯楽的な手法で提供してくれる。分かりやすくて庶民にも優しい。 そういう小ネタを入れながら小説としてのカタルシスをしっかりと持っている。オススメです。 | ||||
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| 読み終えるのに、数日。 すぐに2回目を読み始めて数日。 この10日間はアガラの世界にどっぷり没入。 とても濃密で贅沢な時間でした。 イマジンを聞きながら、 国境のない、平和な世界を夢見たことがあります。 でもそれは同時に、 どこか嘘くさい、薄気味悪い世界であることもうすうす感じます。 その薄気味悪さに直面したのは、感染症騒動の時でした。 命という大義名分の前に、人は簡単に支配されていく。 支配されていることにも気づかず正義だと思い込んでいる多くの人たち。 私の中に、いや、多くの人の心にあった、「これでいいの?」という思いと、合わせておいたほうが楽だという思い。 その後味の悪さが見事に物語に昇華されていました。 榎本さんの本はどれもただの小説ではなく、社会問題、世界感、未来予想、深層心理について学べる人生の教科書のような本です。 すべての人に読んでいただきたい本です。 これからくるAIからの支配の時代に備えての必読書だと思います。 | ||||
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| ・・・榎本憲男の小説は「映画」である・・・人情噺である・・・表紙デザイン最高・・・よく見ると「世界史の構造」と書いてあるし・・・アガラへ、愛に恋。 | ||||
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| 『アガラ』を読んで、これは、まぎれもなく著者の最高傑作だと確信しました。 著者のミステリーの大ファンの私は、今までも、新刊が出されるたびに、今度の作品こそが最高だと思ってきたのですが、その確信はまたしても裏切られ、「最高」の更新となったということです。 著者のミステリーは、単なるエンターテインメントではなく、経済、政治、宗教、哲学、量子論、遺伝学、コンピューターやジェンダー問題など、本当に様々な分野からこの世の本質に切り込んでいくという特徴があります。 それが、私にとってはたまらなく魅力的に感じられるところで、そのような手法を取る本格ミステリー小説家を他には知りません。 今回は、その集大成というか、しいて言うならば、AIと人間の共存の行き着く先とはどのような世界観かというのが主たるテーマとなるでしょうか。 AIなしでは科学の未来を語ることのできなくなった今、AIの進化を推し進めることは、人にとって真の幸せへの道なのか、手放しでその道を邁進し続けて行ってもいいのか、そういう疑問を巧みなストーリー展開で追求していきます。 本の帯には、次のような紹介文が書かれています。 「新自由主義台頭の果てに世界は統一され、人類は自由と平等と平和を手に入れた。宗教も、国境もない。争いも存在しない。だが、完全な理想社会は、人間同士をつなぐ《ある力》を奪っていった」。 《ある力》とは何だろうと思わずにはいられませんが、この答えははじめの方であっさりと明かされています。 「世界がひとつになることによって逆にみんながバラバラになる」世界が実現したのだと。 平和で平等な誰もが満足できる社会になったはずなのに、それは表面的な幸せに過ぎなかった。 皮相的な幸福感を得る代償として、人と人との心のつながりの希薄化が生じた。 衣食住さえ満たされれば、人は満たされた生活を送ることができる、心を持たないコンピューターであれば、そう判断し、そのような体制を整えるための具体策を細かく提案することも可能でしょう。 ただし、それは、AIにとっての幸せに過ぎなかったという。 AIと違って、人と人との心のつながりを求めずにはいられないのが人間なのです。 そのつながりは、「愛」としか呼べないのかもしれませんが。 人と人との関係性が強まると、そこにはいい意味でも悪い意味でも歪み(ひずみ)が発生し、そこから平等性は崩れていく。 だからこそ、トレードオフとして、人と人のつながりの希薄性を受け入れる必要がある。 ここには、心を持たない機械のくだす計算ずくの論理的合理性の罠が見え隠れしています。 心と心の深いつながりを欠いたうわべだけの平穏な暮らしでは、人の心は生きてはいけないということを知りようがないから。 AIにとっての生きるとは、生物的に生命としての身体を維持させるという意味になるからです。 私が初めて出会った著者のミステリーは、『インフォデミック』でした。 その小説はコロナ下で書かれたものですが、著者は、その中で、自由とは何かを模索しています。 体制に逆らっても、自分のやりたいことをやるのが自由だという主張に対し、社会秩序を乱しての個人の自由はあり得ない。 体制の許す範囲で個人の自由を追求するのが社会の一員としてのあり方ではないかとする主張。 ここにも、一方を貫けば、もう一方は犠牲になるという、バランス感覚の難しさがテーマとして浮上しています。 そういうシーソーのような危うい均衡の上に成り立っているこの世界を、どのようにして一つにまとめるのか。 合理性という冷たい計算で解決しようとすると、それは、力尽くでしか達成できないことになるのです。 だからこそ、その無理やりの平和や平等は人々の自由を求める心の抑圧の極限状態となってしまうのでしょう。 著者が、このような矛盾性をどのように描き、そしてどのような方向性に希望を見出していくのか…。 その詳細をたどりながら感動したい方は、ぜひ本書を手に取ってお読みになってください。 ミステリーを超えたミステリーの面白さにいつの間にか時間を忘れて酔うこと間違いなしでしょうから。 ミステリー好きの私にとって、著者の小説との出会いこそが、心の底から湧き出る「満足」そして「幸せ」だったのだと思いました。 | ||||
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