鳴かずのカッコウ
評判
鳴かずのカッコウの評価:
4.56/5点 レビュー 48件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全48件 41〜48 3/3ページ
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鳴かずのカッコウの評価:
4.56/5点 レビュー 48件。 B ランク
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といっても、物語の中心となる舞台は日本の神戸なので、中国の地理や歴史に詳しくなくても全く問題ない(特に、神戸に馴染みのある人は読んでいて楽しいはず!)。
神戸の他にも、ウクライナの「リヴィウ」という都市が物語の冒頭に登場する。「なぜウクライナなのか?」と疑問に思う方は、ぜひ本書を読んでほしい。読後には、きっと「プロローグがウクライナである必然性」に納得するはずだ。
著者は、「国際政局を見ている我々にとって、ウクライナという地域ほど分かりにくいものはない。ですから、僕もこの地域だけは、直接、出かけていって土地勘を養うようにしています。」(『独裁の宴』134頁)と発言しており、実際に2014年10月のウクライナを取材していることから、本書のウクライナに関する記述は入念な取材に基づいていると思う。
また、新時代のサイバー技術に関する設定も凝っている。私は、本書を読んで初めて「シーサーチャー」や「Signalアプリ」といったものの存在を知った。個人のPCのハッキングがどのように行われるかも物語の中で詳述されている。
もちろん、サイバー技術などのモノによるインテリジェンスだけではなく、『ウルトラ・ダラー』でお馴染みの、人間力を駆使した情報獲得「ヒューミント」のエッセンスも物語に詰め込まれている。物語のある場面で、主人公に対して、先輩インテリジェンス・オフィサーはこう伝える。「われわれがいうヒューミントは、人に会って直に話を引き出す。これに尽きる。」時代が変わっても、人間同士のやり取りが国家の命運を左右するという力強いメッセージが表れている。
インテリジェンス関連の機微に触れる情報は、取材源の秘匿などの制約が多いから、ノンフィクション作品では、どうしても内容がぼんやりしてしまうが、小説ではそのような「奥歯に物が挟まった感」がなく、事件や人物も明快なので、ぐんぐん読み進められる。ノンフィクション作品や国際情勢の新書が苦手な方にもオススメ。予備知識ゼロでもこの一冊で、現在の日本を取り巻く国際情勢を肌感覚で把握できる。今の世界を知りたい全ての読者に推薦できる傑作だ。