かばん屋の相続
評判
かばん屋の相続の評価:
4.13/5点 レビュー 111件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全87件 81〜87 5/5ページ
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かばん屋の相続の評価:
4.13/5点 レビュー 111件。 B ランク
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「下町ロケット」から入って池井戸潤の旧作をピックアップして読み広げていくと、その大半が銀行物であることから、その芸域の狭さに少々うんざりして、手を出すのをためらってしまうところもあるのだが、この短編集も、御多分に洩れず、全作が銀行物になっている。ただ、舞台が銀行になっているというだけで、内容的には、なかなかバラエティに富んでいるし、平成5年当時といえば、すでに水準以上の単行本を発表していた頃でもあり、この文庫本に納められた6作品も、全て水準以上のレベルにあるといっていいと思う。
6作品を順に読み進めていくうちに気が付いたのだが、1作ごとに、作品の出来が良くなっていくように感じた。私の評価では、第1話→第2話→…第6話→第4話→第5話の順なのだが、巻末の解説を読むと、上記順の第4話と第6話を入れ替えたものが初出順なのだそうだ。池井戸潤が、年が経てば経つほど腕を上げていき、ついには「下町ロケット」で直木賞受賞に至るという過程を端的に現わしているようで、非常に興味深い傾向だった。
特に、第4話と第5話は、傑作といっていいと思う。第4話「芥のごとく」は、歯を食いしばり、這いつくばってでも、会社と従業員を守ろうとがんばる浪速のど根性オバチャン社長の姿を通して、芥のごとき中小企業の現実を、強烈なインパクトで描いている。第5話「妻の元カレ」は、会社では負け組として組織の中で埋没し、家庭では元カレと再会した妻の気持ちが自分から離れていくのを敏感に感じ取っている主人公と、自分自身の人生に目覚め、元カレに気持ちが傾いていく妻の心理描写が秀逸であり、全6話の中では、最も濃厚で、読み応えのある人間ドラマが描かれている。