十年前に起きた学友の不可解な死。

「石には宇宙が刻印されている」レイテで戦友から聞かされた言葉によって、岩石に魅せられた男。

明治維新から第2次世界大戦、バブル崩壊から地下鉄サリン事件に秋葉原通り魔殺人、福島第1原発事故まで、帝都トーキョウに暗躍した、謎の男の無責任一代記!史実の裏側に、滅亡する東京を予言する、一気読み必至の待望の長編小説!!

新しい戦前? 否、死者の声は響き続けてきた―― ある殺人事件を機に巻き起こる、国家機密の「K文書」を巡る謎……。

話は学生時代、35年以上前にさかのぼる。

昭和十六年十二月八日、日本軍が真珠湾攻撃で歴史的成果を勝ち取った直後、空母「蒼龍」に着艦した九九艦爆搭乗員、榊原大尉が不可解な服毒死を遂げた。

初夏、名人戦の最中に詰将棋の矢文が見つかった。その「不詰めの図式」を将棋会館に持ち込んだ元奨励会員・夏尾は消息を絶つ。

昭和十年、春。数えで二十歳、女子学習院に通う笹宮惟佐子は、遺体で見つかった親友・寿子の死の真相を追い始める。

シューマンの音楽は、甘美で、鮮烈で、豊かで、そして、血なまぐさい――。

クワコーこと桑潟幸一准教授が、たらちね国際大学に転勤して最初の夏休み。

現代文明を捨て、自然との共生をめざしたコミューン運動「葦の会」。

地位も才能もないが、やる気もなく志も低い准教授・桑潟幸一、通称クワコーを、毎月毎月、襲う怪事件。

大阪のしがない短大助教授・桑潟のもとに、ある童話作家の遺稿が持ち込まれた。

「吾輩は猫である。名前はまだ無い」この一行に、大きな謎が仕組まれていたとは―。

夏。文芸部の女子学生を引き連れて海に合宿へ赴いた桑潟幸一准教授に怪事件が降りかかる。

昭和20年初頭、探偵小説好きの青年が上等水兵として、軽巡洋艦「橿原」に乗船した。