海峡の漁村・赤間関を、コンクリの町に変えた桜井の家。

一つ年上の幼馴染、千種と付き合う十七歳の遠馬は、父と父の女の琴子と暮らしていた。

なぜ30歳を過ぎても、私は働かず母の金で酒を飲んでいるのか。それはあの目に出会ってしまったから。

日中戦争で右足に銃弾を受け、不名誉な形で戦線離脱した「父」。

自殺と断定された妻を、自分が殺害したと主張する男。夫の浮気相手たちを殺す計画を立てる貞淑な妻。

新作が書けぬ小説家・下村に届いた旧友春男の近況。長く疎遠だった春男は、三十を過ぎうつ病を発症したという。

野球賭博絡みのトラブルで失踪した父親から少年に葉書が届く。「野球をやってるか」。

揃いの国民服に身を包む金髪碧眼の「日本人」に、武力による平和実現の大義を説く黒髪の首相A。

母の仇討ちと女兵士の使命を胸に、少年は、司令官のいる基地へ旅立つ。二人の男を殺すため、「濁り」のなかを僕は旅する。

母に連れられた大きなお屋敷で、朱音(あかね)と朱里(あかり)という二人の神秘的な姉妹に出会った。

現首相の地盤である下関には、平氏一門とともに海に沈んだ天皇が祀られている。その魂がまだ漂っているとしたら…。

最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。

長谷川初実（ハツ）は、陸上部に所属する高校1年生。

錬金術の秘蹟、金色に輝く両性具有者(アンドロギュノス)、崩れゆく中世キリスト教世界を貫く異界の光……。

無活用ラテン語で書かれた小説『猫の下で読むに限る』で道化師と名指された実業家のエイブラムス氏。

密室状態の家で両親と兄が殺され、小学生だった彼女だけが生き残ったその事件は「僕」が12歳の時に起きた。

ベストセラー作家・17年の「思考回路」がこの一冊に!ユーモア溢れる日常のものからシリアスなもの、物語の誕生秘話から文学論、政治思想まで。

極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。

一号機が爆発した。原発事故の模様をテレビで見ていた木島雄介は、これから何かが変わると確信する。

ペスト収束に奔走する敗戦間近の英国領ビルマ・メダンサ部落。