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花筏 さんのレビュー一覧

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レビュー数5

全5件 1~5 1/1ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.5:
(9pt)

何かをもう少し頑張ってみたくなる

「清掃人探偵キリコ」シリーズの2作目の本になります。1作目は『天使はモップを持って』です。
1作目では出てこなかったキリコ自身の物語が最後に出てきます。このお話はおそらく1作目を読んでからの方がより楽しめるでしょう。
短編連作作品ですが、1つ目の『悪い芽』はちょっと難しかったです。
トリックというよりは人の心理を突いた感じなのですが、こんなにうまくことが進むものだろうか?と思いました。
しかし物語自体は面白く、お掃除のプロであるキリコの様子に尊敬を覚えます。
最後に『きみに会いたいと思うこと』で、キリコがどういう人物なのかが見えてきます。
そこには、完璧に見れる人でも何かを背負って生きている。普段は軽々と背負っている問題でも時には重くのしかかる。というメッセージが込められているように感じました。
人が亡くなる謎も扱っているにもかかわらず、読み終わった後には、部屋をすっきり片づけて明日も頑張ろう!と思わせる爽やかな物語でした。

モップの精は深夜に現れる (文春文庫)
近藤史恵モップの精は深夜に現れる についてのレビュー
No.4: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

季節を感じながらの短編連作

社内報に載せる小説を担当することになった主人公。月ごとに季節を感じる内容で味わいがあります。
しかし短編連作の作品なので、最後に驚くべき事実が出てきます。
一つずつの話にとらわれて、うっかり細かい部分を読み逃してしまったので、つじつまが分からない部分がありました。
しかし、ある部分に注目するとよくわかるので、わかりやすいトリックといえるでしょう。
月によってはミステリ要素が弱かったり、怪談要素が含まる部分もありましたが、飽きることなく楽しく読めました。

ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)
若竹七海ぼくのミステリな日常 についてのレビュー
No.3: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

歴史ミステリの短編集

私は歴史に詳しいわけでも、歴史好きでもないのですが、
それぞれの謎の回答は、思わず「なるほど!」と思えるような説得力のあるものです。
中でも、本タイトルにもなっている「邪馬台国はどこですか?」については、私にとって驚きの新説です。
小さなころに初めて邪馬台国を習ったときから、真実はまだ分かっていない、
と言われていたのを覚えていたので、この説はすんなりと受け入れることが出来ました。
全体に隠されたトリックも驚くもので、歴史ばかりで少し飽きてしまったな、という後半の感想を覆すものでした。

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)
鯨統一郎邪馬台国はどこですか? についてのレビュー
No.2: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

7つの手紙の物語

頭をひねるような複雑な謎は隠されていないので、自然体で読める作品です。主人公の入江駒子が気に入った絵本は、実際に「ななつのこものがたり」として出版されました。
親から子どもへ受け継がれる歌は、正しい言葉の意味がわからないものが多いなと改めて感じました。文字ではなく音で伝わることで、地方によって違った歌詞になったりと、興味深く思います。私は、「ななつのこ」は「七匹の子ども」と捕らえていたので、本書で「七歳の子ども」と言われたときに目から鱗でした。

ななつのこ (創元推理文庫)
加納朋子ななつのこ についてのレビュー
No.1:
(10pt)

日本を感じることができる和製ファンタジー

梨木香歩さんの本を読んだことがない人には、少し読みにくいと感じるかもしれません。
しかし読み進めていくうちに、物語の空気感がたまらなく好きになってくるはずです。(もちろん好みの問題があるので絶対ではないのですが)

どことなく懐かしく何故か子どものころに野山をかけて遊んでいたときを思い出します。
さるすべりは近所の街路樹になっていることから良く知っていて、つるつるした幹と夏に咲かせる紅色の花が大好きなので、思わず感情移入してしまいました。
いっぺんに本を読んでしまうことがもったいなく、出てくる植物についてよく調べながら読み進めました。

何かと心を煩わすことが多く落ち着かない不安な日々を送っていましたが、この本を読んでいる間は心穏やかな時間を過ごすことができました。また心が疲れたときに手にとって読みたいと思います。
家守綺譚 (新潮文庫)
梨木香歩家守綺譚 についてのレビュー