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夜長姫と耳男
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【この小説が収録されている参考書籍】
夜長姫と耳男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 1~20 1/2ページ
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結論から言うと、読み終わってとても不快になり読まなきゃよかったと思ってしまいました。去年だったかマニアックな残酷描写の映画「ミッドサマー」が話題になりましたが、それと同種のものを感じました。ここでの評価が高いのは、芸術家的な感性を持った方が多いからでしょうか。 原作の坂口安吾は小説で「桜の森の満開の下」は読んだことがあります。映画化された作品も見て、耽美と官能と狂気の物語だと思いました。この時は、耽美的な作品に理屈を求めるのは野暮というものだろうとどちらかといえば美しく幻想的だと思ったのですが・・なんでこの「夜長姫と耳男」はダメだったのか・・。 耳男はすぐれた芸術家であるものの、屈折していて頑固で自分から不幸な方へ傾いていく破滅的な性格のように思えます。 夜長姫はといえば、裕福なうちで育ちわがままで世間知らず、人の気持ちがわからず情けもないというだけでなく、明らかに異常者というか人が苦しんだり死ぬのを見て喜ぶ変質者です。 そんな姫に焚きつけられてお互いを憎みあう耳男とエナコ。初めて会ったばかりなのにどうしてここまで憎悪しなくてはいけないのか?冷静に考えればバカみたいだとわかるはずなのに、相手の耳を切り落とすところまで行ってしまう、あまりにも愚かで理不尽すぎます。 クソみたいに不愉快でいやな人物しか出てきません。疫病で死に絶えてゆく村と、それを見て歓喜する姫、蛇を殺し続ける耳男・・残念ですが、自分には受けつけませんでした。 | ||||
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読み終わって感じたのは、最期の夜長姫の言葉にすごく共感したということ。 「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ」 芸術も、仕事も、このくらいの熱意がないとたしかに、ダメな結果が出るし、呪う殺す争うような気持ちが本気の気持ちだよなあ と、いう解釈をこの本に対して、した。 ただ、同時にこの本ってそういう解釈なの?!みんなはこの本どう解釈してるの?!と思ってレビューを見てみたら、死について書いている人が多かった。解釈は人それぞれ。正解はなく各々が受け取ればいい。ただ個人的に私は、この本が描く死に怖さは感じず、命に関しては特にこの本からは何も感じなかった。 かわりに私はこの本から、本気で生きることや魂を込めて仕事をすることや、アートに生きる(?)ことなど、、、そういうのを感じました。人それぞれ。でも何も感じずにはいられない本だと思う。面白かったです。 | ||||
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関心を持って読むことができました | ||||
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わたしは、馬面をして眼光の鋭い、「耳男]と名付けられたその男が奥の庭に連れて来られたのを見たとき、身震いするほどの傲岸さを感じた。 彼には尋常な精神の者ならもつことのできぬ剛毅さ、なんといえばよいのか、怖さというものを恐れぬ慢心と、己自身が生来にもつ小心さをひた隠しにしようとする反抗心とでもいえばいいのだろうか、なんとも言葉には言い表し得ぬ固陋さがあった。 彼は、その勝ち気な眼差しで私を見つめ続け、あたかも蛙を射すくめようとする蛇のように、わたしの面からその眼を逸らそうとはしなかった。 わたしはその眼の執拗さに眩しさを覚えるとともに、心の底からなんとなく微笑ましいものがこみ上げてくるのを感じ、その鼻をへし折ってやってみたくなった。この男なら、あるいは、わたしの夢を叶えてくれるかもしれない。わたしは思った。なおも歯を食いしばるようにしてわたしを見つめる彼に、なにがなんでも、この男を言いなりにさせなければ、わたしの夢は満たされないとまで感じるようになっていた。 このときわたしは十三になったばかりで、初潮はまだなかった。だが、これまで誰ひととしてわたしを女として屈服させる者はいなかった。この者の心には、これまでの男にはない土性骨ともいうべき剛毅さと、眼に見えぬ怒気が蓄えられている。まずは、その慢心の鼻をへし折ってやらなければ、わたしの言いなりにはならぬであろう。 はて、如何したものかと、ありうべき奸計を想い巡らせているとき、その男が「耳男」だと知らされたお父さまが、「なるほど、大きな耳だ」と感心したように言い放った。それをきっかけに男は顔を真っ赤にし、額と言わず、首筋と言わず身体全体から一斉に汗を噴き出し始めた。よほどその言われ方に腹が立ったのであろう。 義ならぬ機を見てせざるはなんとやら――。わたしは即座にお父さまの言葉に重ねて「本当に馬にそッくりだわ。黒い顔が赤くなって、馬の色にそッくり」と間合いのよい半畳を入れた。男はしばらく呆然とした表情で、その場に突っ立っていたが、それまでのようにわたしを見続けていることに耐えられなくなったのだろう。一閃の身震いのあと、一目散にどこかへ行ってしまった。 おそらくは、これで、男の鼻を明かしてやったことにはなろう。わたしは思った。わたしはさきほど覚えた微笑ましさが舞い戻ってきたのを感じて内心、ほくそ笑んだ。なあに、あの男はこのまま逃げて行きやしない。きっとこの家に帰ってくる、と。 案の定、男は帰ってきた。 日の暮れに邸に戻る男を目撃し、誰何した者の話を聞くと、山の雑木林にわけ入り、滝の下で長い時間、岩に腰かけていたという。そのことだけでも、あれはあれで、彼には相当な衝撃があったことは否めないだろう。 ◇◇◇ わたしがあんなことを言ったものだから、あの男は皆から「ウマミミ」と呼ばれるようになった。男のあとにやってきた二人の匠を召して、お父さまが告げた。 「ヒメが十六の正月までに御仏のお姿と厨子を作ってほしい」そして二人の機織り女たちを引き合わせて、「ヒメの気に入ったミホトケを造った者には二人のうち、美しいエナコをホービに進ぜよう」と。 ウマミミは、その女のどこを気に入らぬのかは知らぬが、その言葉を耳にした途端、エナコを嘲りの籠った眼で睨みつけ始めた。やがて、それに気づいたエナコのほうも憎しみの籠った眼で彼を睨みつけ、「私の生国では、馬は畑を耕すために使われているのに、こちらのお国では着物を着て手にノミを握り、お寺や仏像を造るのに使われているのですね」と憎々し気に口にした。 馬と言われるだけでも侮辱的なのに、男にすれば聞き捨てならぬ蔑みの言葉だったのだろう。怒気の籠った声でつぎのように言い返した。 「オレの国では女が野良を耕すが、お前の国では馬が野良を耕すから、馬の代りに女がハタを織るようだ。オレの国の馬は手にノミを握って大工はするが、ハタは織らねえ」 それを聞いたエナコは静かに立ち上がり、ウマミミの後ろに回り、その長い耳の先をつまみ上げたかと思うと、右手に持った懐剣でその耳をそぎ落とした。 「もう一ツの馬の耳は自分の斧でそぎ落して、せいぜい人の耳に似せなさい」と言うと、エナコはそぎ落した片耳の上部を男の酒杯のなかへ落して立ち去って行った。このやり取りはわたしをとても愉快にさせたが、それでもまだわたしを満足させるものではなかったのは言うまでもない。 ◇◇◇ それからややあって、わたしはお父さまに頼んで、男の度胸と慢心のさまを試すことにした。ウマミミの耳をそぎ落としたエナコに沙汰を申しつけることを頼んだのだ。 それも耳をそぎ落とされた男の手によって殺めさせる。それが目的だった。まことあの女を恨んでいようものなら、簡単に殺すことができよう。もともとはわたしの気に入る御仏を彫った者に与えられるはずの生贄のような女だ。己の手によってあの女を殺める権利があるのは、耳をそがれたあの男にとって至極当然のことに違いない。 ところが、男は携えてきた斧を、じかに土の上に坐らされ、後手に縛められた女の首を落とすためには使わず、その縛めを解くために使った。ここで少し目算が狂った。このとき、男がその女の首を刎ねてくれていたら、相当な満足感を味わえていたろうに……。 男を邸に連れてきた使いの者が、したり顔な笑みを浮かべて言った。 「ほほう、エナコの死に首よりも生き首がほしいか」 これを聞いた男の顔に血が上っていくのがわかった。どこまでも強情で、わかりやすい男である。 「たわけたことを。虫ケラ同然のハタ織女にヒダの耳男はてんでハナもひッかけやしねえ。東国の森に棲む虫ケラに耳をかまれただけだと思えば腹も立たねぇ。虫ケラなんぞの死に首も生き首も欲しかアねえや」 男は首を伸ばし、胸を反らして誇らしげに叫んだ。 そうと聞いてはますます面白い。わたしは侍女に簾をあげさせ、縁の前の土に畏まる男に問うた。「お前、耳を斬り落されても虫ケラにかまれたようだというのね」 もちろん、つぎに控える余興を成功に導くための囮言葉だ。 案の定、男は「この女を虫ケラだと思っているから、死んでいようと生きていようと、どちらの首もマッピラでさア」と豪語した。 こうなればこっちのもの。わたしはエナコに向って言った。 「エナコよ。耳男の片耳もかんでおやり。虫ケラにかまれても腹が立たないそうですから、存分にかんであげるといいわ。虫ケラの歯を貸してあげます」と、お母様の形見の懐剣を侍女に渡した。 エナコは侍女の捧げ持ってきたそれを右手にもって、ウマミミの後ろに回り、残った耳もそぎ落とした。あれだけ強がりを言い、わたしの制止を期待していたであろう男の両目に大粒の涙がこぼれ落ちそうになっているのを見届け、わたしは後ろを振り返りもせず部屋に戻った。これでもう、あの男はわたしに逆らうことはあるまい……。 ◇◇◇ それから三年が経ち、わたしはウマミミが造った像を見た。それは、一言でいえば「モノノケの像」だった。木像なのに、それは血が浸み込んだようなどす黒い赤色をしており、見れば見るほど身震いが出るほどの凄みを帯びた弥勒の像だった。もっとも、それを弥勒菩薩の像だと思う者はいなかったろうけれど……。 ああ、それから何年が過ぎたことだろう。それとも1ト月ほどでしか経っていなかった頃のことなのかしら。疱瘡が流行り出して、村の人たちが次々に死んでいった。わたしは耳男の造ったバケモノの像を厨子ごと門前へすえさせた。そのバケモノはいつの間にか、邸の門前から運び降ろされ、山の下の池のフチの三ツ又の俄か造りの祠の中に鎮座するようになっていた。 わたしは時折、高楼にのぼっては村の様子を眺めたわ。 村はずれの森の中に死者を捨てに行く葬列を見るのが楽しかった。死者を運ぶ者の姿やバケモノの祠の前で狂い死にする村人の姿を見ると、わたしは一日充ち足りた気分になった。やはり死に行く者の姿を見るほど楽しいことはない。自分自身で死にゆける者の自由さは何物にも代えがたいものに違いないわ。 毎日、人が死んでいくのを眺めては、わたしは微笑みを絶やすことはなかった。毎日が充実していたわ。そうしてあることを思いついた。 男の小屋へ行ってわたしは言った。「耳男よ。裏の山から蛇を採っておいで。大きな袋に一杯よ」 あまたの蛇を生き裂きにして小屋の天井へ吊るし、鑿を入れた像にそれらの生き血を浴びせながら咒いをこめていた耳男の姿を想像し、その当時の姿を再現したいと思ったからだ。その日、男は大きな袋にいっぱい蛇をつめて戻ってきた。 「明日は朝早くから出かけてよ。何べんもね。そして、ドッサリとってきてちょうだい」わたしは嬉々として言った。「陽のあるうちは、何べんもよ。この天井にいっぱい吊るすまでは、今日も、明日も、明後日も。早くよ。のんびりしないでね」 わたしは少しずつ少しずつ、わたしの夢が実現しつつあるのを感じ始めていた。あのウマミミが完全にわたしの言いなりになったのを確信したからだ。そう、彼は野良を耕す馬、つまりは言われるがままに蛇を採ってくる馬そのものになったのだ。 毎日毎日、日光の下で人が死んでいく。 「耳男よ。ごらん! あすこに、ほら! キリキリ舞いをしはじめた人がいてよ。ほら、キリキリと舞っていてよ。お日さまが眩しいみたい。お日さまに酔ったようだわ」 わたしは欄干から下を見下ろしながら耳男を手招きして、前方を指差した。 邸のすぐ下の畑に、年老いた農夫が両手をひろげて、空の下を泳ぐようにユラユラとよろめいている。まるで案山子に足が生え、左右にくの字を踏みながら小さな円を描いているようだ。そしてその姿はバッタリ地面に伏して四つん這いをし始めた。もはや立って歩けないのだろう。わたしはワクワクして、その農夫が死に絶えるのを今か今かと待ち受けた。 そのとき、耳男が近寄ってきて、わたしを抱き寄せた。彼はわたしを振り向かせると、情けないような、申し訳ないような、奇妙な笑みを浮かべてわたしを見た。つぎの瞬間、わたしの左胸をなにかが貫いたように感じた。多分、これでわたしは、自分の夢が叶ったのを知ることになるのだろうと思った。 | ||||
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初めての坂口安吾作品ですが、説話体で書かれているため大変読みやすく、あっという間に読了してしまいました。 残酷ではありますが簡潔な描写だからこそ、美しさが際立っていると思いました。 同じく傑作と評される、『桜の森の満開の下』も読んでみたくなりました。 | ||||
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老後の楽しみにと・・購入しました。 これからゆっくり時間のある時に、楽しみたいと思います。 | ||||
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評論家の七北数人がそう表現した不吉な印象の作品。 美しく晴れた青空の下、太陽に照らされて一人、また一人とキリキリ舞いをして、死んでゆく。ごらん!また一人死んだわ! 人が死ぬのを眺めて、どう感じるだろうか?陰惨?愉快?爽快?残酷? 皮肉にもコロナに直面した現代に生きる我々は、実感の湧かない遠い存在であった死を、いきなり身近に感じさせられる事となった。 でも、死はずっと隣にいたのに見ようとしなかっただけなのでは? 病で死ぬ、そんなの当たり前すぎる事なのに、何故大騒ぎするのか?死が怖いのか、何故?わからないから怖いのであって、直視する勇気があるかどうかだ。死は、そこにある。隠れてもいない。ただ、死がある。そのあとの事は、わからない。善悪もない。 | ||||
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I highly recommend this book. It will take a lifetime to really absorb everything, but it adds value immediately. Not necessarily a griping page turner, but definitely wanted to see what happened next. Loved this book, best one I’ve read In a long time! Enjoy! It's not a book about happy endings, rather, it's a book about how complex life in a small town can be, when it seems like everything should be so simple. | ||||
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It is only once in a blue moon that a novel captures me as this one did. For me to write a review is also a rarity. From the first paragraph to the last I was completely immersed in the plot, characters, and motifs. What a wonderful book. I couldn’t put it down. The writing is as good as you could want. I have recommended it to many people. This book is beautifully written, with descriptions of marsh landscape that captivate. | ||||
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I was hesitant to purchase this book to read on my kindle, but am so glad that I did. Loved this book. So well written I've read a lot such a different story which was so nice to read and so interesting I read this book in a day and a half in fact at 12 midnightWhat a delight, to begin the year with one of my most anticipated reads of 2019, by one of my favorite authors of all. | ||||
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This book is a long read but I enjoyed every page. Easy to read, some of them might affect diffrently to your life but overall is quite match. I would highly recommend every one read this book, no matter your age, or station in life | ||||
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This is a must read and I give it a ten out of ten! So much emotion, and written so beautifully that you could truly feel it all. It was a wonderful story, very difficult to put down, I really enjoyed this. Don't even think of NOT reading this book. I gave it 5 stars, simply because that was all there was. 10 stars would have been better. | ||||
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美しく無邪気で金持ちで若い姫、となると普通は心根の優しい娘なのだけど、この姫の心は真逆で、残酷で血を見るのが好きな女。父親の長者が姫の為に仏像を作らせるが、こんな女は呪われろと思う。他の人物も人間も黒の部分全開。怖い童話です。 | ||||
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幼い子どもが蝶の羽や虫の足を平気でちぎれるのはそれが残酷で悪い事と知らないからで 更に言うならそれが虫たちにとってどんなことかを想像する力が無いから、そして 自分がもし虫であって巨大な化物に力任せに足を引き毟られたらどうなるか、その考えに 及ばないから。 幼い時分から神格化されてしまい、誰も叱る者や諌める者がいなかったのが夜長のヒメの不幸だったのだろう。 何の曇りも無い仏の様な無垢な笑顔で、暇つぶしの児戯の様に数え切れない命を残酷に消してしまいつつも、その劫罰を決して受ける事が無かった彼女は、そのこころの深層で肥大化して行く善悪の不均衡に苛まれ常に誰かに、何かに自らを罰して欲しいと願っていたのかも知れない。 エスカレートさせていく冷酷な所業と常軌を逸した言動もそれを無意識に求めて煽るかのよう。 真っ直ぐな職人かたぎのミミオはヒメのそれらの業をただ受け入れるだけで精一杯で、大きい池の如くそれを心に溜め続けた。 だが結局、その堤防は溜まった因果で決壊し、溢れ出したミミオのどうしようもない衝動と悲しい決意で、ヒメは待ち望んだ願いを遂げる事が出来たのだと思う。 既に死をもって贖わなければならない境界線をずっと昔に超えてしまっていたことを 夜長のヒメは悟っていたのだろう。 | ||||
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昔、坂口安吾を読んでいて、読みなおしたくなり、無料で読めて良かったです。 芸術、創作、神様的なものに関心が高い人におすすめ。 | ||||
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坂口安吾の作品は、何作か読んでいるのですが、漫画化されている作品は初めてです。 近藤ようこと言う漫画家も全く知らない作家でしたが、絵やコマ割りもなかなか読み易いものでした。 「夜長姫と耳男」と言う作品は、原作も読んだことはありませんでした。 物語全体のイメージは、「凄惨さ」です。 黄金で産湯を使った夜長姫の「冷血さ」が際立っており、耳男がそんな中耳を切り落とされます。 耳男の作る弥勒像は、蛇の血を塗り込んだモノノケ像ですが、これを夜長姫は気に入ります。 その上で、夜長姫の像を作ることになります。 夜長姫は、蛇を集めさせ、その血を飲み、像に塗り込みます。 彼女は、像に呪いを込めて、村人たちを次々に死に追い込みます。 耳男は、このままでは世界を壊してしまうと、夜長姫を殺してしまいます。 死に際して、姫は好きなものは呪うか、殺さなければいけないと語り、耳男の作ったモノノケ像も、だからこそ素晴らしいと言い残します。 この辺りの安吾の言いたいことは何なのか? 「美しさ」「素晴らしさ」は、究極まで突き詰めてこそ生まれると言いたいのかも知れません。 ただ、近藤ようこの言うような「何かの上澄みのように清らかな話」とは、私には感じられませんでした。 | ||||
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坂口安吾の原作か。 しかし この作品は 近藤ようこの 作品である。 この作品を これから みつづけることになる。 しあわせを かんじる。 感謝。 | ||||
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「夜長姫と耳男」は、安吾の作品の中でも、人気があり評価の高い作品です。 近藤ようこさんは、これを2008年にマンガ化されていますが、今回岩波現代文庫から装いを変え、再刊されました。 安吾の作品は、1952年に発表されましたが、とりあえずその内容を簡単に説明してみます。 夜長の長者には、一粒種の美しいお姫様がいました。 長者は、匠3名を競わせ、姫のために弥勒菩薩を彫らせることを考え、耳男は、病気の親方の代理として長者のもとに参じます。 長者は、姫の気に入った像を彫りあげたものには、美人の機織り娘、えなこを与えることを約束します。 さて、その宴会の席で、えなこは、耳男を罵りその長い耳を切り落してしまいます。 その報いとして、長者は、えなこを斧で殺すように命じますが、耳男は、逆に戒めを解き、えなこを解放するよう求めますが、 姫は、耳男の発した言葉を逆手に取り、えなこにもう一方の耳をそぐように命じます。 これ以後、耳男は、あの時の姫の笑顔を見返すため、馬の物の怪をつくることを決意し・・・・・。 すみません長くなりすぎました!!物語はこの内容なので、説話風に語られていますが、安吾の芸術に関する考え方、 女性観、恋愛論、などが色濃く出ているように思います。 それらは、姫の最後の言葉「好きなものは、咒うか、殺すか、争うかしなければいけないのよ」に象徴的に表現されています! 私感ですが、非常に映像的な作品だと思います。鬼気迫る耳男の精進・・・具体的には本書を読んでください・・・、 美しく残酷な姫、疫病の流行、恐ろしい物の怪の像、近藤さんは、それらを見事にマンガ化しています!! | ||||
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美しい話です のろう、殺す、争う それしかないのは男性だからかな | ||||
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「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。」 芸術は、恋は、そういうものなのか?それは安吾の苦しみだったのかもしれない。凡人が凡庸に生きている分には味わわない苦しみかもしれない。異形の匠と異様な姫との奇譚。こういう作品を作ることができる、ということが恐ろしい。 | ||||
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