日輪の遺産
評判
日輪の遺産の評価:
4.06/5点 レビュー 68件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1〜14 1/1ページ
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日輪の遺産の評価:
4.06/5点 レビュー 68件。 B ランク
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昭和20年終戦直前と現代(平成初期)を交互に話は進む。
日本軍がマッカーサーから奪った時価250兆円にもなる金塊の行方云々とあって、一見冒険小説のようだが、そうではないことはなんとなく知っていた。ましてや宝探し小説でもない。
歴史秘話を絡めた現代に生きる主人公たちの再生物語と言えばよいか。
戦中パートの中心となる軍人三人が比較的リベラルな好漢に設定されているので安心して読んでいたら、もっとも<ネタばれ>"お国のために"洗脳されていたのが女学生たちだったという哀しいサプライズ。
サプライズと言えば、中盤まではマルキン金原の立ち位置についても仕込まれているのだが、ここのサプライズはかなり早い段階で気づいてしまった。ただし金原がなぜビジネスに巧みだったのかは、<ネタばれ>なし崩しに土地の資産家の入り婿の立場になって土地を転がせたというだけでは説明は足りないw
冒険小説としての爽快感など皆無の割に、一気に読み終えたということはそれなりに面白く読んだと言えないこともないのだが、随所に引っ掛かりを覚えて十分に愉しめなかったというのが正直なところ。
著者のかなり初期作品にあたることもあって、上のような描写不足も多少は関係しているだろうが、引っ掛かったのは別の点だ。
以前読んだ『壬生義士伝』は数ある新撰組ものの中でも一頭抜きん出ていたし、著者は自衛隊上がりということもあって、それほどおかしな歴史観ではない筈だと信じて読んだのだが、うーん、さすがにサヨク思想の垂れ流しではないものの、残念ながら、GHQに誘導された戦後の歴史観にまんまと従っている。
そのうえで、暴走した日本軍の中にも立派な人だっていたんだよ。日本人も卑屈にならなくてもいいんだよといったところ。
バブルが弾けてから世に出た小説なので、応援歌の意味合いもあったのかもしれない。
しかし情けない事にGHQ史観なので……。
特に後半の主要人物のひとりであるダグラス・マッカーサーには、不満と言うより、あまりにヨイショした造詣でやや気持ち悪いくらいだ。
完全に常人を超えた偉人として造形されている。
同じく後半の主要人物のひとりで、視点人物でもあるマイク・イガラシは、日系二世の属性に従って、ニュートラルな感性でマッカーサーに会うが、たちまちマッカーサーに魅了されて、地上で最も尊敬する人物だと言わしめている。
本書のすぐ前に読んだのが『変見自在 マッカーサーは慰安婦がお好き』だから、多少は毒舌による知識を薄める必要はあるかもしれないが、フィリピンでマッカーサー親子二代で集めた金銀財宝が、来たるべきフィリピン独立のための資金だったというのは、トチ狂い過ぎだろう。
父のアーサー・マッカーサーは、アメリカに歯向かったみせしめとして、フィリピンの老若男女を大量に殺しましたけど……。
息子はたしかに、後に米議会で日本の戦争は防衛戦争だったと証言したけれど、少なくとも本書のように、昭和20年の赴任早々から日本のことを、世界一勤勉で、勇敢で、優秀な民族だと思っていたはずがないし、クライマックスの彼の行動には到底納得できない。
敬虔な彼にとっては、異教徒の怨念など物の数ではなかったのでは?
本国ではブタの餌のトウモロコシを日本に有償で支給して、がっぽり稼いだ男だしww
もう一点だけ、ストーリーのダメだしを。
<ネタばれ>現代パートに繋がらない小泉中尉には、代わりにマッカーサーに直談判する見せ場が用意されているが、彼の日本経済建て直しの“天才的な秘策”は、四年後に実施されたドッジ・ラインをそのままパクっている。
補助金の廃止や1ドル=360円の固定相場を導入したこれら一連の施策は強力なデフレ誘導である。
これが上手くいったのは、翌年に始まった朝鮮戦争による特需があったからで、昭和20年の段階で安易に導入されていれば、その混乱はとんでもないものになったであろう。
彼の秘策は、決して天才的ではない。
最後に生き残った双方の関係者が顔を合わせながら、多くを語らない叙情的なラストは、さすがは著者の力量を感じるが、設定的に多くの無茶や無知があって残念。