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レアンダの英雄
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レアンダの英雄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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古本で読みました。著者アンドリュー・ガーヴ(1908-2001)の没後20年以上にして初めてその著書を手に取った未来というか後世の読者です。ですので、著者や刊行当時~その後、著者のファンだった読者層からは時代的に隔離されている人間です。 まず第一に「時代がまったく違うなあ。でもヒーローは若くハンサムで(たぶん)それ以上にたくましくて陽性な性格でまっすぐな男でかっこいいなあ」と人物造形のストレートな凄さに圧倒。ここまで堂々たる王道ヒーローの一匹狼のヨットマン、やっぱりかっこいいです。他の全てをそぎ落としたところで特殊進化した地点に造形される男らしさ。 欧州文明が作り出してきた連綿たる伝統的なヒーローの20世紀海洋版というか。そしてヒロインが植民地からの独立運動に熱を上げるピュアな少女という所がまた第二次世界大戦後、雪崩を打って世界中の権益と植民地を失っていった欧州の時代を感じさせるものでした。 この本、1959年に出版され、2年後の1961(昭和36)年にすばやく翻訳。1960年はアフリカの年で17国が独立し、同年、日本では安保反対運動が盛り上がった…と、筆者はその時代、生まれてもいないのこの本を読むとき①冒険小説を楽しむ②もはや2020年代現在とはまったく隔絶された、意識構造はそのまま同じなのに、常識も考え方も世界観もまったく違う世界の過去のパラレルワールドにトリップし、近現代史をたどり直す、という二つの楽しみ方をしました。 その後60年、日本で自民党が政権を取り続けたあとの時代から見ると、A 政治に対して清新な期待をしている B 欧州人の植民地政策なのか、もはやそれが差別という意識さえしていないが、生活での適応というものか、まったく違う文化の人間として土人のように植民地の人間を見ている意識、が、なんだか古き良き(なのか?)欧州の植民地帝国の意識さえも問わず語りに伝わってくる時代の風も感じました。 物語は(もう60年前の作品なので解説しても良いでしょう)①独立運動の指導者を孤島から奪取する②その指導者の持つ政治のマイナス面が現れる。そこから展開が一気呵成に走り出すのですが、この指導者も55才ぐらいでありながら、そして情報操作では達人のイギリスからの独立を目指しながら、このような自身のマイナス面を、支持者でもあるヒロインに吐露するのはどうしたものかなあ。 その結果「一寸の虫にも五分の魂」ヒーロー、ヒロインが凡人としての選択をして、痛快な結末にたどりつくので…。 忘れ去られた本なのかもしれません。2023年に読んだ筆者は、刊行から64年後の読者です。それは大正末期の芥川龍之介の新作を、吉本ばななと村上龍が栄えていた平成初期に読むぐらいの懸隔です。時代によって作品の新奇さは風化して消滅し、この作品は内容で時代を乗り越えたかと言えばどうかは判りません。しかし内容の普遍性、政治の性質やヒーロー・ヒロインの魅力は健在でした。そしてその書かれた時代の意識を垣間見せてくれたタイムトリップでもありました。 面白さは保証します。 この船の航行する海面に反射する光を登場人物たちとともに見る思いの中で読み終えました。 なによりも訳者神谷芙佐さん(ご結婚後は小尾芙佐さん)。彼女がこの本を訳していることの凄さ。 1931年に生まれた彼女はこの58年後、2019年にも訳書を刊行しておられます。その活躍期間、じつに還暦。昭和と同じぐらいの長さです。筆者は1980年代、彼女の訳でアシモフを読んだのでした…。いまの小尾さんが、60年前の訳書を見てどう思われるか、心からの敬服とともに、時代について、内容について、今の印象をお伺いしてみたいと思います。神谷さん=小尾さん、ありがとうございます。そしてこれからも! | ||||
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海洋冒険奇談ともいうべき、イギリスらしい作風の小説。アンドリュー・ガーブは、5作くらい 読みましたがこれが一番面白かったです。 最後のどんでん返しは、推理小説では、よくあるタイプなんですが、弱者の開き直りというのが 痛烈に感じられる味わい深いもので、読後の爽快感は半端ありません。 | ||||
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原題A Hero for Leanda(1959年) 『死と空と』(1953年)、『メグストン計画』(1956年)と並ぶ冒険ミステリ系統の代表作。 (純然たるサスペンスとしては巧妙な盗作事件を扱った『ギャラウェイ事件』(1958年)と平凡な家庭を蝕む恐怖を描いた『黄金の褒賞』(1960年)をお勧めする) ヨットマンの主人公が幽閉中の英国植民地解放運動指導者の孤島からの救出を請け負うが・・・。 ほぼ登場人物は三人だけだが(主人公・解放指導者、彼を崇拝する女性レアンダ)解放指導者の食わせ物ぶりが露わになった辺りからページをめくる手が止まらなくなる。 サスペンス溢れる無駄の無い展開、雄大な海洋描写、そして驚きの結末と清々しい読後感、ガーヴの美質が象徴された傑作。 | ||||
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