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絶望トレジャー



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【この小説が収録されている参考書籍】
絶望トレジャー

絶望トレジャーの評価: 4.25/5点 レビュー 4件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(5pt)

絶望的な面白さ

君島シリーズ、事実上の最終作。

今作も抜群に面白かった。ストーリーの面白さやサイバーセキュリティのネタの魅力はもちろんなんだけど、なにより構成が上手すぎる。

フラワシとの戦いを描いた長編ストーリーでありながら、連作短編集のような作りになっていて、各章ごとに、いかにもありそうなネット上のサービスが紹介され、その裏側に隠された恐るべき真実が明かされる。
こんなミステリーの作り方があるのかと唸らされた。

しかし一番やられたのは、大胆かつフェアな叙述トリックである。違和感を覚えながらもまったく気付けなかった。
メイントリックが叙述トリックのミステリはあまり好きではないのだけど、こういう構造上の仕掛けは大好物。鮮やかでした。

で、『絶望トレジャー』というタイトル通り、今作は最終章への引きを作るために(?)これでもかと絶望的な展開が描かれる。
はっきり言って、ここから君島が逆転できるビジョンが浮かばないくらいには絶望的だ。

だが……一番絶望したのは、シリーズが事実上、打ち切りになっていることである。

もしかしたら将来いつか最終巻が書かれるかもという淡い希望も、最終巻のプロットが『原発サイバートラップ』なる作品に転用されたということで、露と消えた……

こうして色んな意味で絶望したわけだが……
一田和樹・サイバーミステリという新しい世界を教えてくれたことに感謝して、氏の本を読んで絶望をかき消そうと思います。
とりあえず、アナザーストーリーの『フラワシの群れ』から読もう。

いや、でもやっぱり……君島シリーズ最終巻、なにかの手違いで出してくれませんか…?
絶望トレジャーAmazon書評・レビュー:絶望トレジャーより
4562051159
No.3:
(3pt)

分量が…

内容は面白いんですが、分量的に文庫本くらいの価格帯だと申し分ないです。
絶望トレジャーAmazon書評・レビュー:絶望トレジャーより
4562051159
No.2:
(4pt)

明かされるフラワシの正体

セキュリティ・コンサルタント君島悟が、サイバー・セキュリティのさまざまな事件や
トラブルを解決するシリーズの第4作。

これまでの作品では、主人公が技術系ハッカーというよりは、ソーシャル・エンジ
ニアリングに長けているプロということで、読み進めるのにそれほど技術的な知識は
必要ありませんでしたが、本作はちょっと集中して読み進めないと理解するのが
難しい内容でした(私だけかも知れませんが)。

本作は5つの独立したストーリーに、フラワシとの対決が共通して根底に流れています。
特に終盤で、フラワシの正体が明かされます。

他の作品同様、安定感のある面白さで、サイバー・ミステリーが好きな人にはオススメのシリーズ作品です。

このシリーズは全5作の構成で、
「檻の中の少女」
「サイバーテロ 漂流少女」
「サイバークライム 悪意のファネル」
「絶望トレジャー」
「掌の迷宮」(未刊)
と続いていて、現時点ではまだ完結していません。

本シリーズは、短編形式のアナザーストーリーが、作者のホームページから
パスワードつきPDFでダウンロードできるようになっていますが、どれも
一読されることをオススメします。
絶望トレジャーAmazon書評・レビュー:絶望トレジャーより
4562051159
No.1:
(5pt)

この仕掛けはすごいです。知識欲と謎解きの楽しさを満足させてくれる傑作!

ネットセキュリティー君島悟シリーズの第4弾です。君島シリーズは全5作の予定なので、ファイナルに向けての秘密や仕掛けが満載です。

長編小説でありながら、章毎にネットセキュリティーについてのトピックスが配置されていて、短編小説集のような味わいもあります。
第1章『絶望トレジャー』はマルウェアの危険性について。
第2章『暗号遺書』はネット上における本人身元確認について。
第3章『黄昏のテイクダウン』は個人情報について。
第4章『掃除人』は忘れ去られる権利について
もちろん長編として各章は直線で繋がっているのですが、これらのトピックスが第5章で有機的に結びつけられ、事件の真の意味が明らかにされます。
著者はネットセキュリティーの専門家なので、各章における問題提起は興味深く、かつ深刻で、何度もうなずきながら読みました。

ネタバレにならないように伝えるのが難しいのですが、ぼくが読んでいて、一箇所違和感がある場所がありました。
その違和感の正体を最後に知ったときの驚きは「こんな手法があったのか」と、まさに目からうろこがボロボロ落ちました。
この違和感というのは、直接的なものではなく、間接的なものですが、読者になんとなくそういう気分を持たせるのが作者の狙いと思われます。
そうすることで、そのシーンの記憶を鮮明にしてラストの驚きを強化させ、さらにあえて居心地の悪さを抱かせることで、それらが一気に開放されるカタルシス感を増幅させることに成功しています。読者としても、気持ちの良いだまされ方でした。
このテクニックは、本当に驚きました。これを具体的に説明してしまうのは非常にもったいないので、ぜひとも、読んでその技を味わって欲しいです。

ひとつ改善してほしい点を挙げると、書名だけでは君島悟シリーズであることが分からないことです。シリーズ物を第1作から読みたいひともいると思うのですが、出版社の戦略なんですかね?
絶望トレジャーAmazon書評・レビュー:絶望トレジャーより
4562051159

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