黒猫になった教授
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
黒猫になった教授の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アントニイ・バークリー作品の愛好家として楽しみだった一冊。まずはこの本が邦訳されて紹介されたという事を喜びたい。 「プリーストリー氏の問題」が軽やかな中にも人間の本質が現れる爽やかなユーモア小説だったのに対し、こちらは対照的に人間の自己中心的な側面が多く現れ、どこかほの暗い世界観が見え隠れする作品。バークリーとしてはもしかしたらこちらに本質があるのかもしれない。 この本は人体実験によって人が猫になってしまうという娯楽作品。肉親、あるいは友人、知人が猫になるという状況はそもそも荒唐無稽だが、それに対する登場人物の反応が作り物めいてみえてしまう。作品発表当時のロンドンでは大ウケだったのかもしれないが、現代の日本においては無邪気に笑えない所が多い。それでも複数のプロットが並行して進む構成や同じ間違いを繰り返す(迷)探偵パートなど、面白く読める所もある。 バークリー愛好家のための、博物学的な一冊。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アントニイ・バークリーが別名義で発表したコメディ小説で、系列としては、同じくA・B・コックス名義で既訳の「プリーストリー氏の問題」に属する。 両者は、後年に顕著なブラックな要素は少なく、若い男女のロマンスを取り入れつつのドタバタ劇という点が共通している(ちなみに、「プリーストリー氏の問題」の方がよりロマンス要素は濃い)。 「SF風」と紹介されているが、教授が黒猫へ自らの脳を移植する部分が非現実的という意味でSF風ではあるものの、複雑な理論や難解な用語は一切使われておらず、SF初心者でもまったく抵抗なく読める。 黒猫になった教授が遭遇する苦難を描き、その黒猫を巡って様々な登場人物の思惑が入り乱れつつ、ストーリーはユーモア満載でスピーディーに展開する。 ハッピーエンドーの結末で読後感も良い。 と、こう書くと満点のようだが、気になる点もある。 おおまかに言って、若いカップルとその二人に立ちふさがる敵役というわかりやすい構図になっており、一見すると前者が善人で後者が悪人というふうに思えるが、よく考えてみると前者は利己的だし、後者にもそれなりの理があるように思え、いまいちモヤモヤ感が残るのだ。 もっとも、この点をバークリーがどこまで意図しているのかは判断はつかなかったけれど。 それはともかく、様々な個性的な人物を書き分けつつ、ダレルことなくストーリーをまとめあげる筆力はさすがはバークリーといったところ。 上記のように気になる点はあるものの、楽しく愉快な作品であることは間違いないところで、少し甘めの星5つです。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 2件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|