人類対自然
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あらすじ
ミランダ・ジュライ絶賛! 米作家のデビュー短篇集配偶者を亡くし自活できない男女が、収容先で再婚に向けて奇妙な再教育を受ける「前に進む」。大洪水のなか水没をかろうじて逃れた自宅で、助けを乞う人々を追い返して生き延びてきた男が、ある男をボディガードがわりに唯一受け入れたところ……「最後の日々の過ごしかた」。会議中に襲来した怪物から逃げまどいパニックに陥ったエリート役員たちが、死を前にして思い至ったのは……「やつが来る」。友人と出かけたボートが遭難し、来る気配のない救助を待つ男が、長年の友情が幻想だったと突きつけられる表題作。特異な生殖能力を持つため、あらゆる女に追い求められる″みんなの男"が、落ち着いた関係を望みはじめたとたん……「おたずね者」。抽選で〈不要〉と認定された子どもたちが繰り広げる、一瞬も気を抜けない苛酷な生存競争を描く傑作「不要の森」など。不条理な絶望の淵で生き残りをかけてもがく人々の孤独と微かな希望を、無尽の想像力で描く、ダークでシュール、可笑しくて哀しい鮮烈な12篇。本書は多数の新人文学賞を受賞、最新長篇The New Wildernessは2020年ブッカー賞最終候補作になり、将来を嘱望されている。(「BOOK」データベースより)
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評判
人類対自然の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 - ランク
人類対自然の総合評価:
10.00/10点 レビュー 2件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
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「(夫の死後の)すべきことが終わると、斡旋班はかばんふたつに必要なものを、どんな気候でもやっていけるものを詰めるように命じます。家と車の鍵は回収されます。やがて職員が家に入り、すべてのものに値をつけ、売り出し中の広告を出し、近所の人がみんなやってくるでしょう。そのころわたしはここにいませんが、前によその家がそうなるのを見たことがあります。売上は持参金に加わり、そしていずれ、うまくいけば、別の男性がわたしと結婚するのです。選ばれる可能性は高いと言えます。わたしには室内装飾の才があり、家にあるなかなか上等な家財道具が売れれば、持参金は魅力的な額になりそうですから」。
「連れていかれる女性用シェルターは州間高速自動車道へつづく道路沿いに建っています。敷地を囲むフェンスを越えることは、その先は未開の荒れ地だからという理由で許されていません。夜になると空は星で埋めつくされ、遠くで獣が吠え声をあげます。・・・男性用シェルターは道路の向かいにあります。・・・新しい夫はどんな人になるのでしょうか」。
「資料やパッケージが山ほど配布されます。スケジュールと規則が伝えられ、生活習慣や容姿を改善するためのアドバイスもされます。ここは厳重に封鎖された保養施設のようなものです。わたしたちは各種クラスの受講を勧められます。料理、裁縫、編み物、園芸、受胎、産後の体の回復、育児、女性らしい自己主張、ジョギング、栄養学、家政学、出席者が寝室の知恵を教えあうクラスや、強制参加の『前に進む』セミナーもあります」。
「一日一時間、北棟の外にあるフェンスで囲った運動場に出ることを許されます」。
「(男性シェルターの窓辺の男性と)手を振りあったあと、わたしは窓の前で服を脱ぎました。背後では電灯が明るくともっています。彼はもっと近づこうとするように両手を窓ガラスにつき、じっと見つめていました。今夜は彼の部屋のあかりが消えているので手は振りませんが、それでもわたしは明るく照らされた窓辺で服を脱ぎます。暗闇から彼が見つめているのか、それともほかのだれかが見ているのか、その点については知りようもありません。わたしは夫を愛しました。夫のやさしさを失ったことが悲しい。ほかのだれかがやさしさのような感情をわたしに抱いてくれると今は信じるしかないのです。そのためならなんだってします」。
「ここから出る唯一の道は選ばれることです」。
こういう施設には絶対に入りたくない、そう思わせるのは、著者の筆力なのでしょう。