人類対自然



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    初公開日(参考)2022年04月
    分類

    長編小説

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    人類対自然 (エクス・リブリス)

    2022年04月02日 人類対自然 (エクス・リブリス)

    ミランダ・ジュライ絶賛! 米作家のデビュー短篇集 配偶者を亡くし自活できない男女が、収容先で再婚に向けて奇妙な再教育を受ける「前に進む」。大洪水のなか水没をかろうじて逃れた自宅で、助けを乞う人々を追い返して生き延びてきた男が、ある男をボディガードがわりに唯一受け入れたところ……「最後の日々の過ごしかた」。会議中に襲来した怪物から逃げまどいパニックに陥ったエリート役員たちが、死を前にして思い至ったのは……「やつが来る」。友人と出かけたボートが遭難し、来る気配のない救助を待つ男が、長年の友情が幻想だったと突きつけられる表題作。特異な生殖能力を持つため、あらゆる女に追い求められる″みんなの男"が、落ち着いた関係を望みはじめたとたん……「おたずね者」。抽選で〈不要〉と認定された子どもたちが繰り広げる、一瞬も気を抜けない苛酷な生存競争を描く傑作「不要の森」など。 不条理な絶望の淵で生き残りをかけてもがく人々の孤独と微かな希望を、無尽の想像力で描く、ダークでシュール、可笑しくて哀しい鮮烈な12篇。本書は多数の新人文学賞を受賞、最新長篇The New Wildernessは2020年ブッカー賞最終候補作になり、将来を嘱望されている。(「BOOK」データベースより)




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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.2:
    (5pt)

    ここから出る唯一の道は、再婚相手から選ばれることです

    ディストピア短篇小説集『人類対自然』(ダイアン・クック著、壁谷さくら訳、白水社)に収められている『前に進む』は、配偶者を亡くし、あるいは配偶者に去られて自活できない男女がシェルターに収容され、再婚に向けて奇妙な再教育を受ける様が生々しく描かれています。

    「(夫の死後の)すべきことが終わると、斡旋班はかばんふたつに必要なものを、どんな気候でもやっていけるものを詰めるように命じます。家と車の鍵は回収されます。やがて職員が家に入り、すべてのものに値をつけ、売り出し中の広告を出し、近所の人がみんなやってくるでしょう。そのころわたしはここにいませんが、前によその家がそうなるのを見たことがあります。売上は持参金に加わり、そしていずれ、うまくいけば、別の男性がわたしと結婚するのです。選ばれる可能性は高いと言えます。わたしには室内装飾の才があり、家にあるなかなか上等な家財道具が売れれば、持参金は魅力的な額になりそうですから」。

    「連れていかれる女性用シェルターは州間高速自動車道へつづく道路沿いに建っています。敷地を囲むフェンスを越えることは、その先は未開の荒れ地だからという理由で許されていません。夜になると空は星で埋めつくされ、遠くで獣が吠え声をあげます。・・・男性用シェルターは道路の向かいにあります。・・・新しい夫はどんな人になるのでしょうか」。

    「資料やパッケージが山ほど配布されます。スケジュールと規則が伝えられ、生活習慣や容姿を改善するためのアドバイスもされます。ここは厳重に封鎖された保養施設のようなものです。わたしたちは各種クラスの受講を勧められます。料理、裁縫、編み物、園芸、受胎、産後の体の回復、育児、女性らしい自己主張、ジョギング、栄養学、家政学、出席者が寝室の知恵を教えあうクラスや、強制参加の『前に進む』セミナーもあります」。

    「一日一時間、北棟の外にあるフェンスで囲った運動場に出ることを許されます」。

    「(男性シェルターの窓辺の男性と)手を振りあったあと、わたしは窓の前で服を脱ぎました。背後では電灯が明るくともっています。彼はもっと近づこうとするように両手を窓ガラスにつき、じっと見つめていました。今夜は彼の部屋のあかりが消えているので手は振りませんが、それでもわたしは明るく照らされた窓辺で服を脱ぎます。暗闇から彼が見つめているのか、それともほかのだれかが見ているのか、その点については知りようもありません。わたしは夫を愛しました。夫のやさしさを失ったことが悲しい。ほかのだれかがやさしさのような感情をわたしに抱いてくれると今は信じるしかないのです。そのためならなんだってします」。

    「ここから出る唯一の道は選ばれることです」。

    こういう施設には絶対に入りたくない、そう思わせるのは、著者の筆力なのでしょう。
    人類対自然 (エクス・リブリス)Amazon書評・レビュー:人類対自然 (エクス・リブリス)より
    4560090726
    No.1:
    (5pt)

    第三次世界大戦?

    大きく出ましたね。「人類対自然」とは!
    ここまで大げさなタイトルにされると、
    ちっぽけな自分の人生がますます委縮して・・・
    うじうじ悩む自分が恥ずかしくて、身の縮まる思いです。

    12篇の短編集。
    その中の表題作「人類対自然」に注目しました。こころに残りました。

    幼なじみの男友だち三人が狭苦しい救命ゴムボートの中で何日も何日も漂流する物語です。
    著者は、ダイアン・クックさん。1975年生まれの女性作家。

    すっかり男の気持ちと身体感覚になって書いています。
    すごい、というか、男じゃないのに男の生理が良く分かるね、というか。

    漂流という極限状態を描いています。
    死がすぐそこに迫ってきているというのに、
    男三人は<身近か>というか、それぞれ自分の過去の心の内を吐露します。

    人類にとっては、どうでもいいような、ろくでもない人生の、くだらん過去を。
    人生は夢、まぼろし。長年の友情は幻想。
    幻覚に襲われた放送作家のダンは、水の中にみずから入っていってしまいます。
    「ダンは人魚と暮らすはめになって」(119頁)しまいます。ハハハ。

    「番組名はどうする」
    ダンはパチンと指を鳴らした。「『人類対自然』だ」(110頁)
    「人類対自然」は、ゴールデンタイムのテレビ番組の番組名でした。

    「戦争はつづく。ドカーン。ゴールデンタイム」(110頁)
    「今回起こった戦争にはまだまだいろいろあるんだ」(113頁)
    「事態はどんどん悪くなっている。一般市民が武器を取って反乱軍を追い出して」(114頁)
    「これは人類にとっての悪夢だ。第三次世界大戦」(114頁)   (大惨事・・・)

    放送作家のダンは、くるってしまった様子。

    「第三次世界大戦があって、おれたちはこのくそったれのゴムボートから永遠に出られない」(119頁)
    「フィルはカナダの話を思い出した。戦争の話を。シロイルカのピンクに染まった頭が息継ぎのために黒い水面を割って出て」(123頁)   (軍事用イルカ)

    本書『人類対自然』の原書が刊行されたのは、2014年。
    この訳書が日本で発行されたのが、2022年4月。
    2022年5月、いまだロシア軍のウクライナへの爆撃が執拗に続いています。
    ウクライナに立っていた、旧ソ連時代の古い<友情>の銅像が、
    切断の上、倒されるのをテレビで見ました。

    表題作品「人類対自然」に描かれた、フェイクな友情。その真実に息が詰まりました。

    《備考》
    <表紙カバーの装画>

    ふー、読者は息苦しくなってしまい、いっぷくしてしまいました。
    表紙カバーの装画(木村晴美さん)を見て、ドキドキする心をしずめました。
    装画に描かれたのは、ガス欠で立ち往生してしまった赤いプレジャーボート。
    その上で、そろいもそろって目をむいた男が三人、呆然と途方に暮れています。
    「口ひげ」(99頁)があるのは「ダン」だから、真ん中の男ですね。
    「ロスの日焼けしたはげ頭」(98頁)? はげてはいないみたいですけれど、右端の男?
    残る、左端の男は「離婚した四十歳」(121頁)の「フィル」、ということになりますね。
    助けを<待つ>だけの三人。画面背景の緑色の木は「常緑樹」(123頁)の<松>でしょう。
    「フィルは新しいにおいに気づき、頭を上げた。マツだ」(123頁)。
    人類対自然 (エクス・リブリス)Amazon書評・レビュー:人類対自然 (エクス・リブリス)より
    4560090726



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