偏愛執事の悪魔ルポ



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    初公開日(参考)2022年05月
    分類

    長編小説

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    偏愛執事の悪魔ルポ (講談社タイガ)

    2022年05月13日 偏愛執事の悪魔ルポ (講談社タイガ)

    明治時代から続く旧家・春風家。その屋敷で夜助が仕える春風琴音嬢は、完璧なご主人様だ。 ただ一点、天使になる運命を課されていることを除いては。 琴音に本物の天使になられてしまうと、悪魔の夜助はもはや傍にはいられないーー。 だからこそ、今日も夜助は琴音を堕とすために奮闘する! 巻き込まれ体質のお嬢様が直面する様々な事件。 夜助と琴音が居合わせる時ーーその事件は天使と悪魔の両方の姿を見せる。 「悪魔的解決方法」と「天使的解決方法」がぶつかり合う、新感覚ラブミステリー!(「BOOK」データベースより)




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    No.2:
    (5pt)

    悪魔の方程式の帰結はいつだってご主人様である、Q.E.D。

    仕事は比較的できるんですが、ひたすらに残念なポンコツ執事「夜助」がお仕えするご主人様「春風琴音」嬢を仰々しく褒め称える形容がなんとも微笑ましい「人の死なないミステリ」です。

    夜助の心の声イコール地の文は要素を取れば、とってもあたまがわるくも、いとおしい……と言えます。
    全体として流れを追っていくならともかく、各個に取り上げたらご主人様LOVE以外なにひとつとして情報が伝わってこないであろう章題はまさしく必見でしょう。

    ただし、視野を広げて全体の構成を見れば頭がいいと言い切れます。
    なぜならば、ご主人様への愛を(心の中で)叫びまくる夜助のやかましさも極まれば、聖人君子なご主人様の愛らしさが、彼女の紡ぎ出す推理とともに読者の胸中にも溶け込んでいくのです。
    きっと、本編中の夜助の主張通りに万人が導き出せる必然の帰結かもしれないと思わされたのが私です。

    なお夜助が自分は「あくまで執事」などとのたもう時点でパロディネタが盛り込まれていることは自明ですが、わかればクスリと笑える隠し味に留まっており、本筋を邪魔していないのが個人的に好印象です。
    作品のテイストとしては連作短編ミステリー、前後編もあるよ! という体裁ですが、各事件の難易度はそれほど高くはありません。本作のウリになっているのは二本立ての解決パートの方となっております。

    そんなわけで本作は、探偵役が主従の二人組から成り立つラブコメ&ミステリ作品なのです。
    まず事件発生に当たって先行するのは夜助ですが、彼が志向するのは「悪魔的解決法」なるメソッドです。夜助の正体は前述した通りに「悪魔(あくま)」なのでパッと見で分かる事実に準じて、悪意に基づいた解法を披露することで後味の悪い方向に事件を持って行こうとするのです。

    ただし心の中での妄想に留まるため、本筋は主の弁論で回っていくことになります。
    (読者目線では)夜助の解決を受けて、ご主人様である令嬢「春風琴音」が人間離れした善意に基づき紡ぎ出される「天使的解決法」を本題として衆目のもとにお出しするという構成を取っているのです。

    一見事実としてはそう見えても真相は別にある、事実は一つでも視点を変えれば解釈が変わる、善意に基づけば目が届かない情報がある、単にミスリードだと看破した。
    などと、結論に至ったパターンこそさまざまですが、総じて完成度で言うなら後者の推理の方が上なので、当時者たちは時に痛みを抱えながらも納得してハッピーエンドの方へと導かれていきます。

    なお前者の推理は踏み台ですが、夜助は無垢なご主人様の腰掛けになって悦ぶ変態なので本懐でしょう。
    余談ですが家具になるプレイは「フォーニフィリア」といって、SMの世界では究極の形のひとつとして取り上げられているそうです。と、一応断っておくと作中ではギャグとして流されているのでご安心を。

    まじめな話をしますとそもそもミステリは悲劇が下敷きになっていることが多いため、人の不幸を楽しむ人の悪さ、読者の心理を先に回収しておくというのは地ならしとして必要な過程なのかもしれません。
    お膳立てをしたなら人の悪い読者相手でもご主人様の善性とハッピーエンドを信じさせることができる。

    また悪魔という超常存在が関わってきますが、事件の過程に影響を及ぼせても、そもそもの事件の発端や結末にまでは関与しないというバランス感覚なので、フェアプレイを崩すことはありません。

    あと夜助は悪魔のくせに妙に人がよくて俗っぽく、ご主人様を持ち上げることが最優先なので他をこき下ろしに手が回る風でもありません。言ってしまえば器用になりきれないんですよ。
    そのため種族と立場を越えたロマンスというよりコメディの住人としての存在感ばかりを高めています。

    ちなみに本作なんですが、なぜか行く先々で事件が発生してそれを解決する「名探偵」なんて存在が成立しうるのかという昨今のミステリに対するメタな疑問に関する回答が導入から与えられていたりします。
    いわく。ご主人様が行く先々でトラブルに巻き込まれる体質なのは天使候補で神の試練だから、というぶっ飛んだ理由だったりします。まぁ悪魔がいるなら天使がいても必定、逆も然りという理屈ですか。

    ミステリというジャンルにおいて事件の謎を解くことはできても、事件を防ぐタイプの探偵は難しいという指摘もある中で、これは結構な発明かもしれませんね。なぜなら破滅的なところで落ち着く可能性が高い、いつ発火点を迎えるかわからない事件が「運命(神)」の差し向けで向こうからやってきてくれる。
    よって事前に芽を摘んでおくことで、悲劇を未然に防ぐという観方もできるわけですし。

    反面、そんな理屈を知ったこっちゃない夜助としては、人の醜さを知ってもらってご主人様を只人に堕としたいと願います。先述した通りに、妄想を事件が起こる都度こねくりまわすことになります。
    主人と別れたくないという本音は、ご主人様を悲しませることにもなることとの二律背反であり、煩悶と葛藤を抱えることになるわけです。この辺、主従のすれ違いにも通じてなかなかやきもきです。

    安易な結末に辿り着かずに、人の善性を信じ抜き希望を模索し続けようという琴音嬢のスタイルはそんな夜助に支えられてこそのものなので、なんとも痛しかゆし。
    お互い通じ合っているのに根っこのところで秘密を抱えていて、別れの予感を感じさせる。

    けれども夜助がズッコケワードを洪水のように量産してくれるので、そんな寂しさを微塵とも感じさせない――、とっても元気になれるミステリだと私は思いました。
    ふたりが出会ったきっかけでもある琴音の両親の死の真相という、今後の展開に向けたフックは未解決のまま用意されているので、ここはぜひとも続刊を期待したいですね。

    現状では「Love(ラブ)」コメディというより、「Laugh(ラフ)」コメディ寄りかなと思いましたが、その辺はきっと次にやってくる事件、次々やってくる事件が解決してくれると思いましたから。
    偏愛執事の悪魔ルポ (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:偏愛執事の悪魔ルポ (講談社タイガ)より
    4065280117
    No.1:
    (4pt)

    あくまで執事の妄想日記

    天使候補のご主人様を闇落ちさせるのさせないのと悪魔で執事な夜助の妄想を、「天使的解決」で皆善人とする琴音嬢。
     ファウストのだらだら続く鬱陶しい叙述をカットして爆笑コメディに仕上げたらこんな感じかなという作品です。
     「火曜サスペンス劇場」のごとく、いいところでCMならぬ次章へ続くで話が途切れることにもしっかり言い訳。
     今時「火サス」も火サスのテーマも知っている読者様がどれだけいるのかは不明ですが。
     ご主人様こと琴音の両親の事件や夜助が地獄と縁切りした事情は伏せられているので続編が出るのかな?
     ご主人様は表紙イラストのようなロリータではなく22歳の成人女性ですし、夜助は悪魔で執事ですが服装はスーツで某執事マンガの燕尾服に白手袋ではありません。
    偏愛執事の悪魔ルポ (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:偏愛執事の悪魔ルポ (講談社タイガ)より
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