人喰い鬼の花嫁
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結論から先に申し上げますと色々と「惜しい」作品であったと思います。 私個人は著者たる「綾里けいし」先生のファンですが、それはそれとして客観的に断じればオススメはできかねます。綾里先生の紡ぐ世界に踏み入ろうという方には、より適切なものがありましょうし。 同時期に発刊された綾里先生の作品の中には、人と人ならぬものの交流をテーマとした作品が散見されます。綿密な形での紹介は省きますが、それらはコメディやミステリなどそれぞれ異なったメインジャンルを採用しています。気になった方はリサーチしたうえで、各々の好みを探られるのもいかがでしょうか。 さて、そんなわけで話を戻してさっそく本題に入らせていただきますね。 本作のあらすじとしては、継母と義理の姉に虐待され自尊心が殺された主人公「春日部莉子」がアヤカシの御大将の一角「酒呑童子」に見初められ、花嫁として迎えられるというものです。 言うなら和風「シンデレラ・ストーリー」+「異類婚礼譚」を基本のストーリーラインとしているわけです。 いたってシンプル、特に説明を必要としないであろう王道の筋立てになっています。 代わりとばかりに、物語のバックボーンは凝っているのですけれどね。 詳細はまたも省かせていただきますが、まず妖怪とアヤカシを種族として似て非なるものとします。その上で後者を超然とした高みに位置するものとしながら、人と寄り添い生きる隣人と定義したのは面白い試みかと。 名と姿を借りて、限りなく本物に近いけれどそのものではないというのは残酷ながらに面白い距離感ですね。 酒呑童子や玉藻の前が人と共存するためにはこれくらいの荒業が必要だと言えばきっとそうなのですが。 なお時代設定としては2020年代、妖怪たちとの全面戦争という悲惨な過去を乗り越えた現代日本です。 災禍を乗り越え平和を謳歌する日本の現状は、主人公の身の上とダブらせるねらいもあってでしょうか。 また、作品の舞台もアヤカシたちの支配する特区のような扱いになった「京都」に限定されています。 アヤカシたちが跋扈する不可思議な情景に現代の風物が入り交じる世界観のこと、私は好きですよ。 美醜が混然一体となった作風は今回はお休みで美しさ一本で話を作っている向きはあるものの、いつもの綾里先生の筆致に従っています。ゆえに全般的には高レベルでまとまっていると感じる次第です。 柔らかさと仰々しさを織り交ぜた形容で美しさを謳いながら、俗っぽさも混ぜ込んだ親しみやすい文章は変わらず素晴らしい。それと短いページの区切りの中、ぎゅっと詰まった描写の密度も素敵でした。 ただし、急展開過ぎる印象を受けたので星の数は落とす形となります。 ラストに向け意外な事実が二度、三度と判明するのですが、それまでに張っておくべき伏線が乏しかったのか唐突感が目立ちました。ページ数が足りないのか、文庫本一冊で完結を目指して急いてしまった感触です。 また、メインのストーリーラインにおいては主人公の陰鬱な過去が最後まで尾を引いたのが痛かったと思います。要所要所でラブを高らかに謳い上げるパートはきちんと用意されていたのですが……。 現代に馴染んでいるアヤカシたちというモチーフもどちらかと言えばライトポップに取り扱われていただけに、莉子と酒呑童子の危うい関係が描かれた本筋と少し嚙み合っていなかったようにも感じられました。 主人公である莉子のとにかく善良で自制的な内心の語りは好きなんですけどね。 自己評価の低さの裏返しですが、誰に対しても丁重極まる対応ですし。そんな彼女だからこそ、陰惨な展開に転ぶか否か? という危機感が読者にも共有されて話に緊迫感をもたらしたのはアリだと思います。 ただ、この手のシンデレラ・ストーリーで主人公を虐げてきた輩は不快な小物に終始することが多いのです。 他方で、主人公の脇を固めるキャラたちは魅力的に仕上がっています。そのため主人公を虐待してきた実家ではなく、素敵なアヤカシと花嫁たちの方に尺を割けばもっと面白くなったのになと思わないでもないです。 本作における構成を見渡せばそちらに注視することも、きっと必要なことだと思えてくるのですけれどね。 神話伝承からイメージが借用できるとは言え、五大のアヤカシとその花嫁たち、主人公たちを含むところの計十名のキャラを立たせた。それから軒並み好感度を高めた、それら手管が巧みなだけにここも惜しい。 そんな彼ら彼女らが総出演しての、嫁比べの祭りという魅力的なシチュエーション「魅せ合い」がいったんのクライマックスパートとして置かれるにとどまったことも、残念といえばそうなのかもしれません。 反面、最後の種明かしに絡める形で強引にデウスエクスマキナをやらかしてくれる豪快なノリは嫌いではなかったりもします。その辺のパートについてはちと雑だなと自分は思うのですが、そちらも込みで好きです。 後味が悪くなりそうな要素をことごとく潰して、強引にハッピーエンドに持って行っていただけました。 以上。 時に、ここからは一読者の無責任な放言として受け取っていただきたいのですが、本作についてはもっと上手く話を組み立てられたのでは? という無念の方が先立つ小説だったと私は思っています。 冒頭に話を戻せば、そういった意味での「惜しい」という評価ということになるのです。 個人的には莉子と酒呑童子との間のラブと「魅せ合い」に注力したエンタメに徹するか。 もしくは主人公の過去の克服というシリアスに傾注するか、なにかひとつのコンセプトに専念していただきたかった感もあります。……、その辺にまで注文を付けるのは筋違いですね。失礼いたしました。 とまれ、シンデレラ・ストーリーを行うにあたって現代を舞台にした場合に問題になりそうな要素をアヤカシという人外の花嫁になる形で大方潰したこと。それにシンデレラが幸せになっているその陰で、顧みられる機会に乏しかった、とある要素に目を向けたことについては大いに評価したいですね。 実のところ、本作はただひたすらに優しいファンタジーとして仕上げられています。 その辺を最初から念頭に入れるかどうかでも、また評価は違ってきそうです。 実を言えば私は、タイトルがかなり不穏なのでエグい方向に話が転ぶことを覚悟していました。 よって私の場合、主人公の揺れ動く心情に振り回されたことにより、読書体験がいい方と悪い方の両方に転んだと申し上げておきます。うだうだとここまで書いておいてなんですが、切って捨てるにはあまりに惜しい。 ただし手放しには薦めづらい。これまた冒頭で取り上げた評価の繰り返しになってしまうのが辛いところ。 と。先述したように展開に雑味を感じた部分はあったとはいえ、私の読み筋が間違っていただけという可能性はあります。どうも私自身もこの評価付けに納得しきれていない部分があります。 初読の際の感想に従って私は星三つで当面の評価を固めたのですが、どうかこれら駄文をお読みになられた志ある方がいらっしゃいましたら――、どうかこのレビューのことを覆していただきましたら幸いです。 | ||||
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異類婚姻譚のシンデレラストーリー、特に「鬼」の花嫁を題材にした作品は多いです。異類婚姻譚はそれなりに読んできましたが、本作がいちばん酷かった。 虐げられてるシーンもあまりに少なく、どちらかと言えば「自分は死んで当然」のような心理描写ばかりでとにかくよく分からないに限る。冒頭はとにかく解説ばかりで退屈で、他の花嫁達が出てきても、キャラが全く活きてないので面白くも何ともないです。個性はあるのでしょうが、キャラの説明が圧倒的に足りない。義理姉の事も何だかよく分かりませんし、義理母、義理父のことなどもっとよく分からない。 正直、異類婚姻譚、鬼の花嫁、シンデレラストーリーが出尽くした今、このような薄っぺらい作品を新刊で出す必要性があるのかどうか。流行りに乗っかったんでしょうが、非常に残念ですね。文体もストーリーも、有名なラノベ作家だとは思えないくらいに酷くて、講談社タイガもなぜこれを出したのだろうと疑問で仕方ありません。 ストーリーもキャラクターも、オリジナリティがまるでなく、二番煎じにすらなってない内容量。 改行、空行が異常に多く、それで文字数稼ぎをしているようにしか思えず大変退屈で無駄な1冊でした。素人のWeb無料小説の方がまだ面白いかと。 | ||||
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この設定だと被ってくるのは仕方ないですが、いろんなお話のミックスのような印象でした。桔梗が後妻の子供なのに姉?連れ子?と最初ちょっとよくわからなかった。でも最後にほんとの主役は桔梗だったのでは?と思わせられました。烏天狗ちょっと切ないですね | ||||
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