爆弾魔: 続・新アラビア夜話
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種別
長編
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評判
爆弾魔: 続・新アラビア夜話の評価:
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爆弾魔: 続・新アラビア夜話の総合評価:
9.33/10点 レビュー 3件。
感想一覧
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Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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第一部→「新アラビア夜話」(講談社古典新訳文庫)
第二部→「眺海の館」(論争海外ミステリ)
にほとんどが納められている。
この「爆弾魔」のみ未訳だったということで、ようやくシリーズの全貌が明らかになったわけだ。
この本を読んで、未訳だった理由がよくわかった。
駄作とは思わないが、この作品のみ毛色が異なるのだ。
前2冊がいかにもスチーブンソンの冒険ロマンの佳編であるのに対しこの「爆弾魔」は現代で言うスラップスティックコメディの味わいなのである。
物語は第一部の主人公フロリゼル王子がゴッドオールと名を変えて経営する煙草屋(と言っても日本で言うタバコ屋ではなく、酒やコーヒーのかわりに高級タバコを供するカフェのようなもの)で三人の若者が顔を合わせるところから始まる。
この三人が三人とも落ちぶれ食い詰めたた上流英国紳士という恰好で、教育もあり性格も悪いわけではないのだが知識階級としてのプライドが邪魔して普通の職業にはつけない、明日からどうしよう・・・・と悩んだあげく「紳士の唯一の職業」探偵として冒険に身を投じることを決意するのだ。
ストーリーは三人それぞれの「冒険」を追っていく形で進行するのだが、主人公たちがいまでいうところの「生活力のない中二病のにいちゃん」みたいな感じなのでどうにも締まらない。敵役の”爆弾魔”も実は同じような人物で、「こんなヤツ放っといても大して問題ないんじゃないかな」と思えるくらい。面白くないとは言わないが、迫力がないことおびただしい。千夜一夜物語らしく劇中劇の形で挿入される「破壊の天使の話」や「美しきキューバ娘の話」のほうがよっぽどストーリーの吸引力があるぐらいである。
と首をひねりながら読んでいたのだが、最後の章に至ってスチーブンソンの意図がわかったように思った。
これはスチーブンソンが自分の生み出してきた冒険ロマンに決着をつけた一作なのではないだろうか。
第一部の主人公、フロリゼル王子は中世の貴種流離譚から抜け出してきたような高貴さと威厳を備えたヒーローだった。第二部「眺海の館」の主人公は過去を捨て、自らの恋と友情のため徒手空拳で死地に臨む「鎧なき騎士」だった。
それに対し、第三部の主人公たちはどうだろう?
実生活に役に立たない知識とそれに基づく知識階級としてのプライドしか持たない彼らは置かれた状況に決断ができず右往左往し、「謎の美女」たちにには振り回されてばかりで最後になっても自力で事件に幕を引くことができない。物語を駆動させているのは明らかに女性たちなのだ。
その情けなさは、しかし現代の我々にも親しさを感じさせるものではなかろうか。
最後になってやっと舞台に姿を現し、主人公たちに代わって鮮やかに事件を「締めて」見せるフロリゼル王子は「しっかりしなさいよ、お若い方々」と言う作者自身の姿なのかもしれない。
繰り返しになるが、この「爆弾魔」が単品として「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」のような傑作だとは思わない。
しかし、スチーブンソン作品のファンなら読んでおくべき一冊だと思う。