紅葉街駅前自殺センター
- 新潮エンターテインメント大賞 (1)
- 通り魔 (99)
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私がこの小説にたどり着くに至った経緯を書かせてもらうと、ネットサーフをしていて、たまたま著者・光本氏のブログを読んだから。そしてこのAmazonを覗いて初めて、著者がすでにこの世にいないことを知った。 レビュアーの中には、自殺と決めてかかっている人もいるようだが、ブログを見る限り、著者は精神を病んでいて薬を服用していたので、死因はどうも薬の大量服用・誤飲による事故死のようだ。 著者のブログは「光本正記 CRUNCH MAGAZINE」で検索すると出てくる。ツイッターも残っているので、これも著者の創作物ではあるし、読んであげたら少しは著者の供養になるかもしれない。 それにしてもこれらを読んでみると、今の新人作家のおかれている状況は想像以上に厳しいらしい。私は新人作家はデビューしたら、売れなくても数冊は出してもらえて、それがいずれもダメなら人知れず消えていく、となると思っていた。今では出版社に余裕が無く、デビュー作がそこそこ売れないと2作目は出してもらえないようだ。 私は、過去何人かの新人作家の作品をこき下ろしてきたが、2作目が出ていない作家は、才能が無かったというよりデビュー作が売れなかったからなのか。逆に売れて無いようで何冊も続いて出している連中は、結構たいしたものなのだな。 著者のブログにも、次々と編集者に出版を断られる苦悩が綴られ、苦しみから逃れるように薬の量を自己判断で増やし、不幸な事故につながってしまった。 故人のご冥福を祈るとともに、ご遺族には心からのお悔やみを申し上げたい。 おっと、小説のレビューをしないといけない。 ・・・暗い、とにかく暗い、暗すぎる。 登場人物は皆ことごとく死を志向する。主人公はためらいもなく自殺の道を突き進み、終盤に出てくる別れた元妻に至っては、子供を通り魔に殺され、その通り魔が死刑になると、自らも自殺の道を選ぶ。他にも連続切断魔だの、殺したがる人もいろいろ出て来て、全編とおして自殺、殺人、死刑のオンパレードだ。まともに天寿を全うした登場人物なんか出てきたかしらん。 これをダンカンの映画「生きない」のように、コミカルに描いてくれると面白さもあるのだが、逆に非常にシリアスだ。 この小説は新潮エンタテイメント文学賞を受賞した作品だが、私の英語の理解が間違っていなければエンタテイメントとは「娯楽」という意味だろう。 ・・・これが娯楽になるのか。この小説を娯楽作品だと思って賞を与えたのなら、選考関係者や出版編集者の感性はどうかしている。むしろそっちのほうが怖い。 そもそも「~自殺センター」なんてタイトルの本が売れるはずもない。著者には悪いが、私もこんなタイトル・内容の本が手元にあること自体、気持ち悪さを感じている。これからすぐに図書館に返しに行こう。 この作品でデビューしてしまったことは、著者にとっても不幸なことだったろう。 最後に、著者にはヒモになって生活の面倒を見てくれていてその後別れたキャバクラ嬢の元彼女がいたはずだが、彼女は著者の死を知っているのだろうか。いや知っているだろう。 著者と彼女が恋に落ちた時、「売り物に手を出した」とキャバクラの店長やヤクザにさんざん殴られ、それを知った彼女は涙を流していたとブログにある。その後著者と暮らすようになった彼女にとって、著者と過ごした日々は幸せなものだったと思いたい。 それが故人にとっての最大の慰めであり、この本を「知ってしまった」私にとっても救いとなる。 これを書きながら、さだまさし「セロ弾きのゴーシュ」という歌を聞いている。切ないいい曲ですよ。 | ||||
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面白い設定なんだけど、オチが今一つ。往生際が悪いのも、超常現象的に奇跡を起こしてくれちゃうのも、それまで分が台無しな感じ。 とりあえず、「最後に会いたい人」とか「最後にやりたい事」なんかがある人はやめとけば?と思った。それは「未練」な訳だから。かな。 「死ぬと決めた人間が、どうして暴力を怖れるだろう」には、おいおいそれ違くないかい?と突っ込みたくなった。 自分なら「死ぬのはいいんだけど、痛いのは嫌だ」から。 | ||||
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「自殺」が国によって管理されている、近未来が舞台の物語。 「自殺センター」という設定がとても秀逸で興味深く、一日で読了した。 センターの設立経緯は少し説得力が足らないと感じたが、そのシステムについてはストーリーと上手く絡みあい、主人公が追い詰められていった過程が無理なく提示され、押しつけがましくなく、共感できる。 短時間で読み終えることができたのは、読みやすい文章も手伝ってのことだ。 どこか村上春樹を思わせる文章だが、村上作品に見られるような主人公の嫌味さ(少し語弊があるかもしれない。村上作品を貶めているわけでは決してありません)は感じられない。 エレベーターの老人や、虐待を受けていた少女など、印象的なエピソードも多いが、わたしが特に好きなのは元妻からの手紙。いつもの、茶目っ気がある彼女らしい文章がとても良かった。 終盤の急展開と、霞がかったような結末は賛否が分かれると思う。 エンターテイメント的なカタルシスを期待して読んでいたわたしは肩透かしをくらった。 兄の周辺については、もっと別のかたちで開示してほしかった。 けれど、絶望の中に灯った希望が確かに感じられて、わたしは、結末の先、二人が手を取り合って歩いていけるよう、強く祈った。 | ||||
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小説としては綺麗に完成していると思います。しかしそれだけの様に感じました。 一歩一歩確実に踏み固めたかのような整った文章に魅力を感じましたが 裏を返した言い方をすれば展開としてはそこまで浮き沈みを感じないな、という事です。 そうして盛り上がりを見せようとした最後の展開もやや無理があるように思いました。 飲み物に例えるなら無味無臭のミネラルウォーター、色で言うならば白、ただし端っこに一滴だけ墨が零れている。 そういった雰囲気がお好きな方とは相性が良いかもしれません。 | ||||
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小説としては、整っており、読ませる筆力を感じる。 しかしながら、半分を過ぎて、ネットで作者本人が昨年35歳で亡くなっていた、長年、鬱病を患っていた等の情報を得てから、作者への反発が沸いてくることを抑えられない。 物語として、例えば、カルト教団が自殺を止めにくるあたりは、面白みを感じたが、特殊な兄や両親の性格がリアリテイを感じなかった。 最後のおちも、ごたごたとしていて、主張がよくわからず、完成度が高いとは言えないと感じた。 作者当人は、本作が世に一定の評価を得たので、納得の自死なのだろうか。 しかし、ご当人は、息子の命が奪われたなどという、世間が理解を示すような死の理由があったのだろうか。 そんなことも感じてしまう小説である。 | ||||
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