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トラ さんのレビュー一覧
トラさんのページへレビュー数21件
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4編の連作短編ミステリです。
本(特にミステリ)を読むのが大好きな女子高校生が登場してくる・・・と言うだけで、読む前からわくわくしてしまいます(笑)。しかも、相手役となる男子高校生が、ジャンク映画フリークという設定なので、なおさらです。 「恋文」 本好きの祖父母の本棚から、孫娘の日柳(ひさなぎ)永美(えみ)が本を探していたら、ある本の中に、独身時代の祖母が書いた手紙が挟まれているのを見つけ、そこから話が膨らんでいきます。 しかも、その手紙は封がされたままなので、開いて中の手紙を読んでみると・・・。 祖母の記憶を頼りに、その手紙に書かれていることの意味を推理していくと、いくつかの事実が明らかになるにつれて、事件性のニオイもしてくると言うことで、いつの間にか、その話に引きつけられてしまいました。最後も驚きの結末で上手くまとめられていて、読後感も良いです。 また、手紙が挟まっていた本が、都筑道夫の「七十五羽の烏」と言うところも良いですね。 でも、祖父と祖母の出会いのシーンは、ちょっとベタですけど・・・。 「男は関係なさすぎる」 ジャンク映画フリークの高校生・柚木崎(ゆきさき)渓(けい)が、看板メニューのチョコレート・ドーナツにはまって通っているという喫茶店・「ブック・ステアリング」で、店主の梶本と会話しながら、話が進んでいきます。 この「ブック・ステアリング」は店内に、本棚に並べられたり、飾り棚にディスプレーされた本がたくさん置いていると言う店で、そういう設定にも、心が躍ります(笑)。 店主の梶本の亡き姉が映画俳優で、かつて彼女が出演していたいくつかのジャンク映画を、柚木崎が知っていたということもがわかり、柚木崎と梶本の話が盛り上がって行きます。 お店のボードに貼ってあった新聞記事の切り抜きに、店主・梶本の卒業校であり、柚木崎が今現在通っている高校の「校長が替わった」という記事で、その先生の事を思い出しながら、話が進む中で、梶本が当時から少し疑問に思っていたいくつかの事柄が解決されていきます。 ちょっと話が飛躍しすぎかなという感がしないでも無いですが、一つの仮説としては面白いのじゃ無いでしょうか。 「パズル韜晦(とうかい)」 友人の祖父が、書き残したミステリの結末を推理するという話です。 元刑事だった友人の祖父が、犯人が首を持ち去っていくと言う連続殺人を扱ったミステリを書き始めたのに、最後の結末を書かずに亡くなってしまったということで、その原稿を預かり、日柳と柚木崎の二人で話をしながら推理を進めていきます。 作中に、ちょっと懐かしい「解体諸因」(西澤保彦の第一作)の話が出てきたりと、興味深く読みましたが、メインの話はイマイチでした。 最後には、ちょっと笑ってしまうような落ちもありました。 「さよならは明日の約束」 梶本の高校時代の同級生・屋敷万理子が、たまたま出会った日柳と柚木崎コンビの後をついて「ブック・ステアリング」に入っていき、彼女が「卒業の時に書いた色紙に、確かに書いたはずのコメントが無い」と言う話から始まり、梶本が日柳の祖父母を知っている・・・と言う話に発展していきます。 最初は、話がどのように進展していくのかよくわかりませんでしたが、なかなか洒落た落ちで終わりました。でも、これって、現実的では無いですね。 一作目の「恋文」の印象が強かったので、それほど面白くは無かったのですが、私はこういう落ちは嫌いではありません。 1960年代から80年代の昔話を持ち出してきて、高校生がその当時の謎に切り込んでいくという流れになっているので、当時を生きてきた人には、ちょっと懐かしさもあって楽しめるのでは無いかと思いますが、若い世代の方にはどうなんでしょう。 主人公も、同世代の人から見たら、それほど魅力的でも無いし、話自体も興味を引く話ではありません。 読む人の世代によって、意見が大きく分かれるミステリですね。 私としては、子どもの頃から、こんなコーヒーショップをしたかったので、ちょっと気に入って居ます。 |
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