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クラーク・アンド・ディヴィジョン
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クラーク・アンド・ディヴィジョンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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CA在住、日系3世作家ナオミヒラハラ氏の日系ミステリー新シリーズ第1弾。2世庭師マスアライシリーズ(『ヒロシマ・ボーイ』)等、これまでの作品は現在の物語であり、過去を振り返るシーンで戦時中日系人の身に起こった事柄が散りばめられていた。今作は正に戦時中に焦点が当てられ、アメリカにいた日系ファミリー目線で、当時の状況や人々の暮らしが入念なリサーチのもとに描かれている。 日本生まれの親を持つ2世が、戦時体験を描いた自伝や小説は数あるが、当時の貴重な実体験を窺い知る事はできても、やや表現の古さや感情のバリアを感じ、まるで模範的作文を読んでいる心地になったりする。その点、ヒラハラ氏のような今の作家が手がけると、新鮮な空気と共に情景や人々の息遣いが蘇り、現在への繋がりを感じられる。戦後40年経ちレーガン大統領が日系人に謝罪し補償金が支払われたとか、日系政治家やアスリートが活躍するとか、その後を知っているのもあるだろうし、911後のムスリム系アメリカ人に対するヘイト、コロナ禍のアジアンヘイトへの、日系アジア系コミュニティーのリアクションも決して無関係とは思えなくなる。 シカゴの「クラーク・アンド・ディヴィジョン」駅近くで、悲しみを抱えながら新生活を始めたイトウファミリー。アキは姉が自ら命を絶ったとは信じられず、元ルームメイトや職場を訪ね歩き、警察に乗り込みもして独自に調査を開始する。同時に図書館での職を得、ポーランド系やアフリカ系の友人もでき、ストロベリーアイスを楽しみ、ダンスパーティーに繰り出したりして青春を謳歌する。とはいえ時はまだ戦時下、2世男子が米軍兵としてヨーロッパへ出征してゆく様も描かれる。 原書発売から3年、前作『ヒロシマ・ボーイ』も担当された芹澤恵氏による邦訳本が発売された。芹澤氏のテンポのよい飄々とした文体は人物に息を吹き込み、まるで自分もシカゴの街にいるような臨場感に溢れており、姉の陰に隠れていた日系の女の子がひとりの個を持つ女性へと成長する物語としても充分に楽しめる。続編Evergreenの邦訳本も、引き続き手がけて頂けると嬉しい。 | ||||
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第二次大戦中のアメリカで日系人の受けた様々な差別を背景に、駅で「事故死」した姉の死の真相を日系二世の女性が探る物語です。「背景に」とは書いたものの、私の心を揺さぶったのは、むしろ日系人たちの苦労話の数々。姉の死を巡る謎を探っていくと、さらなるアメリカ社会の権力の腐敗と人種差別・女性蔑視が明らかになっていく、という深みのある社会派ミステリーでした。結局、物語から80年後の今の日本も、アメリカにいいように使われているだけなんでしょうね。この本を読んで、改めてそう思いました。 | ||||
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