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クラーク・アンド・ディヴィジョン



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【この小説が収録されている参考書籍】
クラーク・アンド・ディヴィジョン (小学館文庫 ヒ 2-4)

クラーク・アンド・ディヴィジョンの評価: 4.33/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.33pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

シカゴのストリートが一人の女性の"アイデンティティ"の確立を見届ける

読むのに少し時間を要しました。
 1940年代の米国。カリフォルニア、トロピコで暮らす日系二世のアキ・イトウが主人公。1941年。真珠湾攻撃。日米開戦。1942年3月、カリフォルニア州に暮らす日本人は米国籍があるなしに関わらず収容所に送られます。イトウ家が送られた場所は、マンザナー強制収容所。そして、米国に対して忠誠心を持つと認められた収容者は収容所を出ることを許されます。イトウ一家は戦時転住局(WRA)によってシカゴへと転住させられます。先にシカゴへ向かったアキの姉、ローズとの出会いを楽しみにしてシカゴに到着した一家を待っていたのは、ローズがシカゴの地下鉄の事故で亡くなったという知らせでした。ローズの死が自殺と処理されたことに違和感を覚えたアキがど素人ながらその死の真相を調べ始めます。果たして、ローズに何が起こったのか?アキはまるで「米国私立探偵小説」を知る非力な女神のように真相に向かって一歩、一歩近づいていきます。
 私は一人のスリラーの読み手ですので、中盤まではその物語の進捗の遅さに少し辟易としました。そのミステリ的興趣についても特に感心できることはありませんでした。
 しかしながら、最後まで読み通すことができた理由は、一人の「ニセイ」の女性の生活感溢れる日常が生き生きと描写されていたことに他なりません。
 「わたしたち日系人もほとんどがアメリカで生まれたアメリカ人だということだ。」(451p.)という静かな主張に裏付けられたアキ・イトウのアドレッセンスの物語は、その頃のクラーク・アンド・ディヴィジョン駅界隈のストリートが一人の女性の"アイデンティティ"の確立を見届けることで終わりを迎えます。
 とてもいい小説でした。
 ◻︎「クラーク・アンド・ディヴィジョン "Clark And Division"」(平原直美 小学館文庫) 2024/7/13。
クラーク・アンド・ディヴィジョン (小学館文庫 ヒ 2-4)Amazon書評・レビュー:クラーク・アンド・ディヴィジョン (小学館文庫 ヒ 2-4)より
4094072683

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