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かかる軍人ありき



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【この小説が収録されている参考書籍】
かかる軍人ありき (伊藤桂一戦記文学シリーズ)

かかる軍人ありきの評価: 4.43/5点 レビュー 7件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.43pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(4pt)

コレラ蔓延から10数万の兵士を救ったロートル軍医少尉の話

だいぶ前に本書を読んで、表題のエピソードに感心した。戦争が終わって中国戦線の日本軍が引き上げのために上海付近に続々と集まってきたが、まともな上下水道などない環境で、衛生資材も乏しく位の高い軍医たちが悲観的なことを述べる中で、一番低い階級のおっさんが、コレラ菌は酸に弱いので口から入った食物が満遍なく遺産に晒されるようにすれば蔓延しない。そのためには胃酸を薄めないために食事と一緒に水を飲まないようにすれば良い、と進言する。確かに理屈はその通りだし、他に良い方法もないのでそれが採用され、みんな帰りたい一心で実践したところなんとかコレラの蔓延を抑え込むことができたという話だった。本書に収められた話はそういう現実的合理性で一貫していて読んで気持ちよかった。
 上記エピソード自体にも感心したが、現存の精神科医で一番偉いと思われていそうな中井久夫氏が著書の中でこのエピソードを引用しているのを見つけて思わずほくそ笑んでしまった。中井久夫氏は常々みずからがミリタリーオタクであることを開示し、神戸大学附属病院の精神科病棟の新築に携わった際には1930年代の英国の条約型重巡洋艦の設計思想を参考にしたなどとも述べているが、そういう愛嬌の表出も中井久夫氏が偉いとされる一環なのではないかと思った次第。
かかる軍人ありき (伊藤桂一戦記文学シリーズ)Amazon書評・レビュー:かかる軍人ありき (伊藤桂一戦記文学シリーズ)より
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No.6:
(3pt)

なかなか読んで貰えないでしょうね。

良く書けていてこのようにしないと戦争はうまくいかないのだという教訓集です。粗暴な日本人が多すぎましたね。著者は実際に戦争に行き、軍曹までしかなられなかった本当の兵隊さんです。昨年99歳でなくなりました。合掌!
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No.5:
(5pt)

最強のビジネス書

下手なビジネス書なんかより何万倍もビジネス書してる本だなぁと思った。
人間は過去に学ぶことが多いという事を学ばせてくれる。貴重な本である。
しかも、ミニエピソードの主人公はいずれも日本人で、また実に日本人的なスタイルで困難を克服してゆくために、ジョブスだとかの成功譚を読み漁るよりははるかに肌に馴染みがいい。
戦地、それも外地という一見日本的ルールの通じない場所で、それでも不器用ながら日本人らしい誠実さと奥ゆかしさで様々な危機を乗り切り、敵地の住民とも信頼関係を築いてゆくこの本の主人公たちに学ばされることはとても多い。
単なる過去の戦記ものとして置くにはあまりにも勿体ない。
下手な「○○しなさい」系ビジネス書を読み漁るより、島耕作に心酔するより、この本一冊を読むほうがはるかに益があると思う。
現代の、特に海外で仕事をしようと思うビジネスマンの方にはおすすめ。
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No.4:
(5pt)

事実に基づいているので、味わいや人間性に納得があります。

伊藤桂一さんの文体は簡潔で、そこはかとない悲しみや親しみと尊厳、哀しさを感じる美しい日本語で書かれています。

美しい泉水を感じさせる文体と比喩したいと思います。

兵隊と軍人・将校についての真実を事実に基づいて書いています。

事実に基づいているので、味わいや人間性に納得があります。

『 戦場小説というのは、死生の間のできごとが材料になっているので、他のいかなるジャンルの作品も及ばないほど、内容はきびしくドラマチックである。

しかも戦争------というものについて、深刻に考えさせられる意味をも持っている。

戦場小説は、その性質上、戦中時代、ことに戦場生活の体験者に愛読熟読されるが、他世代の人たちも、戦場小説のもつ劇的な意味を理解すると、離れがたい牽引力を、その作品に覚えるようである。

内容が劇的であり、しかも空疎な作り物ではないのだから、当然、説得力もある 』

『 妻や恋人がいてもはるかに遠い存在だ。

おまけにそれに後ろ髪を引かれるものだから、つい心に隙ができて、人より先に弾丸に当たったりする。

死ぬまぎわに妻や恋人の名を呼び続ける兵隊を何人もみたが、きいているほうがつらい。

要するに自身が不毛不遇孤独の方がずっと楽だ、としみじみ思ったものである。

現世に執着を持たずに生きることの有利さ、について学んだのもこのときである、

寂しいが、実に気楽なのだ
(結局、この生の哲学が気に入って準棒したのだから、私も戦場で相当頭がイカれてしまったわけだろう)

もっとも、虚心に戦場を生きたおかげで、私はかえって戦場の事象や風物を、冷静克明にみまもることができ、これがずっとのちに文学の仕事の上で、大いに役立ってくれることになったのである。

かりに、ひとりの女のことにでも拘泥していたら、ほかのことは眼に入らなかったかもしれない。

不遇'''というのは、ひとつのだいじな資産のようだ 』

真実とは、何が幸いしているかわからないものです。
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No.3:
(5pt)

戦場小説というのは、死生の間のできごとが材料になっているので、他のいかなるジャンルの作品も及ばないほど、内容はきびしくドラマチックである。

伊藤桂一さんの文体は簡潔で、そこはかとない悲しみや親しみと尊厳、哀しさを感じる美しい日本語で書かれています。

美しい泉水を感じさせる文体と比喩したいと思います。

兵隊と軍人・将校についての真実を事実に基づいて書いています。

事実に基づいているので、味わいや人間性に納得があります。

『 戦場小説というのは、死生の間のできごとが材料になっているので、他のいかなるジャンルの作品も及ばないほど、内容はきびしくドラマチックである。

しかも戦争------というものについて、深刻に考えさせられる意味をも持っている。

戦場小説は、その性質上、戦中時代、ことに戦場生活の体験者に愛読熟読されるが、他世代の人たちも、戦場小説のもつ劇的な意味を理解すると、離れがたい牽引力を、その作品に覚えるようである。

内容が劇的であり、しかも空疎な作り物ではないのだから、当然、説得力もある 』

『 妻や恋人がいてもはるかに遠い存在だ。

おまけにそれに後ろ髪を引かれるものだから、つい心に隙ができて、人より先に弾丸に当たったりする。

死ぬまぎわに妻や恋人の名を呼び続ける兵隊を何人もみたが、きいているほうがつらい。

要するに自身が不毛不遇孤独の方がずっと楽だ、としみじみ思ったものである。

現世に執着を持たずに生きることの有利さ、について学んだのもこのときである、

寂しいが、実に気楽なのだ
(結局、この生の哲学が気に入って準棒したのだから、私も戦場で相当頭がイカれてしまったわけだろう)

もっとも、虚心に戦場を生きたおかげで、私はかえって戦場の事象や風物を、冷静克明にみまもることができ、これがずっとのちに文学の仕事の上で、大いに役立ってくれることになったのである。

かりに、ひとりの女のことにでも拘泥していたら、ほかのことは眼に入らなかったかもしれない。

不遇'''というのは、ひとつのだいじな資産のようだ 』

真実とは、何が幸いしているかわからないものです。
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No.2:
(5pt)

伊藤桂一さんの文体は簡潔で、そこはかとない悲しみや親しみと尊厳、哀しさを感じる美しい日本語で書かれています。

伊藤桂一さんの文体は簡潔で、そこはかとない悲しみや親しみと尊厳、哀しさを感じる美しい日本語で書かれています。

美しい泉水を感じさせる文体と比喩したいと思います。

兵隊と軍人・将校についての真実を事実に基づいて書いています。

事実に基づいているので、味わいや人間性に納得があります。

『 戦場小説というのは、死生の間のできごとが材料になっているので、他のいかなるジャンルの作品も及ばないほど、内容はきびしくドラマチックである。

しかも戦争------というものについて、深刻に考えさせられる意味をも持っている。

戦場小説は、その性質上、戦中時代、ことに戦場生活の体験者に愛読熟読されるが、他世代の人たちも、戦場小説のもつ劇的な意味を理解すると、離れがたい牽引力を、その作品に覚えるようである。

内容が劇的であり、しかも空疎な作り物ではないのだから、当然、説得力もある 』

『 妻や恋人がいてもはるかに遠い存在だ。

おまけにそれに後ろ髪を引かれるものだから、つい心に隙ができて、人より先に弾丸に当たったりする。

死ぬまぎわに妻や恋人の名を呼び続ける兵隊を何人もみたが、きいているほうがつらい。

要するに自身が不毛不遇孤独の方がずっと楽だ、としみじみ思ったものである。

現世に執着を持たずに生きることの有利さ、について学んだのもこのときである、

寂しいが、実に気楽なのだ
(結局、この生の哲学が気に入って準棒したのだから、私も戦場で相当頭がイカれてしまったわけだろう)

もっとも、虚心に戦場を生きたおかげで、私はかえって戦場の事象や風物を、冷静克明にみまもることができ、これがずっとのちに文学の仕事の上で、大いに役立ってくれることになったのである。

かりに、ひとりの女のことにでも拘泥していたら、ほかのことは眼に入らなかったかもしれない。

不遇'''というのは、ひとつのだいじな資産のようだ 』

真実とは、何が幸いしているかわからないものです。
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No.1:
(4pt)

戦場小説は、内容が劇的であり、しかも空疎な作り物ではないのだから、当然、説得力もある

by 小宮山隆央

伊藤桂一さんの文体は簡潔で、そこはかとない悲しみや親しみや尊厳、哀しさを感じる美しい日本語で書かれています。

「不遇--というのは、ひとつのだいじな資産のようだ」

ここから考えると、「かかる軍人ありき」とは本来の日本人として必要な資質を現して記しているように思います。

またここに生きた方々は、「空疎な作り物ではない時代の潮流に生きています」だから真摯な人生を過しているように思えてなりません。

伊藤さんの言っています。
『戦場小説というのは、死生の間のできごとが材料になっているので、他のいかなるジャンルの作品も及ばないほど、内容はきびしくドラマチックである。
しかも戦争------というものについて、深刻に考えさせられる意味をも持っている。
戦場小説は、その性質上、戦中時代、ことに戦場生活の体験者に愛読熟読されるが、他世代の人たちも、戦場小説のもつ劇的な意味を理解すると、離れがたい牽引力を、その作品に覚えるようである。
内容が劇的であり、しかも空疎な作り物ではないのだから、当然、説得力もある』

駐日ドイツ大使館の外交官エルヴィン・ヴィッケルトさんの著書にあります。

「人間とそれを動かす様々な情熱、理性的、あるいは偏った狂信的な思想、強迫観念、偏見、そして歴史とそれを動かす必然性、不条理な偶然や様々な潮流、それらの無限なからみあい」

こんな考え方を子供のときから学んでいたら、謙譲の精神も育まれる日本人となるのではないでょうか・・・
小宮山隆央
かかる軍人ありき (伊藤桂一戦記文学シリーズ)Amazon書評・レビュー:かかる軍人ありき (伊藤桂一戦記文学シリーズ)より
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