銀河英雄伝説5 風雲篇

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銀河英雄伝説5 風雲篇の評価:

4.63/5点 レビュー 19件。 S ランク

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平均点4.63pt

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全30件 21〜30 2/2ページ
No.10
(5pt)

銀英伝の白眉

学生時代、作家をちょっとだけでも夢見たものにとって、この銀英伝は魔性を持った麻薬でした。
アルスラーンの挿絵のファランギースで歴史モノに足を突っ込み、司馬遼太郎、塩野七生と梯子した私は、
「いつか自分も」等と思いつつ、
いろんなものを書き散らしていたものですが、「一生掛かっても絶対勝てない、挑戦する気も砕かれた」作家さん達です。
当然ながら絶大なる影響を受けました。
歴史モノで彼らに挑戦するなど、おこがましいにも程があるんですが、全ての方向が完璧に塞がれた気がしたのが銀英伝でした。

そして、徳間の文庫の5巻だけは特別の感慨があります。
普段は解説などどうでも良いと思っているのですが、何か許しがたいものを感じたのです。
吉岡平さんが、ラインハルトとヤンの凝縮された解説を書かれているので、機会があったら読んでみて下さい。

ヤンの魅力について、素敵に凝縮された説明があります。一点、受け入れられない部分もあるのですが。
「東洋の英雄達の、絶妙な着崩れ加減のカリカチュア」と表現されています。
ヤンの魅力はカリカチュアなどではなく、粋(ダンディズム&エレガンス)の精髄だと思うのです。
圧倒的多数のラインハルトに、寄せ集め一個艦隊で立ち向かうヤンは、
あたかも堀の女達の為に、鶯一匹、般若面と共に鉄砲取り巻く城に乗り込む柳生十兵衛の粋があります。
爽やかな漢の粋、香り、凄みとでも言うのでしょうか、「徳川家など滅んで結構」と言い放つ十兵衛の姿にヤンがダブります。
私は、この部分は柳生忍法帖に着想を得たものだと思っているのですがさてどうか。

そしてラインハルト。数多の西洋の英雄のモザイクという表現は納得です。
政治家としてカエサル、軍略家としてアレクサンダーに多くを得ているのも共感できます。
塩野七生さんから大きな影響を受けた私ですが、スキピオの爽快感に共感できても、
カエサルの記述には納得がいかなかったのです。
この二人からは、ゲーテの「彼は見上げた男だ、女を殴っておいて、その髪を漉いてやるのだ」といった感じの、
「技術」で他人を支配しようとするような臭み、厭らしさが感じられたのです。

でも、ラインハルトには、カエサルから感じる雄の厭らしさを感じません。
何故かと考えて、自分なりに結論を引き出してみたのが下記の考察です。

1.「アムリッツア会戦後のビッテンフェルトの処遇」:ラインハルトが叱り付けた後に、キルヒアイスの諫言を容れて許しています。
これをラインハルト自身がやっていれば、狡さを感じたでしょうが、キルヒアイスという影が存在することで、項羽の様な清涼感、若さがあります。

2.「カエサルは父親から切り離され、母親の影響下で育ったが、ラインハルトは皇帝の寵愛を止むを得ず受け入れた姉の庇護下で育った」:
母親との関係は、その後の人格の基本となると考えると、カエサルは母親から人身掌握の「技術」を手に入れたと考えられます。
一方、ラインハルトには心を許せる友(といっても上下関係がありますが)が一人だけでした。
カエサルが、若かりし頃、莫大な借金をして、お洒落にキメテ、女を食いまくっていたのは塩野七生さんの著作から知ったのですが、
莫大な借金が出来た、女を食いまくれたのは「技術」が無ければ出来ないでしょう。
スキピオも女を食いまくったかもしれませんが、自身の魅力で落としたと感じさせる粋があります。

3.ラインハルトの声優さんに堀川亮さんを当てていること:
 堀川さんは、GS美神の横島忠夫のキャラボイスです。
 手に入れた「技術」で乳尻フトモモを手に入れようとする姿を想像すると、なんかひっそり笑えます。(陵辱モノの発言です。ファンの方ごめんなさい。)

要は、塩野さんの様に対象に迫る覚悟も無ければ、田中芳樹さんの光と影を分離して厭らしさを消す業も無い、ということに気がついてしまったのでした。
塩野さんは、「ピエタの料金が高すぎる」と言った枢機卿に「トクをするのはあなたです」と傲岸不遜なる自信を見せ付けたミケランジェロを賞賛していますが、
私には、「司馬遷」に挑む筆名を自らにつけた司馬遼太郎の自負の方に粋を感じます。そう、自負も持てなかった私です。

また、RPGリプレイのキャラクターに頭の中で声優さんを当てて読むのが楽しみの一つですが、
銀英伝のキャスティングをされた方のセンスと度胸に、アニメを見るたびに「ヤラレタ!」と思うのです。
若い頃に高い高い頂を見てしまって萎える様では、やっぱ駄目なのでしょう。
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫) Amazon書評・レビュー: 銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)より
4488725058
No.9
(5pt)

銀英伝の白眉

学生時代、作家をちょっとだけでも夢見たものにとって、この銀英伝は魔性を持った麻薬でした。
アルスラーンの挿絵のファランギースで歴史モノに足を突っ込み、司馬遼太郎、塩野七生と梯子した私は、
「いつか自分も」等と思いつつ、
いろんなものを書き散らしていたものですが、「一生掛かっても絶対勝てない、挑戦する気も砕かれた」作家さん達です。
当然ながら絶大なる影響を受けました。
歴史モノで彼らに挑戦するなど、おこがましいにも程があるんですが、全ての方向が完璧に塞がれた気がしたのが銀英伝でした。

そして、徳間の文庫の5巻だけは特別の感慨があります。
普段は解説などどうでも良いと思っているのですが、何か許しがたいものを感じたのです。
吉岡平さんが、ラインハルトとヤンの凝縮された解説を書かれているので、機会があったら読んでみて下さい。

ヤンの魅力について、素敵に凝縮された説明があります。一点、受け入れられない部分もあるのですが。
「東洋の英雄達の、絶妙な着崩れ加減のカリカチュア」と表現されています。
ヤンの魅力はカリカチュアなどではなく、粋(ダンディズム&エレガンス)の精髄だと思うのです。
圧倒的多数のラインハルトに、寄せ集め一個艦隊で立ち向かうヤンは、
あたかも堀の女達の為に、鶯一匹、般若面と共に鉄砲取り巻く城に乗り込む柳生十兵衛の粋があります。
爽やかな漢の粋、香り、凄みとでも言うのでしょうか、「徳川家など滅んで結構」と言い放つ十兵衛の姿にヤンがダブります。
私は、この部分は柳生忍法帖に着想を得たものだと思っているのですがさてどうか。

そしてラインハルト。数多の西洋の英雄のモザイクという表現は納得です。
政治家としてカエサル、軍略家としてアレクサンダーに多くを得ているのも共感できます。
塩野七生さんから大きな影響を受けた私ですが、スキピオの爽快感に共感できても、
カエサルの記述には納得がいかなかったのです。
この二人からは、ゲーテの「彼は見上げた男だ、女を殴っておいて、その髪を漉いてやるのだ」といった感じの、
「技術」で他人を支配しようとするような臭み、厭らしさが感じられたのです。

でも、ラインハルトには、カエサルから感じる雄の厭らしさを感じません。
何故かと考えて、自分なりに結論を引き出してみたのが下記の考察です。

1.「アムリッツア会戦後のビッテンフェルトの処遇」:ラインハルトが叱り付けた後に、キルヒアイスの諫言を容れて許しています。
これをラインハルト自身がやっていれば、狡さを感じたでしょうが、キルヒアイスという影が存在することで、項羽の様な清涼感、若さがあります。

2.「カエサルは父親から切り離され、母親の影響下で育ったが、ラインハルトは皇帝の寵愛を止むを得ず受け入れた姉の庇護下で育った」:
母親との関係は、その後の人格の基本となると考えると、カエサルは母親から人身掌握の「技術」を手に入れたと考えられます。
一方、ラインハルトには心を許せる友(といっても上下関係がありますが)が一人だけでした。
カエサルが、若かりし頃、莫大な借金をして、お洒落にキメテ、女を食いまくっていたのは塩野七生さんの著作から知ったのですが、
莫大な借金が出来た、女を食いまくれたのは「技術」が無ければ出来ないでしょう。
スキピオも女を食いまくったかもしれませんが、自身の魅力で落としたと感じさせる粋があります。

3.ラインハルトの声優さんに堀川亮さんを当てていること:
 堀川さんは、GS美神の横島忠夫のキャラボイスです。
 手に入れた「技術」で乳尻フトモモを手に入れようとする姿を想像すると、なんかひっそり笑えます。(陵辱モノの発言です。ファンの方ごめんなさい。)

要は、塩野さんの様に対象に迫る覚悟も無ければ、田中芳樹さんの光と影を分離して厭らしさを消す業も無い、ということに気がついてしまったのでした。
塩野さんは、「ピエタの料金が高すぎる」と言った枢機卿に「トクをするのはあなたです」と傲岸不遜なる自信を見せ付けたミケランジェロを賞賛していますが、
私には、「司馬遷」に挑む筆名を自らにつけた司馬遼太郎の自負の方に粋を感じます。そう、自負も持てなかった私です。

また、RPGリプレイのキャラクターに頭の中で声優さんを当てて読むのが楽しみの一つですが、
銀英伝のキャスティングをされた方のセンスと度胸に、アニメを見るたびに「ヤラレタ!」と思うのです。
若い頃に高い高い頂を見てしまって萎える様では、やっぱ駄目なのでしょう。
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (徳間文庫) Amazon書評・レビュー: 銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (徳間文庫)より
419890717X
No.8
(5pt)

物語のうまさ

全巻のクライマックスとなる巻です。
いよいよ自由惑星連盟の命運をかけて、ラインハルトとヤンが直接対決します。
ここで光るのが作者の物語運びのうまさ。普通に考えると、帝国軍と自由惑星連盟の戦力差が大きく開きすぎています。これを無理やり互角にしようとすると、戦力で劣るヤンを持ち上げて、強大な戦力を誇るラインハルトの側を愚か者として描いて、戦力差を穴埋めしないと不味いように思えます。しかし、主役であるラインハルトを愚かに描くわけにもいきません。
そのジレンマを作者は巧みに戦略的視点を絡めることで、互角の争いとなるようにドラマチックに演出していきます。出来すぎ、都合が良すぎるという見方も出来るかもしれませんが、この巻では純粋に物語作りのうまさを楽しめると思います。
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫) Amazon書評・レビュー: 銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)より
4488725058
No.7
(5pt)

物語のうまさ

全巻のクライマックスとなる巻です。
いよいよ自由惑星連盟の命運をかけて、ラインハルトとヤンが直接対決します。
ここで光るのが作者の物語運びのうまさ。普通に考えると、帝国軍と自由惑星連盟の戦力差が大きく開きすぎています。これを無理やり互角にしようとすると、戦力で劣るヤンを持ち上げて、強大な戦力を誇るラインハルトの側を愚か者として描いて、戦力差を穴埋めしないと不味いように思えます。しかし、主役であるラインハルトを愚かに描くわけにもいきません。
そのジレンマを作者は巧みに戦略的視点を絡めることで、互角の争いとなるようにドラマチックに演出していきます。出来すぎ、都合が良すぎるという見方も出来るかもしれませんが、この巻では純粋に物語作りのうまさを楽しめると思います。
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (徳間文庫) Amazon書評・レビュー: 銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (徳間文庫)より
419890717X
No.6
(4pt)

常勝vs不敗

銀河系に人類が進出した遙か未来(西暦換算で36世紀)における銀河帝国と自由惑星同盟の激突を、更に後世の歴史家が語るという卓抜な構成をとっており、SFの衣を纏った架空歴史小説と言える。古今東西の歴史上の人物・エピソードを巧みに取り込んだ壮大緻密な世界観・多種多様な登場人物が魅力的で、日本史業界にもファンは多い。

広大な宇宙を舞台に繰り広げられる英雄たちの熾烈な攻防戦は『三国志』を思わせるが、民主主義の尊さや戦争の愚かさを訴える政治的メッセージも強烈である。三重大学の法学の先生が本書を学生に勧めていたが、啓蒙的専制君主が支配する「開明的な」独裁国家か腐敗し衆愚政治へと堕落した「独善的な」民主共和国か、という《究極の選択》を突きつける本書の問いは重い。

本巻では、初めて2人の主人公が直接対決する。両雄の勝敗の決着のつけ方は筋立てとしても見事だが、それに留まらず、「文民統治」の意味をも考えさせる深いものである。
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫) Amazon書評・レビュー: 銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)より
4488725058
No.5
(4pt)

常勝vs不敗

銀河系に人類が進出した遙か未来(西暦換算で36世紀)における銀河帝国と自由惑星同盟の激突を、更に後世の歴史家が語るという卓抜な構成をとっており、SFの衣を纏った架空歴史小説と言える。古今東西の歴史上の人物・エピソードを巧みに取り込んだ壮大緻密な世界観・多種多様な登場人物が魅力的で、日本史業界にもファンは多い。

広大な宇宙を舞台に繰り広げられる英雄たちの熾烈な攻防戦は『三国志』を思わせるが、民主主義の尊さや戦争の愚かさを訴える政治的メッセージも強烈である。三重大学の法学の先生が本書を学生に勧めていたが、啓蒙的専制君主が支配する「開明的な」独裁国家か腐敗し衆愚政治へと堕落した「独善的な」民主共和国か、という《究極の選択》を突きつける本書の問いは重い。

本巻では、初めて2人の主人公が直接対決する。両雄の勝敗の決着のつけ方は筋立てとしても見事だが、それに留まらず、「文民統治」の意味をも考えさせる深いものである。
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419890717X
No.4
(5pt)

両雄激突!

両主人公、ラインハルトとヤンの真っ向勝負がみられる、読んでいて一番楽しめる巻だと思います。
二人が直接ぶつかるのは、オープニングのアスターテ会戦以来です。
ヤンのファンだった私は、彼の魔術師っぷりがたっぷりと堪能できるので、何度も読み返した覚えがあります。

そういえば鉄壁ミュラーのファンになったのもこの巻だった・・・
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫) Amazon書評・レビュー: 銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)より
4488725058
No.3
(5pt)

両雄激突!

両主人公、ラインハルトとヤンの真っ向勝負がみられる、読んでいて一番楽しめる巻だと思います。
二人が直接ぶつかるのは、オープニングのアスターテ会戦以来です。
ヤンのファンだった私は、彼の魔術師っぷりがたっぷりと堪能できるので、何度も読み返した覚えがあります。

そういえば鉄壁ミュラーのファンになったのもこの巻だった・・・
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419890717X
No.2
(5pt)

いよいよ前半戦クライマックス!

ラインハルトによる同盟侵攻が開始される第五巻は、全十巻にわたる物語の中の、ちょうど折り返し地点となるようです。

<風雲編>と銘打たれるとおり、世界が大きく動きます。

その流れの中で、これまで「負けないこと」を最優先としてきた“不敗”のヤンが、ついに「勝つこと」を目的として、“常勝”ラインハルトと正面衝突する……物語前半のクライマックスだけあって、読み応え満点です。
三巻、四巻のやや小康した展開に飽きてしまっていた人も、この五巻を読めば間違いなく満足できることでしょう。

また、この五巻の魅力は単に戦闘面だけではありません。
ヤンの私生活における重大なエピソードであったり、栄華を誇るラインハルトの心の空虚であったり、ロイエンタールの忠誠心に潜む微妙な陰であったり……人間ドラマとしての魅力も満載です。

「腐敗しきった民主主義」と「名君による専制政治」とでは、はたしてどちらがより良いものと言えるのか。――民主主義国家の国民として、これらの命題を考えてみるのも一興かもしれません。
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫) Amazon書評・レビュー: 銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)より
4488725058
No.1
(5pt)

いよいよ前半戦クライマックス!

ラインハルトによる同盟侵攻が開始される第五巻は、全十巻にわたる物語の中の、ちょうど折り返し地点となるようです。

<風雲編>と銘打たれるとおり、世界が大きく動きます。

その流れの中で、これまで「負けないこと」を最優先としてきた“不敗”のヤンが、ついに「勝つこと」を目的として、“常勝”ラインハルトと正面衝突する……物語前半のクライマックスだけあって、読み応え満点です。
三巻、四巻のやや小康した展開に飽きてしまっていた人も、この五巻を読めば間違いなく満足できることでしょう。

また、この五巻の魅力は単に戦闘面だけではありません。
ヤンの私生活における重大なエピソードであったり、栄華を誇るラインハルトの心の空虚であったり、ロイエンタールの忠誠心に潜む微妙な陰であったり……人間ドラマとしての魅力も満載です。

「腐敗しきった民主主義」と「名君による専制政治」とでは、はたしてどちらがより良いものと言えるのか。――民主主義国家の国民として、これらの命題を考えてみるのも一興かもしれません。
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (徳間文庫) Amazon書評・レビュー: 銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (徳間文庫)より
419890717X