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ペキン・ダック



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ペキン・ダックの評価: 4.00/5点 レビュー 2件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

私立探偵小説の道を拡げた感のある傑作小説

私立探偵の主人公が共産主義の中国旅行に誘われ・・・というお話。

カウンター・カルチャーの申し子っぽい私立探偵がこの小説が書かれた当時の共産圏に期待して行って、実情を知り、幻滅する・・・という感じの小説に思えましたが違うかも。この頃アメリカの大統領だったニクソンがウォーターゲート事件で失脚しながらも、泥沼化していたベトナム戦争を何とか和解に持ち込み終結させ、中国との関係も修復して功績があったそうですが、日本と中国との関係改善にも介入して、おかげで日本でもパンダが見られる様になったとか、そういう時代を反映した私立探偵小説に思えました。

日本だけではなく、色々な国や地域でも新しい思潮やパラダイムがミーハーっぽく流行る事は歴史を見るとよくある事ですが、一時期の共産主義もかなり流行って、戦後の日本でも共産主義が躍進したり、欧米の音楽でも素直に共産主義に憧れた歌詞の歌があったり、毛沢東主席とツーショットの写真をジャケットにしたりするアーティストもいましたが、その後はご存知の通り、20世紀最大の失敗に共産主義が挙げられたりと、あまりうまく行かなかった様ですが、共産主義の場合、全員が同じ目的で物を考えたり、行動しないといけないという事で、元々無理がある考え方に見えるので、始めから失敗すると予測した人も多かったのではないかと思いますが(ジョージ・オーウェルとか)、この著者も一人で行動するタイプの私立探偵を共産圏に送り込んで、集団で動かなければならないイデオロギーを批判的に眺める為にこの小説を書いた様に思えました。資本主義もあまりうまく行っているとは言い難いですが、共産主義よりはマシかもとか考えている人間なので。共産主義を信奉している人は怒るかもしれませんが、一意見として受け取ってください。すいません。

という様な個人的感想は抜きにしても異色のハードボイルドとして楽しめる小説だと思います。あまり長くないながらも内容の濃い作品に思えました。ある意味でネオ・ハードボイルドの分野の極北にも思えました。ブロック「八百万の死にざま」をネオ・ハードボイルドの最高傑作に据える事が多いですが、この小説もその次くらいにくるかも。物凄い大作ではないですが・・・。

私立探偵小説の道を拡げた感のある作品。是非ご一読を。
ペキン・ダック (世界ミステリシリーズ)Amazon書評・レビュー:ペキン・ダック (世界ミステリシリーズ)より
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