血の轍
評判
血の轍の評価:
4.07/5点 レビュー 45件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全64件 21〜40 2/4ページ
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血の轍の評価:
4.07/5点 レビュー 45件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
相場氏の素材・情報収集や洗い出しには感心するところであるが、これらを基に骨組みを組み立てるためには、警察OB等の情報提供源が無
ければ書けるものではない。
取材抜きで信憑性を欠く素材を単に組み立てて構築しただけでは荒唐無稽なストーリーに陥りやすいからだ。
フィクションであっても、如何にリアリティに溢れているかが小説の生命線といえるため、常日頃から情報提供者との交流が必要になってく
るが、相場氏の情報収集力は並外れたものといえよう。
相場氏の小説を読んでいくと、集めた素材を構築していく途中、頭の中で一本のストーリーがピィーンと繋がった瞬間、まるで電算プログラ
ムのフローチャートを基に一気にコーディングシートにプログラムを書き殴っていくような氏の喜びが伝わってくる書きっぷりを感じる。
しかも、このスピーディな展開はドラマ化も意図してのことだと思われる。
この小説では、内閣総理大臣、国家公安委員会、警察庁、警視庁等の警察の機構図を頭に入れておくと物語の進展が理解しやすい。
我が国の公安警察は警察庁警備局の指揮の下にあり、道府県警察本部の公安警察は、警備部に配置されているが、警視庁だけは唯一、公安部
を置き多数の公安警察官を置いている。
捜査対象としては、極左暴力集団、反戦デモ、政治組織、労働争議、カルト団体等の特殊組織、外国政府による工作活動、国際テロリズム
等、多岐に渡っているが、この他、警察内部の防諜活動も含まれている。
筆者は公安警察の組織機構図に目を通して、公安部による警察内部の防諜活動に着目し、これを素材として書き上げたものであるが、これ
は、これまでにない新しいジャンルの警察小説を構築しており注目すべき点である。
我が国の情報機関としては、内閣官房内閣情報調査室、公安調査庁、警察庁警備局、外務省国際情報統括官組織、防衛相情報本部により、内
閣情報会議・合同情報会議が構成されている。なお、法務省所管の公安調査庁と公安警察が混同されやすいが別組織である。
この小説では、秘録や秘撮等の機器が登場するが、現代のテクノロジーでは、当たり前のアイテムであり、秋葉原辺りでは至る所に転がって
いる。
電波の届く範囲であれば、この小説のように盗撮、盗聴データをネットに乗せることが出来るため、どこででも監視は可能となってくる。
ただし、小型の盗聴探知機があれば、盗聴電波を察知出来、秘録や秘撮を察知出来るのだが、この小説では登場しないのが御愛嬌と言ったと
ころだろう。
昭和50年代までは、通信手段が電話のみであったため、国政選挙の際は公安警察官が公安活動の一環として電電公社職員のユニフォームを
着て特定野党の電話通信を盗聴している。その内容を与党政党に提供することにより、警察幹部は代償として北海道整備新幹線の大沼ルート
等、莫大な利益に繋がる情報を入手した経緯があるが、ここでは敢えて触れない。
また、この小説冒頭では、妻の浮気現場の秘録、秘撮映像を見せて元警備局の志水を公安の道具に落とし入れる場面が出てくるが、これは
CIAのテクノロジーを使って公安調査庁が洗脳により職員の人格改造を行っていると囁かれる噂話を想起して面白い。
大昔のことだが、地方公安調査局長が新任挨拶として勤務先を訪問してきた時の雑談の中で麻生幾氏の「ZERO」の話に及び、やんわりと職
員の人格改造の有無について話を向けると、肯定も否定もせず話題をすり変えられたことがあった。
CIA、旧KCIA、カルト教団、ひいては地獄の特訓と称した民間教育訓練所等で行われているような人格改造が警視庁公安部等でも行わ
れるものなのかどうか、次回以降の警察小説で取り上げてもらいたいものだ。
この小説を通じて、公安部による防諜活動が警察内部ばかりではなく、民間人への防諜活動が逸脱した違法なものとなった場合、この公安部
の暴走を誰が制御出来るのだろうか。 非常に恐怖を感じるところである。
特に特定秘密の保護に関する法律の施行も勘案すると尚更である。様々な問題を提起する小説である。