蒼穹の昴

評判

蒼穹の昴の評価:

4.59/5点 レビュー 271件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.59pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全281件 181〜200 10/15ページ
No.101
(5pt)

運命を超えて行くサクセスストーリー

貧農に生まれた糞拾いの少年・李春雲(春児)。日々の食も満足に無く、生きることですら必死な彼にある日一人の占い師が未来を告げます。 「汝の守護星は胡の星、昴。汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう。」 …その予言を信じ、春児は運命を切り開いていく。 上巻の話の流れとしては、そんな困難な境遇にあった主人公が、努力し、たくさんの出会いを受けて生き抜いていくサクセスストーリーです。 春児の頑張りはまわりに希望を与え、みんなに愛され支えられ、いつしか彼は西太后の側近へとなることとなります。 生きるために走ってきた彼ですが、辿り着いた場所は様々な思惑がうごめく皇宮。次第に時代も動き始め、大勢の登場人物が夢や野望を胸に動き出します。 その中心で才を振るい生き抜いていく春児。 権力が渦巻き、外国をも介入してくる激動の下巻へと続いていきます。
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.100
(5pt)

壮大な制度社会とその瓦解

清朝の最後がいかにして崩れていきその中でどんなドラマがあったのか・・・中原に聳える壮大な制度科挙試験の凄まじさとそれを勝ち抜くエリート達一喜一憂する地元民。独特の人種宦官の凄惨なまでの生き様と骨肉の出世争い。そして100年後でも威光を放ち続ける乾隆帝が築いた諸々のシステムとそれを可能にした才能達。あらゆるパズルが少しずつ少しずつかみ合っていくがまだ合致しきらないところで1巻目は終わる。最初は慣れない北京語フリガナに苦しむが徐々に慣れてきます。それにしても乾隆帝に収まる韃靼人支配の頑強さは凄みがある。30万の韃靼が4億の漢民族を支配できたのも頷ける実直さと柔軟さ。慣れない中国語でのあらゆる書物の理解とともに韃靼のルーツをも固持する賢さ。占師によって「全てを手中に収める」と予言された糞拾いの少年が自らの意思で去勢したシーンには息が詰まった。さぁどうなる・・・早く2巻に進まなくては・・・
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.99
(5pt)

清国の「失敗した明治維新」

浅田次郎さんよく勉強したなぁ、というのが第一印象。そのために実に内容が濃い、面白い小説になった。時代は中国清朝末期。日清戦争前後。表面的な主人公は一応、宦官春児と官吏登用試験を一位で突破する梁文秀と言うことになるが、真の主人公は恐らく西太后(清朝末期の実力者・女性)であろう。彼女については色々おどろおどろしい噂があるが著者は一切取り上げていない。大変複雑で魅力的な女性として描いている。印象的なのは、宦官の実態と科挙(官吏登用試験)を赤裸々に書いていることだ。私はこの本で始めてその実態を知った。これを知るだけでも一読の価値がある。春児と梁文秀にはモデルがあるようだが、小説とはモデルとはかなり違っているようだ。純粋に小説家による創作と思ってよいだろう。一方実在した人物も出てくる。曽国藩、李鴻章、袁世凱、等。しかし、康有為の名は私は知らなかったが実在の人物のようだ。内容を一口で言えば、清国の「失敗した明治維新」である。清国に比べて日本は幸せであった。しかし日本の現在の政治家、経営者がその幸運に感謝しているようには見えない。不幸なことだ。そのことが日本の将来を暗示しているように感じる。終わりの方で少年時代の毛沢東が出てくるのは作家のお遊びかサービスか?
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.98
(5pt)

全巻を通して・・・最も面白い小説!

いろいろ意見はありましょうが、私はこの小説は最も面白い小説の1つとして是非とも推薦したい。どこがそんなに良いのか・・・・  '<1>清朝王国の末期の混沌とした情勢を、中国国内は勿論、ヨーロッパ、日本の情勢と違和感無く絡めており、広がりのある歴史小説になっている。 '<2>しかも、それがごちゃごちゃせず、とても整然とストーリーが進んでいく。  (さすが浅田次郎の筆力です。) '<3>宦官、科挙制度という表面上の意味しか知らなかった中国の制度をわかりやすく、かつ 小説の重要な部分として描かれている。 '<4>事実とフィクションとが違和感無く書かれており、小説の世界に引き込まれる。  本当によく調査している、筆者の努力とこの小説にかける気持ちが感じられる最初は中国風のルビが付いるし、占い師の言葉からのはじまりであり、よく意味が分からず読み進めるのが苦痛でしたが、50ページ程度読んでからは一気に読み続ける事ができました。とにかく、本当によくできた小説です。読んで後悔はしないと思います。早く「中原の虹」を読みたいと思います。  
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.97
(5pt)

清朝末期と日本の幕末には共通の壮大なドラマがある

地主の次男、梁文秀(史了)とその地の貧民の子、李春雲(春児)。科挙登第を経て国政を担うこととなる史了と、宦官という方法で内廷のトップまで上り詰めた春児。二人の男(!?)を通して、清代末期西太后が実権を握っていた王朝内部の動乱とそれにかかわる人々の思惑を描いた壮大な歴史小説。読み進めていく中で感じたのは、日本の幕末との共通性。もちろん、時間的共通性もあるんだけど、欧米列強のプレッシャーを受けながら、従来の権威をいかに保つかという苦心と、国を存続させるためには改革を進めなければという維新の思いとのせめぎ合い。違いは、日本が明治維新という中からの改革で国体変化を成し遂げたということと、日本が列強の側に加わってきたということか。やっぱり中国は大きな国過ぎて、紫禁城の中にいては危機感が伝わってこないのか。現代の中国も変革が必要な時期に来ていると思うけど、そこはやっぱり歴史を学んで、中から変わっていってもらわないと。「党」という「王朝」も絶対ではないのだから。結局、4月の北京旅行前に読むことは出来ず、旅行の帰りから読み始めたこの本。途中で出てくる地名だとか、建物の名前は、実際行ったことで具体的にイメージしながら読めました。そういった意味では、行ってから読んでよかったのかなと思いますが、読み進めるにしたがって、あっ、ここも行ってみたかったななんて思うところもまた出てきたりして。なので、来月の休みのときにまた北京に行ってみようかと思ってみたりもして。
蒼穹の昴(3) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(3) (講談社文庫)より
4062748932
No.96
(5pt)

清朝末期と日本の幕末には共通の壮大なドラマがある

地主の次男、梁文秀(史了)とその地の貧民の子、李春雲(春児)。科挙登第を経て国政を担うこととなる史了と、宦官という方法で内廷のトップまで上り詰めた春児。二人の男(!?)を通して、清代末期西太后が実権を握っていた王朝内部の動乱とそれにかかわる人々の思惑を描いた壮大な歴史小説。読み進めていく中で感じたのは、日本の幕末との共通性。もちろん、時間的共通性もあるんだけど、欧米列強のプレッシャーを受けながら、従来の権威をいかに保つかという苦心と、国を存続させるためには改革を進めなければという維新の思いとのせめぎ合い。違いは、日本が明治維新という中からの改革で国体変化を成し遂げたということと、日本が列強の側に加わってきたということか。やっぱり中国は大きな国過ぎて、紫禁城の中にいては危機感が伝わってこないのか。現代の中国も変革が必要な時期に来ていると思うけど、そこはやっぱり歴史を学んで、中から変わっていってもらわないと。「党」という「王朝」も絶対ではないのだから。結局、4月の北京旅行前に読むことは出来ず、旅行の帰りから読み始めたこの本。途中で出てくる地名だとか、建物の名前は、実際行ったことで具体的にイメージしながら読めました。そういった意味では、行ってから読んでよかったのかなと思いますが、読み進めるにしたがって、あっ、ここも行ってみたかったななんて思うところもまた出てきたりして。なので、来月の休みのときにまた北京に行ってみようかと思ってみたりもして。
蒼穹の昴(2) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(2) (講談社文庫)より
4062748924
No.95
(5pt)

清朝末期と日本の幕末には共通の壮大なドラマがある

地主の次男、梁文秀(史了)とその地の貧民の子、李春雲(春児)。科挙登第を経て国政を担うこととなる史了と、宦官という方法で内廷のトップまで上り詰めた春児。二人の男(!?)を通して、清代末期西太后が実権を握っていた王朝内部の動乱とそれにかかわる人々の思惑を描いた壮大な歴史小説。読み進めていく中で感じたのは、日本の幕末との共通性。もちろん、時間的共通性もあるんだけど、欧米列強のプレッシャーを受けながら、従来の権威をいかに保つかという苦心と、国を存続させるためには改革を進めなければという維新の思いとのせめぎ合い。違いは、日本が明治維新という中からの改革で国体変化を成し遂げたということと、日本が列強の側に加わってきたということか。やっぱり中国は大きな国過ぎて、紫禁城の中にいては危機感が伝わってこないのか。現代の中国も変革が必要な時期に来ていると思うけど、そこはやっぱり歴史を学んで、中から変わっていってもらわないと。「党」という「王朝」も絶対ではないのだから。結局、4月の北京旅行前に読むことは出来ず、旅行の帰りから読み始めたこの本。途中で出てくる地名だとか、建物の名前は、実際行ったことで具体的にイメージしながら読めました。そういった意味では、行ってから読んでよかったのかなと思いますが、読み進めるにしたがって、あっ、ここも行ってみたかったななんて思うところもまた出てきたりして。なので、来月の休みのときにまた北京に行ってみようかと思ってみたりもして。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.94
(5pt)

清朝末期と日本の幕末には共通の壮大なドラマがある

地主の次男、梁文秀(史了)とその地の貧民の子、李春雲(春児)。科挙登第を経て国政を担うこととなる史了と、宦官という方法で内廷のトップまで上り詰めた春児。二人の男(!?)を通して、清代末期西太后が実権を握っていた王朝内部の動乱とそれにかかわる人々の思惑を描いた壮大な歴史小説。読み進めていく中で感じたのは、日本の幕末との共通性。もちろん、時間的共通性もあるんだけど、欧米列強のプレッシャーを受けながら、従来の権威をいかに保つかという苦心と、国を存続させるためには改革を進めなければという維新の思いとのせめぎ合い。違いは、日本が明治維新という中からの改革で国体変化を成し遂げたということと、日本が列強の側に加わってきたということか。やっぱり中国は大きな国過ぎて、紫禁城の中にいては危機感が伝わってこないのか。現代の中国も変革が必要な時期に来ていると思うけど、そこはやっぱり歴史を学んで、中から変わっていってもらわないと。「党」という「王朝」も絶対ではないのだから。結局、4月の北京旅行前に読むことは出来ず、旅行の帰りから読み始めたこの本。途中で出てくる地名だとか、建物の名前は、実際行ったことで具体的にイメージしながら読めました。そういった意味では、行ってから読んでよかったのかなと思いますが、読み進めるにしたがって、あっ、ここも行ってみたかったななんて思うところもまた出てきたりして。なので、来月の休みのときにまた北京に行ってみようかと思ってみたりもして。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.93
(5pt)

李鴻章の香港の交渉が秀逸

袁世凱の暗殺失敗、李鴻章の香港の交渉など、内に外にストーリーが展開するところが面白いですね。
蒼穹の昴(3) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(3) (講談社文庫)より
4062748932
No.92
(5pt)

李鴻章と西太后の凄さが光りました

李鴻章と康有為の政治力の差、李鴻章の西太后への恋心、ミセスチャンの存在、そして、最後の脱出劇あたりが面白かったです。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.91
(5pt)

清末の歴史の曲がり角で

中国の近代化のプロセスを勉強してみたくなり、まずはとっかかりにこの本を読んでみました。1巻は、科挙の重要性、地方の貧しさ、乾隆帝の偉大さあたりですかね。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.90
(4pt)

いろいろと理解に役立ちました

科挙制度、とは何か、知りませんでしたが、この物語を読み、理解できた気がします。中国だけでなく、朝鮮、ベトナムにも科挙制度があり、その制度の影響がいまだにそれらの国々の人々の考え方、国家のしくみに残っていると感じます。これまで、中国やベトナムで仕事をしてきて、どうしてこの人たちはこういう考えをするのか?と疑問に思うことが多々ありましたが、この物語にあるような歴史を通して彼らを見ると、なんとなく納得できたりします。楽しく読めました。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.89
(4pt)

愛が深い故の悲劇

本巻で、これまで清朝を支え続けた恭親王と李将軍が表舞台から退場し、紫禁城では西太后派と皇帝派の争いがもはや止める事が出来なくなってしまいます。前巻でもそうでしたが、この巻でも全般的に示されているのが、皇帝に対する西太后の限りない愛。本来ならば、天命を失った清の幕引きを降ろす役割を担うのは、皇帝の役割のはずなのに、「あの優しい子にそのようなむごい仕打ちをさせられようか」と、自らが非難の的になることを省みず、その役割を代わりに果たそうとする西太后。直接の親子でもないのにも拘らず、いやそれだからこそ、西太后と皇帝の情愛の深さには感動しますし、その一方で、彼等の周りにいる延臣達の殆どが、2人の気持ちを理解することなく、逆に二人を苦しめるように事態を悪化させていく有様に暗然とした思いを受けます。あと、改革派の旗手として現れた康有為ですが、史実でもああいう性格だったらしく、インタビューした日本の新聞記者が「ああいう人間だから、事を成せなかったのだ」と、あきれ返ったという逸話を残しています。
蒼穹の昴(3) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(3) (講談社文庫)より
4062748932
No.88
(4pt)

李鴻章が八面六臂の大活躍

いよいよ第三巻ですが、この巻では清朝が欧米列強に蹂躙され、翻弄される様子が描かれます。そこで、李鴻章なのですが、第三巻の見所はやはり李鴻章の政治手腕ではないでしょうか?特に香港の割譲に関しては、英国への「割譲」ではなく「貸与」とした英国側との交渉の場面が、たいへん凛々しく描かれます。99年後(この辺の数字の意味については小説を是非読んでください)英国によって繁栄した香港が中国に返還される。まさに敵国に富ませた香港が99年後に中国に返還され、その富をそっくり貰い受けるという戦略。すごいではありませんか…。
蒼穹の昴(3) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(3) (講談社文庫)より
4062748932
No.87
(4pt)

さて第二巻は…

清朝末期を題材に西太后、李鴻章など歴史上の人物と、浅田次郎の創作である主人公・春児(チュンル)と文秀(ウェンシュウ)が登場する歴史小説ですが、第二巻は舞台がいよいよ「紫禁城」へ移ります。同郷の春児(チュンル)と文秀(ウェンシュウ)は歩む道は違えど、舞台を同じくする者同士です。小説自体は創作なのですが、歴史的事件や事実はそのままなので、当時の時代背景などの勉強にもなります。特に日清戦争が日本と清朝との戦争ではなく、日本と李鴻章の私兵とのいざこざであったこと、さらには戦争の舞台が中国本土ではなく朝鮮半島であったことなどは面白いところだと思います。第一巻の見所は科挙試験の様子と宦官の製造方法でありましたが、登場人物も増える第二巻では、やはりそれぞれの登場人物の絡み、繰り広げられる政治絵巻が見所だと言えるでしょう。ちなみにこの小説の親切なところは、登場人物を見失わないように各巻に付属の栞(しおり)に人物説明が載っているので、忘れたらいちいち確認しながら読めるところでしょう。
蒼穹の昴(2) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(2) (講談社文庫)より
4062748924
No.86
(4pt)

いよいよ最終巻

清朝末期を舞台にした「蒼穹の昴」もいよいよ最終巻です。中国が様々な部族の集合体であり、各王朝もそれぞれ異なる部族が入れ替わり立ち代わり統治してきたので、本書ではたびたび各部族の名称が登場します。その中に「韃靼(タルタル)」という部族がありますが、これはご存知「タルタルソース」のタルタルなんですね。モンゴル系の一部族タタールのことで、クラシック音楽好きの人ならロシア人作曲家であるボロディンの名曲「ダッタン人の踊り」が思い出されるのではないでしょうか?脱線してしまいましたが、第四巻の見所はあれよあれよという間に終局へ突き進んでいくスピード感でしょうか?物語の終わり方については、読まれた方それぞれが、各人各様、異なる印象を抱かれると思うので敢えて書きません。ただ私は「えっ、もう終わり?」という感想を持ちました。最終巻である本書には、ラストに陳舜臣さんの寄せ書きが掲載されていますが、これがたいへん面白かった。「圧巻」や「破天荒」などの熟語が実は科挙試験に由来した熟語であることなど、なぜそう表現するのか説明も交えて興味深い。本当は本書を手にとって読んで確認して欲しいが、ひとつだけ「圧巻」についてネタをばらしてしまうと…科挙試験の答案はたいへん長く、巻物状になって提出されます。それを採点官が採点していきますが、受験者の数も膨大ですから採点された巻物がそれこそ山のようにどんどん積まれていきます。その一番上に、一番出来の良い、つまり首席である状元の巻物が置かれます。その巻物は他の巻物を押さえつけているので「圧巻」となるわけです…。面白いですね。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.85
(5pt)

さすが。

4冊、一気に読みました。寝不足になるくらい…ハマりました。浅田作品は、よく調べてあるのと、登場人物で引っ張り込まれるパターンにヤラれます。知人達にも勧めましたが、登場人物の多さでヒク人もいました^^;でも、栞で説明がきちんとされているので、まぁ、それは問題ないかと私は思います。日常を忘れつつ、仕事への信念を復活させたいときに読み直したい本になりました。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.84
(4pt)

史実+フィクション

以前、ハードカバーで上下二分冊であったものが、文庫で全四冊となって登場した。物語は清朝末期の中国で、有名な西太后の時代である。映画「ラストエンペラー」で描かれる最後の皇帝溥儀よりも少し前のお話である。物語を書くにあたって著者は膨大な資料を研究したようで、宦官の作り方や、科挙試験はいかに実施されたのか…などの記述はたいへん興味深い。歴史の教科書でしか知らなかった清朝末期の時代絵巻が、まるで眼前に現れたようであった。もちろん主人公・春児や文秀など史実には登場しない人物も多く活躍するが、西太后、李鴻章、袁世凱、伊藤博文などお馴染みの歴史上の人物も数多く登場する。それら史実と想像上の人物の絡みがこの小説の面白さではないかと思う。特に田舎の糞拾いであった春児がどのように物語りに関わってくるのかが見所である。アヘン戦争などで列強に蹂躙され、領土を侵食された清朝。近代化を妨げる中国古来の「旧法=祖宗の法」を排し、近代的国家建設のために、政治改革である「変法」を行いたい科挙登第の進士たち。日本のような維新を早急に実現したい4億人(当時)もの人口を抱えた中国・清朝末期を舞台に、国が病んでもなおも輝かしい人間存在の美しさをこの「蒼穹の昴」に感じた。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.83
(5pt)

大清帝国、崩壊

下巻にはいり、話の展開はそのスピードを上げてゆく。上巻ではほぼ主人公の座を動かずにいた春児(チュンル)と梁文秀(リャンウェンシウ)だが、下巻にはいると、誰を真の主人公と呼ぶべきなのか悩むほどに大勢の登場人物が、断末魔の咆哮を上げる大清帝国の落日を次々と飾ってゆく。宮廷の奥深くで、あるいは紫禁城の城壁の外で、密かに絶えることなく続けられる陰謀・企ての数々も、帝国崩壊への歯止めには全くなり得ない。人間の浅慮をあざ笑うがごとくに歴史の輪は音を立てて廻り続け、避けられない結末はまさに目前にある。自らの手で宦官となった春児も優秀な若き政治家となった梁文秀も、それぞれの道を昇り続け、やがて望まぬままに政敵の立場となって再会する。権力者西太后の側近として仕える春児と、その対抗勢力として光渚帝の擁立を画策する梁文秀。やがて、勝負にもならない政治対決を制した西太后は三たび政権の座に就き、そして清の倒壊が急速に進む。それはたとえば、西に傾く落陽を再び東の空に引き戻す事が誰にもできない、というほどに当たり前の真理なのだが、それに気づく者は少ない。著者は、強権比類なき西太后にも、貧農の名もない文盲の娘にも、軍人にも政治家にも宦官にも、等しくその人生に目を向ける。春児の口を借りて、まるで教会の司教が信者に語って聞かせるような慈愛と人間の幸福についての言葉は、深く印象に残る。激動の時代を必死に生きた人々への言葉であるだけになおさらだ。動乱と流血の100年として後世に記憶されるであろう20世紀は、東洋の大帝国崩壊とともに始まる。そして、あまりにも有名なラストエンペラー愛親覚羅溥儀の登場を待ちつつ、壮大なストーリーは静かに幕を降ろす。人間は生きる時代を選べない。その厳然たる事実が心に迫って、しばらくは感動のうねりが止まらない。
蒼穹の昴(下) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(下)より
4062080397
No.82
(5pt)

大きな歴史の渦へ

歴史の巨大な輪は、定めれた方向以外には決して廻る事はない。おそらくそれは、誰にも何にも決して影響される事のない、言わば宇宙の真理なのだろう。だから、この壮大無比な小説に綺羅星の如く次々と登場する歴史の英雄や国家の頭脳たちも、その例外とはなり得ないのだと心の底から思う。舞台は19世紀最末期の清朝。帝国は、絶命寸前の巨大な龍以外の何物でもなかった。歴史の車輪に轢きつぶされながら、それでも紫禁城を取り巻く人々はそれぞれの思惑と野心の命ずるままに奔走を続ける。君臨する西太后。従う光渚帝。清の富と大地を虎視眈々と狙う外国列強。暴発し木っ端微塵になる寸前の綱渡りのような状況の中、極貧の農家に生まれた春児(チュンル)と家族親戚から蔑まれて生きる地方豪族の次男梁文秀(リャンウェンシウ)は、星と天体に操られるようにして次第に歴史の大渦の中に巻き込まれてゆく。風雲急を告げる大陸を吹き抜けてゆく黄砂は、一瞬もやむ事がない。歴史小説ではあるものの、実在の人物が数多く登場し、ストーリー展開から目を離せない。しかも、ほんの100年前に生きた人々だから写真も多く残されていて、一層現実味のある内容に感じられる。富に憧れ、権力を望み、国を憂い、人を想う。人間はたった一度だけ与えられる自分の人生をどのように歩めばいいのか、あるいはどのように歩むよう運命づけられているのか。どれほど抵抗しても暴れても、歴史の巨大な輪がその方向を変える事はない。決してない。それでも、人は精一杯に抗って上へ上へともがき苦しむ。それを見下ろす天空の昴。まこと激しい時代のうねりが、全編に溢れている。
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974