酒びたりの父親が嫁入りの邪魔になると娘に泣きつかれた母親、岡場所に身を沈めた幼なじみと再会した商家の主人、五年ぶりにめぐりあった別れた夫婦、夜逃げした家族に置き去りにされた寝たきりの老婆……市井に生きる男女の哀歓と人情の機微を、鏤骨の文章でつづる珠玉の七品

無外流の剣士として高名だった亡父から秘伝を受け継いだ路は、上意討ちに失敗して周囲から「役立たず」と嘲笑され、左遷された曾根兵六にその秘伝を教えようとする。

薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。

小さな田舎町で起きた少女の殺人。その嫌疑をかけられて、息子が失踪。

京都府警捜査一課の橋口警部補は、妹舞子の結婚式のため北海道札幌へ向かった。

昭和七年、銀座。カフェー“キャット”で行なわれた魔術ショーの途中、突如大地震が起こった。

ニューヨークのマンションで、ありふれた毎日を送る未亡人は、静かに雪の降りしきる夜、〈ミリアム〉と名乗る美しい少女と出会った…。

太陽の運行を狂わせ、無数の殺人虫を放って殺戮を繰り返すラサロムの前に、世界は大混乱に陥っていた。

1941年、ルーマニア奥地の城塞で、光の剣の使い手グレーケンによって滅ぼされた「永劫なる魔性」ラサロム。

てめえがなんでやくざになって、二十年以上も足を洗わねえのか。時々、俺は考えてみるよ。

おまえの肌に傷がつくことは耐えられない。花村万月の純でひたむきな愛の世界。

桜町は、いま渋谷・道玄坂でルシファーというバーをひらいている。

“眠り猫”こと仁賀丈太は、一見しがない中年男だが、実は凄腕の私立探偵だ。

日本は原爆を入手していた。冷戦下の米ソがひた隠しにしていた某重大機密。

最上峡の川岸に美女の死体。彼女は地元素封家の娘で医大を卒業し、婚約もしていた。

実業界の大物、相川操一の娘、珠子は東京で一二を競う美貌の持ち主、そしてその兄、守は探偵好きの大学生だった。

都内の建築資材会社に勤めるOL豊原亜紀は、恋人の綿貫志郎とドライブした北関東の山奥で二度も幻の女性に出会うが、綿貫は、真面目に取り合ってくれない。

都内の建築資材会社に勤めるＯＬ豊原亜紀は、恋人の綿貫志郎とドライブした北関東の山奥で、二度も幻の女性に出会う。

文芸編集者笹谷美緒は、取材のため、博多から寝台特急「あさかぜ4号」に乗り込んだ。

東京見物中の赤かぶ検事夫妻。かみさんはビデオ、赤かぶはカメラを片手に楽しんでいた。

アニーは胸の高鳴りを抑えられなかった。自分の企画した〈クリスティー記念祭〉が、ついに開幕するのだ。

精神科医コンラッドは殺人罪で起訴された少女エリザベスを看ることになった。

「青柳みゆきが殺される」―。警視総監宛てにKと名乗る男から奇妙な五通の手紙が届いた。

〈珍瓏〉すなわち、鬩ぎあう石と石が不思議な幾何学模様をつくる盤面全体に及ぶ詰碁―。

女子大生と円紫師匠の名コンビここに始まる。爽快な論理展開の妙と心暖まる物語。