江戸・深川の六間堀で浪人暮らしの坂崎磐音は八月十五日の早朝、六間湯の一番客となった。

改築中の佐々木道場の地中から古甕が見つかった。

江戸に炎熱舞い落ちる頃、稼ぎが減って干上がる間際の坂崎磐音。

坂崎磐音とおこんは危難に満ちた船旅を経て豊後関前藩へと辿り着く。母・照埜と念願の対面を果たすおこん。

坂崎磐音の父で豊後関前藩家老の正睦は、日光社参の無事を祝って城中で催された猿楽に異例の招きを受ける。

出羽山形からの帰路、俄雨の宿場で磐音は、追手に襲われた若い侍を助ける。

安永七年正月。白梅の香り漂う新年早々、尚武館佐々木道場に朱塗りの大薙刀を引っ提げた道場破りが現れる。

安永六年、初夏。江戸随一の両替商・今津屋では佐々木道場の改築完成を間近に控え、主な老分番頭が祝いの品を思案していた。

佐々木道場の跡目を継ぐため、浪人・坂崎磐音は生計の鰻割きを辞し、住み慣れた金兵衛長屋に別れを告げた。

燕飛び交う初夏に、将軍家治は日光社参を決行する。

小梅村の尚武館道場に現れた老武芸者。

深川の長屋で浪人暮らしの坂崎磐音は、日光社参の勘定を担うことになった両替商・今津屋からある提案を持ちかけられる。

わけあって豊後森藩を脱藩し、研ぎ仕事で稼ぎながら長屋に暮らす赤目小籐次。ある夕、長屋の元差配・新兵衛の姿が忽然と消えた。

近ごろ、小籐次が研ぎ仕事をしていると、その姿に手を合わせ念仏を唱え柏手を打つ者、さらには賽銭を投げる者が続出する。

秋風が吹き始めた江戸。磐音は研ぎに出していた備前包平を受け取りに研ぎ師・鵜飼百助のもとを訪ねる。

師走、寒気増す江戸深川・六間堀長屋。

穏やかな新年を迎えた江戸深川に、引く手数多の浪人がひとり。坂崎磐音である。

尚武館を追われ、小梅村にある今津屋の御寮でひっそりと暮らす佐々木磐音とおこん。

近ごろ呆けの進んだ新兵衛が妙な間合いで「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えるため、みんなは困り果てていた。

小正月を迎えた江戸。佐々木磐音は鵜飼百助のもとを訪ね、愛刀の備前包平を研ぎに出す。

おこんの慰労をという今津屋の心遣いで海晏寺まで紅葉狩りに出かけた磐音たち。

千鳥ヶ淵一番町にある高家の屋敷に、おこんらと冬桜見物へと出かけた佐々木磐音。

正月を迎えた江戸。

小籐次一家との身延山久遠寺への代参旅から戻ったお夕は、父のもとで錺職修業を始めた。

旅の空にある磐音らの無事を祈りながら暮らす江戸の面々。

吉原で新たな太夫を客が選ぶ催しが行われることに。

大志を抱き切磋琢磨した友を喪い、豊後関前藩を出奔した坂崎磐音は、江戸・深川六間堀の長屋で浪々の日々を送る。

田沼一派に襲われた豊後関前藩の跡継ぎ福坂俊次を守って、毒矢に切られた霧子。

薩摩を発った空也は肥後国人吉城下へ戻り、タイ捨流丸目道場の門弟として同世代の若者と稽古に励んでいた。

寛政七年仲夏、豊後関前藩の湊に降り立った坂崎磐音一家。

薩摩国の国境に近い牛ノ峠に、一人の武者修行の若者が辿り着く。

安永二年、深川の夏祭りをめぐって、地元の親分の間で起こった諍い。

江戸を離れ逃避行の末、磐音はおこんらと尾張名古屋に身を寄せた。

参勤交代で江戸入りした関前藩主・福坂実高を出迎えた磐音は、次期藩主の俊次に剣術の弟子入りを志願された。

数年にわたって修行の日々を過ごした西国を去ることに決め、福江島から船に乗り込んだ空也は、長州藩の萩城下に降り立った。

森藩藩主の命により、参勤交代に先行して国許の豊後国を訪れることになった小籐次。

武者修行中の嫡子・空也の身を案じる江戸の坂崎磐音のもとに、長崎会所の高木麻衣から文が届く。

平戸を発ち、長崎へと辿り着いた空也は、島巡りの途中で出会った長崎会所の高木麻衣、奉行所の鵜飼寅吉と再会する。

夏を迎えた江戸深川。浪人、坂崎磐音の用心棒稼業は相も変わらぬ貧乏暇なし。

豊後関前藩の若き武士３人が帰藩したその日に、互いを斬り合う窮地に陥る。

一面銀世界の紀州姥捨の郷で、磐音とおこんは生まれたばかりの空也を抱き、束の間の安息を得た。

磐音は、関前藩留守居役の中居半蔵から、実父正睦が藩物産取引で不正を働いた疑いありと告げられる。

安芸広島城下で空也は、自らを狙う武者修行者、佐伯彦次郎の存在を知る。

豊後関前藩から密かに上府した、坂崎磐音の父で国家老の正睦。

佐野政言が城中で起こした刃傷騒ぎに起因し、田沼意次の嫡男・意知が落命する。

豊後関前藩を後に、商人箱崎屋次郎平の招きで博多を訪れた坂崎磐音とおこん。

坂崎磐音とおこんの帰りを待つ江戸。

尚武館佐々木道場で朝稽古に励む磐音を、元師範の依田鐘四郎が訪ねてくる。

玖珠山中に暮らす刀研ぎの名人「滝の親方」は、小籐次にそっくりだという。

身の丈五尺一寸、風采の上がらない五十男。しかし実は来島水軍流の凄まじい遣い手――。

落馬で腰を痛め、息子との立ち合いでは不覚を取る。

正月。小籐次は望外川荘、おりょうの実家、久慈屋と宴席が続き、掏摸を捕まえた駿太郎は、奉行所から褒美をもらうことになった。

小籐次は久慈屋昌右衛門に同道を請われ、伊勢神宮へと旅立った。

深川惣名主・三河蔦屋染左衛門の信を得た小籐次は、染左衛門の成田山新勝寺詣でに急遽同行することに。

年の瀬が迫り、次々と舞い込む研ぎ仕事を片付ける傍ら、小藤次は想いを交わすおりょうのため、芽柳一派旗揚げ新春歌会の設えに奔走する。

かつて仕えた森藩の呼び出しに応じ、旧主・久留島通嘉と面会した小籐次は、思いがけず若き日の悪さ仲間だった松野藩藩主・松平保雅の窮地を救うよう依頼された。