徳川吉宗の一声により、天下第一の剣者を決める「享保剣術大試合」の開催が決まった。

め組の姉御お杏が、待望の男子を出産した。惣三郎らは家族同然に歓喜し、祝いの酒を交わす。

金杉惣三郎の肩口が存分に斬り下げられ、血飛沫が舞った。惣三郎はお杏の目の前で川に落ち、消息を絶った。

年の瀬も押し迫った江戸。金杉惣三郎の愛娘みわは不逞の浪人に取り囲まれ、窮地に陥っていた。

豊後相良藩二万石の徒士組・金杉惣三郎は、固い絆で結ばれた藩主・斎木高玖から密命を帯びる。

享保八年秋、飛鳥山の菊屋敷は、棟方新左衛門と久村りくの結納を祝う一座で賑わっていた。

御家騒動から七年後。相良藩の江戸留守居役となった金杉惣三郎は、財政の建て直しに忙しく、我が子とゆっくり向き合う暇もない。

足掛け５年の修行の日々は、すべてこの日のため――。国中から豪腕辣腕の武芸者が集結した上覧剣術大試合。

百万石の栄華も今は昔。

京の都。祇園感神院の西ノ御門前で空也は、往来の華やかさに圧倒されていた。

一年に及ぶ柳生逗留を終え、惣三郎と結衣が江戸に帰ってきた。しのと結衣は抱き合って再会を喜ぶ。

若狭小浜城下から敦賀へと向かう若狭路。

京の袋物問屋の隠居・又兵衛と知り合った空也は、大和国室生寺に向かう一行と同道することになった。

元禄五年（1692）冬。大安寺一松は水戸藩元藩主・光圀より影警護の依頼を受け、船旅に同道する。

安芸広島城下で空也は、自らを狙う武者修行者、佐伯彦次郎の存在を知る。

「参りました」惣三郎が突如、頭を下げた……。

数年にわたって修行の日々を過ごした西国を去ることに決め、福江島から船に乗り込んだ空也は、長州藩の萩城下に降り立った。

偉大な師米津寛兵衛の死から一年が過ぎようとしていた。

飛鳥山の菊屋敷で、剣術家が独り稽古を続けていた。

上覧剣術大試合開催を知るや、佐渡を出立して越後に修行の場を移した清之助は、長岡へ向かう途次、討手に追われる姉弟と出会う。

偉大な師米津寛兵衛の死から一年が過ぎようとしていた。

上覧剣術大試合まで半年余りとなった初夏。金杉清之助は仙台・伊達家城下で修行に励んでいた。

寛政五年十月、江戸を見舞った大火事のあと、吉原に大勢の客が押し寄せる。

いよいよ江戸に帰るべく、金杉清之助は徹宵して南下し、師が眠る鹿島を訪れる。