小さな嘘つき
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ゴンクール賞をはじめ、いくつかの文学賞にノミネートされたというフランス人法廷ジャーナリストの長編小説。嘘をついて他人を犯罪者と名指しした若い女性を救うために奮闘する女性弁護士の活躍を描いた法廷エンタメ作品である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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主人公は、弁護士、アリス。彼女は性被害者、リザ・シャルヴェから自分の男性弁護士を女性に変えたいので弁護を引き受けてほしいと依頼を受けます。 五年前、リザ・シャルヴェが中学の四年生だった時、塗装工、マルコ・ランジュが彼女への強姦の罪で訴えられ、既に被告人には判決が下され、十年の刑期が言い渡されていました。その後、無実を主張する被告人が控訴し、控訴審が四ヶ月後に控えていました。その当時、マルコは三十二歳、リザは十五歳でした。 アリスは、特に難しい事件だとは思わずに弁護を引き受けることになります。一審の刑期は十年。(私はフランスの法制度を理解しているわけではありませんが、真っ先に想起したのは2024/2月に見た「落下の解剖学」(監督:ジュスティーヌ・トリエ)の法廷シーンでした。) アリスが関係者に会い、再調査していく中、その少女に対する強姦事件には一つの小さいとは言えない「嘘」が含まれていることを知らされることになります。本書はスリラーとは言えませんので、より詳しく書くこともできそうですが、リリースされたばかりの段階ではまあ、やめておきましょう(笑)。 その小さいとは言えない「嘘」によって事件がまわり舞台のようにくるりと反転するわけですが、そこには国を問わず、現代が抱える大きな問題が暴露されています。 本書は、<何も言うことができなかった>状況を打破すべく何かを言うことの困難さと延々と続いてきた悪辣な<男社会>の正体を語りながら、それでも尚打破しきれない#MeeTooの持つ"Vulnerability"とその複雑さについてを或る種の希望に向かって描写していると言っていいのかもしれません。少し歯切れの悪い言い方になってしまいました。 この時代まで、多くの状況に応じて"男たち"は何らか悪辣なパワーを当たり前のように行使してきた可能性が否定できないと思えるからでしょう。いずれにしても、そんなことはもうやめにしなければいけません。 ◻︎「小さな嘘つき "LA PETITE MENTEUSE"」(パスカル・ロベール=ディアール 早川書房) 2025/6/21。 | ||||
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