逆説の日本史(28) 大正混迷編 南北朝正閏論とシーメンス事件の謎
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著者は、本シリーズをはじめとする多数の著作等を通じて歴史教育の誤りを数十年にわたって訴え続けてきた。しかし、権威主義の歴史学者達は著者の訴えを無視し続けている。日本は先の戦争で滅亡寸前の危機に陥ったが、今の歴史教育からは「なぜ日本が滅亡の危機に陥ったのか?」「日本を滅亡の危機に陥らせたのは誰か?」「日本が再び滅亡の危機に陥らないようにするにはどうしたらいいか?」等の国家的最重要問題に全く答える事ができない。なぜなら、東京裁判史観に立つ今の歴史教育では先の戦争に関する事実が隠蔽・改竄されて、客観的にこれらの諸問題を論議する事が不可能になっているからだ。しかし、本シリーズを幕末から読み返すと、著者はこれらの諸問題の答えを度々明快に指摘している。すべての日本人に読んでもらいたい本だが、今の歴史教育を受けてきた日本人の中にこの本を読める日本人がどれだけいるか心配にもなる。 | ||||
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毎回楽しみ | ||||
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『逆説の日本史(28)――大正混迷編 南北朝正閏論とシーメンス事件の謎』(井沢元彦著、小学館)から、多くのことを学ぶことができました。 ●藤原氏に仕えていた紫式部が「ライバルの源氏が勝つ」物語を書いても非難されるどころか賞賛された。 ●「二流」の政治家・山県有朋ですら、児玉源太郎が提案した「満洲植民地化路線」には反対した。 ●「第二教育勅語」の「追加」、大日本帝国憲法の「改正」という形で日本を変えようとしていた西園寺公望は、その最大の後ろ盾である伊藤博文と明治天皇を相次いで失ってしまったため、断念せざるを得なかった。 ●「帝人事件」は「でっち上げと証拠隠滅の名人」平沼麒一郎の仕業だ。 ●「陸軍の暴走で大日本帝国は崩壊した」というのは、あまりに表層的な見方だ。その背景には、明らかに民衆の熱い支持があったのだ。 ●大正政変あたりから日本の新聞は国民の「耳目」という本来の役割を完全に忘れ、「アジテーター(扇動家)」として活動するようになってしまった。 ●戦国時代、戦争に勝った側の兵士は侵入した敵地では略奪も強姦もし放題だった。これを「乱妨取り(乱取り)」といい、そういう余禄があるから原則的には無給の兵士らも一所懸命戦ったのである。しかし、唯一織田信長だけが商業を盛んにすることによって兵士に給料を払った。だから、初めて上洛した兵士たちに略奪を厳禁することもできた。それゆえ信長は他の大名と違って、天下の人々から信頼を得ることができたのだ。 ●山県有朋は軍国主義化路線の巨頭と見做されているが、中国(袁世凱)やロシアとは対立すべきではなく、友好関係を確立すべきだと言っていた。 いつものことながら、井沢元彦には教えられることが多いですね! | ||||
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『逆説の日本史』シリーズをはじめからすべて読んできている読者としては、本書の第一章 南北朝 正閏論や、随所に出てくる怨霊信仰に関する振り返りはまたかという感があったのは否めません。 かといって、井沢さんが書いているように、本書が逆説シリーズ初見の読者もいるので、バランスの 取り方が難しくなってきています。本書ではじめて『逆説の日本史』を読む人にとっては、これで 井沢史観を理解するのは至難だろうなとも感じました。 井沢さんの歴史の視点に共感する者としては、本書にそのエッセンスが詰まっている、「世界史と 日本史のつながり」と「天皇教」が興味深いものでした。 描かれている時代は、明治の終わりから大正のはじめにかけてです。 ■ 世界史と日本史のつながり 桂園時代と呼ばれたこの時期の、西園寺公望の生涯に焦点を当てているのが白眉です。 彼がフランスに留学していた時代は、ナポレオン三世が治めるフランスのの力が弱まり、宰相ビス マルクの率いる隣国ドイツが欧州で勢力を増している最中でした。 幕末から明治・大正前半にかけて、日本史に大きな影響を与えたのは欧米諸国ですが、その面子は 刻々と変わっていきます。黒船のアメリカは彼の国で起こった南北戦争によって日本史の舞台から いったん姿を消し、次にフランスとイギリスが前面に出てくるようになりました。 そして、本書のすべての章に付けられている ”大日本帝国の確立” という面で考えるなら、最も 影響を与えたのはドイツです。憲法や陸軍がドイツを模範にしたことは知られていますが、なぜ 当事の日本はドイツを手本にしたのかは、その時代の欧州のパワーバランスを知らずに語れない ことを本書は教えてくれます。 ■ 天皇教 井沢さんが日本史の視点で強調している大事な点のひとつが「宗教」を見ることです。「天皇教」 という宗教はありませんが、特定の宗教へのこだわりが少なくて、無宗教と考えている私たち日本 人にとっての宗教(信仰)は各時代に確実にあります。幕末から太平洋戦争が終わるまでの時代の 多くの日本人の心に宿っていたのは、天皇を神様と位置付けて崇める、いわば「天皇教」だと井沢 さんは説いています。 歴史小説家としては知名度と実績においてトップと言っても過言でない司馬遼太郎さんの次の言葉 が、本書で引用されています。 日比谷焼討事件は”大正デモクラシーの出発点”どころか”向こう40年の魔の季節の出発点”だった 天皇を崇拝する一部の過激派の話ではなく、国民全体が天皇教の信者となり、時の良識派、言い換 えるなら、世界情勢の中の日本をしっかりと見据えることのできる現実主義の政治家であった西園 寺公望や政友会が「悪」とされた時代だったと著者は説いています。 井沢さんの視点のすべてが正しいわけではないにせよ、その後の軍国主義に走り、多くの国民の死 という犠牲を払った昭和初期の戦争を振り返り教訓としたいなら、この視点は不可欠です。 最後に。 レビュータイトルに書いたとおり、歴史のオモテに出ている事実をつかむだけでなく、その奥に ある真理を理解することを井沢さんは重視しています。そして、それは未来を見るための道標や 羅針盤になってくれます。井沢さんは、”戦前も戦後も一番大切なのは「いま生きている日本人の 命をどうやって守るか」だ” と書中で語っています。 現在の日本を取り巻く状況を冷静に見ると、戦後の経済一本槍で突き進むことができた時代とは 様相が一変し、地政学上の問題を真剣に考えないとこの国の将来が危うくなっています。 本書からは、日本の未来を考える時には、「世界を見る」ことと、私たちの内面に息づく宗教(信 仰や信念)を重要な軸として持つことの大切さを学ぶことができます。 このシリーズは近代に入り、その混沌とした歴史を読み解くのが難しくなってきています。 だからこそ、「軸」を持って歴史を見る目をもつことの重要性を知る本です。 | ||||
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