千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件帖



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初公開日(参考)2019年07月
分類

長編小説

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千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件帖 (宝島社文庫)

2019年07月04日 千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件帖 (宝島社文庫)

「私は千年探偵――知識を深める時間なら幾らでもあったわ」 悩み多き青年×美貌の少女探偵の大正怪奇ミステリー! 時は、大正8年。 秦野財閥の四男・孝四郎は、芸妓の子であることを理由に認知されず、貧しい生活を送っていた。しかし母を病で亡くした後、突然、父から一族に迎え入れられ、常軌を逸した指令を下される。曰く「人魚の肉を手に入れろ」と。 父の命で孝四郎は、 隠遁生活を送っている謎の少女・白比丘尼の元を訪れる。彼女は、「自分は人魚の肉を食べた不老不死の身である」と言い、時に童女のようなあどけなさを見せ、時に鋭く厳しい言葉を口にする。彼女と手を組むことになった孝四郎は、かつて集団失踪事件があった曰く付きの孤島でのオークションに参加することに。 集まったのは一癖も二癖もある人々。 ところが、翌朝、開催者・不破男爵が島の海岸で死体となって発見され……? 過去の事件と現在の事件が共鳴し、謎が謎を呼ぶ怪奇ミステリー!(「BOOK」データベースより)




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千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件帖の総合評価:8.00/10点レビュー 2件。-ランク


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No.2:
(4pt)

果たして“彼”は信頼できるのか? 答えは時の流れが教えてくれます。

悪くはない。
「八尾比丘尼伝説」に材を取った、この作品ならではのギミックも物語として悪くない。
ただ、もう一歩何かが足りなくて惜しい、というのが偽らざる雑感でした。

惜しむらくは、ヒロインの掘り下げと時代考証がいま少しだった点が挙げられるでしょうか。
表紙を飾るヒロインの「白比丘尼」も悠久の時に倦んだ麗人というにはいささか迫力と貫禄が足りなくて。等身大で見た目通りの少女というには不老設定が見合わない。ちょっとちぐはぐな感触を覚えました。
彼女をどう捉えるべきかは作者が狙って悩ませていると思うので、悩ましさが堂々巡りなのはさておいて。

それと作中で持ち出された語り手の「多重人格」は、使い古されたネタだけに少しばかり食傷気味でした。
多重人格は仕方ないとしても大量の理論武装を軸に、もっと読者をケムに巻いて納得させてほしかったというか。明け透けなミスリードとわかった上で一読者として私が惑わされてしまったのも確かですが。
他方で語り手を窮地に追いやることは、この物語を成立させる必須要素なのでとても良かったと思います。

あと、絶海に浮かぶ孤島の館を舞台とし、絢爛と退廃が同居する大正華族社会の裏側を描くため必要になる要素として。わざとらしいほどの装飾性が足りていない。作中で持ち出される蘊蓄や時事ネタは、時代背景を踏まえてあって納得はできます。けれど知的好奇心を刺激するにはいささか物足りない。

……もっとも、それらは私の好みではないというだけです。問題ないといえば、問題はありません、
作品全体を見渡したとして、目立った減点要素が見当たらないことは確かです。
私はしませんが重箱の隅をつついたとして、ほこりが出てくる類の作品ではないでしょう。

孤島で起こる殺人事件のトリックについても派手さはなかったものの、堅実で悪くはなかったです。
巻頭の人物紹介が定番の「十三名」、定番の双子の使用人も取り揃える。加えて、ふたりセットになっている面々が多かったこともあって人物の把握にあまり手間取ることがなかったのは好印象でした。

ただし、劇的に私の胸をときめかすものでもなかったのも事実です。
登場人物たちの中に、通り一遍な表の顔から離れてみれば醜悪な顔の持ち主が入り乱れていたというのはまぁ王道というもので。過去起こった事件の表裏と真犯人の動機についても、悪くない胸糞悪さでした。

ただ、いずれにしても悪くないを積み重ねるだけで目立った加点要素が特にないんですよね。
小説媒体を活かした大仕掛けと、物語が反転する構図は最後バシッと決まっていた反面、それが祟ってか語り手たる主人公は目撃者とどまり。物語のエスコート役として不首尾に終わってしまった感が否めません。

むしろ語り手の兄の方がいい味を出せていた気がします。
けれど、そちらも見せ場の遅さがあってか微妙に活かし切れず。
材料は揃っているのに作品全体が枠にはまって弾け切れずにいた、というのが適当な表現なのでしょうか。

されど「不老不死の麗人」と「絶海の孤島の館」と「大正華族社会」。これらの題材から連想される怪奇ミステリのオーダーにしっかり応えた上で、現代の読者が読みやすい小説が仕上がっているのも事実でした。
よって楽しめたかと言えば「YES」、より完成度を高められた可能性を問わればそちらも「YES」です。

主要な面々の価値観や行動原理は描かれていましたが、贅沢を言えばもう少しひねりが欲しい。
登場人物を記号的なキャラクターと捉えるか、生身の人間として解するか、どっちつかずの感がある。
時代に立脚した言い回しと現代の読者に向けた配慮が両立しているのはいいですが、けれんみが足りない。

傲慢にも私なりの改善点を挙げてみるとやはりというか、どれも的外れに思えてきたのは困りものです。
下手にいじると物語の完成度を損なうので、全体の文章を少しずつ精査して手直しされるしかないと思うのですが、具体的にどうこうという指摘ができかねる。なんというか、無責任なレビューですね!

結論として、凡作というのは不適当で部分的に秀作といえるところはある。
けれど、全体が小奇麗にまとまっているので逆に突出した部分が目立たない。
そんな難儀な作品だと評する次第です。とまれ、名作に届くポテンシャルは散見されると思うのですが。

さて、では最後のまとめに一言二言。
このレビュー、信頼できない読み手の意見として未来の読者が一蹴するのも一興かもしれません。
なにせ、これから流れる時間が証明するのですから。その人が信頼できるか否かを……ね?
千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件帖 (宝島社文庫)Amazon書評・レビュー:千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件帖 (宝島社文庫)より
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No.1:
(4pt)

続きも読んでみたい。

富豪、秦野家の庶子、孝四郎は父である秦野家の当主、死期が間近に迫った零明に人魚の肉を探すよう、命じられる。
そして、そのパートナーとして指名されたのは、千年の刻を生きてきたと言われる白比丘尼の...椿様。
彼女なら人魚の肉の真偽が分かると言う。
二人は人魚の肉を求め、男爵家が主催するオークションに参加するが...
孤立した小島で起こる、お約束の...

少女の様でもあり、大人びた女性でもあり、基本は謎の美少女風の椿様。
老練なババクサイ所はなく、ちょっと儚げ。
頭は良いが、割りと危なっかしい。
孝四郎、庶子で放っておかれた割には物識り。 ちょっと、設定に無理がある気も。

途中、字体が異なる文章がちらほら。
半分は想定した通りでしたが、半分はそう来たか...
最初と最後で物語の印象がガラッと変化するのは見事だった。

続きも書けそうな終わり方。
二人のその後の物語も読んでみたい。
千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件帖 (宝島社文庫)Amazon書評・レビュー:千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件帖 (宝島社文庫)より
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