レビュー一覧
梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへ 全681件 421〜440 22/35ページ
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
この作品の主人公は、探偵法月綸太郎というよりも、被害者の父親である山倉史朗という人物であると言っていいでしょう。
タイトルにある「一」は、一人称叙述形式の「一」であり、山倉史朗の一人称視点で語られます。
単なる誘拐事件ではなく、その裏には山倉史朗を中心とした複雑な人間模様が背景としてあります。
その複雑な人間関係、少なくとも山倉史朗本人には初めっから全て分かっています。
読者には物語の進行に従い徐々に明らかになっていきますが、それにより何故山倉史朗がこれ程までに必死なのかも分かってきます。
登場人物は多くはないのですが、その殆どの人物を一度は容疑者へと浮かび上がらせるプロット、そして殆どの登場人物が不幸になるという悲劇、そして最終的に山倉史朗にとっては最も悲惨であろうと思われる結末が待ち構えてちます。これぞ「悲劇」
その山倉史朗の視点で語られる物語は全編緊迫感に満ちています。引き込まれます。
いつものような、綸太郎の悶々とした苦悩、二転三転の推理に付き合わされイライラする事がありません。テンポもいいです。
山倉史朗以外の視点で語られたなら、こんな緊迫感は絶対に生まれていませんからね。
というか、この作品は法月綸太郎シリーズですが、倫太郎がいなくても十分良質の誘拐モノとして成り立っています。寧ろ邪魔かも。
でも皮肉な事に、個人的にこの作者の作品では一番かな。