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レビュー数1

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(7pt)

火車/クレジット社会の闇を知る

休職中の刑事のもとへ、親戚の青年が失踪した婚約者を探して欲しいと訪ねてくる。彼女に自己破産経験があると判明してすぐに、家も仕事も捨てて消え去ってしまったのだ。なぜそこまで徹底的に逃げるのだろうか……

初めて読んだのは中学生の頃で、そのときも面白く感じてはいたものの、やはり登場人物の設定やそれぞれの場面での感情など、よく捉えられていなかったように思う。
ふと、結末は覚えているけれど、途中経過を忘れたなあと思って、読み返してみた。

20年以上前に書かれた話なのでピンとこない描写もあるが、それでもクレジットカードやローンの怖さをリアルに感じられる。
刑事ドラマっぽさがあるストーリーで、主人公が地道な調査と推理を重ね、少しずつ真実が明らかになっていく。派手さはなく、良くも悪くも堅実な展開と言えるだろう。ぱっと盛り上がる展開が好きな人には物足りないかもしれない。

テーマになっているのはクレジットカード、ローンなどの「消費者金融」。
この「消費者金融」については、本当は誰もがきちんと学び、正しい知識を身につけなければならないだろう。
とは言え、実際には有名なタレントがカッコよくカードを使うCMがあったり、支払いは分割が当たり前かのような売り方をしていたりと、「借金」であることが直接的に感じられない世の中になっているようにも思う。
学校の授業で取り入れるという方向にも動いているようだが、やはり勉強となると堅苦しく感じてしまうものだ。

そう考えると、この『火車』ならば、ミステリとして楽しみながら、消費者金融の闇を知る良いきっかけになるのではないだろうか。
学べるミステリとしてオススメしたい作品だ。

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火車 (新潮文庫)
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