記憶にない殺人

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記憶にない殺人の評価:

4.00/5点 レビュー 1件。 - ランク

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全1件 1〜1 1/1ページ
No.1
(4pt)

稀に見るイヤな小説。しかし、ページ・ターナー

先に言ってしまいますが、稀に見るイヤな小説です。あまりにも"sisterfood"過ぎて呆然としてしまいますが、ページ・ターナーであることは間違いありません。
 五年前に発生した殺人事件。主人公、ルーシー・チェイスは、テキサス州、プランプトン(これは架空の土地?)で当時二十四歳のサヴァンナ・ハーパーが遺体で発見されますが、現場近くを彷徨い歩いていたルーシーが保護されます。彼女はサヴァンナの血を浴び、爪にはサヴァンナの皮膚片が残されていました。ルーシーは事件当時の記憶がすっかりなく、その記憶が戻ることもありませんでした。ルーシーは住人たちから犯人とみなされ、カリフォルニアに移住することになります。その事件は<迷宮入り>になっていました。
 五年後、その事件を解決すべく犯罪ドキュメンタリー・ポッドキャスト「嘘に耳を澄ます」が始まります。ホストは、ベン・オーウェンズ。ベンはプランプトンを訪問し、関係者のインタビューを行いながら事件解決に挑みます。
 一方、ルーシーは祖母ベヴァリーの誕生パーティーに出席するためプランプトンへ帰郷しますが、そこでベンと出逢い、結果的に事件の解明に乗り出すことになります。
 ルーシーの一人称によるストーリー展開の中、巧みにベンによる「ポッドキャスト」がインサートされながら小出しにされる事件のファクターによって、その「記憶にない殺人」の真実が徐々に明らかにされていきます。
 2026/5月に読んだノルウェー・ミステリ「クライムキャスト ~Vol」(ヨルン・リーエル・ホルスト)もまた、<クライムキャスト>という名のポッドキャストによって事件が語られていましたが、物語の構造はより堅固であり、ポッドキャストによる「誰かに見られている」ような強い効果によってノルウェーという国家の寂寥感を醸し出していました。
 今回はどうだったのか?基本的に<Who-Done-It>が要なわけですが、根底には私には理解できない<性>のあり様と相変わらず何とも受け入れられない不埒な男たちのあり様が荒れ狂う嵐のように私に降りかかってくることになります。だから、「稀に見るイヤな小説」という言い方になってしまうのかもしれません。法執行機関が登場しないことも少し気になりました。
 これがTexのそれなりの現実だとして、セックスによって支配と被支配を繰り返す男女がいることも良く知っているとは言え(笑)、しかし次はもっと清冽な小説を読めれば良いなと思ったりもしました。
 結果、私はまたしても読んではいけない小説を読んでしまったと言えるでしょう。あの本を読めば、この本は読めないというのに。
◾️「記憶にない殺人 "listen for the lie"」(エイミー ・ティンテラ 早川書房) 2026/6/7。
記憶にない殺人 (ハヤカワ・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 記憶にない殺人 (ハヤカワ・ミステリ)より
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