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ネシャン・サーガ1 ヨナタンと伝説の杖
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ネシャン・サーガ1 ヨナタンと伝説の杖の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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| はじめにお断りいたしますが、翻訳ファンタジーに関しては、私は軽くマニアックです。そのため以下の感想は、どうしてもトールキンの「指輪物語」およびエンデの「はてしない物語」との比較っぽくなってしまうと思います。 この「ネシャン・サーガ」前半の最大の特徴は、現実世界に生きる病身の少年ジョナサンと、異世界の少年ヨナタンが互いを夢に見合っているという枠組みでした。しかし、この二重構造はわりあい早い段階で解消され、ジョナサン=ヨナタンは同一人物となり、以後のストーリーはすべて異世界ネシャンで展開していきます。 ちなみにネシャンとは、創造主の「悪しき息子」が支配欲に駆られて勝手に造った歪んだ世界であり、ジョナサン=ヨタナンはその世界を最終的に浄化するために杖ハシェベトを託された「裁き司」であると設定されています。前半、二重の夢の構造が活きていたとき、ヨナタンはあくまで「本物の司に杖を届けるための臨時の使者である」と自分を認識しており、病身のジョナサンはもちろん自分が「司」であるとは夢にも思っていません。このあたりまで、私はかなり楽しく読むことができました。 しかし、後半、両者が合一したあとには、ヨナタン=ジョナサンのキャラクタは単純になります。すなわち、自分が「絶対的に正しい何か」に力を託されたのだと信じて、「杖」によって「悪しき力」の源をつきづきと破壊してゆくのです。 このあたりの展開は、印象のみならず、キャラクタや地理設定までも「指輪物語」を思い出させます。大河を挟んで「闇の国」と向き合う「光の帝国」の都は明らかにゴンドールでしょうし、「悪しき力の目」に毒された皇帝はデネソール侯、父に愛される長子と愛されなかった次子はほぼそのままボロミアとファラミア兄弟のようです。そして、「杖」の力によって竜さえ従わせ、陥落寸前の都を華々しく救って帰還するヨタナン=ジョナサンはアラゴルンーー正確には、ありえたかもしれないもう一人のアラゴルンでしょう。「絶対的に正しい何か」に託された強力な武器を手にして帰還した「正しい支配者」です。この帰還に欠けているのはフロドです。世界を支配するひとつの意志を――当座の影響が善かろうと悪しかろうと――手放そうと決めた小さく善良な何かです。ヨタナン=ジョナサンは旅のどこかでフロドを殺してきたのでしょうか? それとも、はじめからそんなものはいなかったのでしょうか? 正直なところ、私はこの話をどう評価すべきか迷っています。筋立てとしては面白いし、キャラクタも世界も魅力的です。しかし、もしも私が親なら、これを子供に勧めようとは思わない気がします。異世界で万能の存在となったジョナサンは、「はてしない物語」のバスチアンと違って現実には帰ってきません。彼は異世界で讃えられ、自分が信じる何かの正しさを決して疑わなくなります。それはあまり賢明なこととは思えないのです。 | ||||
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