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(短編集)
姫君を喰う話: 宇能鴻一郎傑作短編集
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姫君を喰う話: 宇能鴻一郎傑作短編集の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 21~22 2/2ページ
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〇にっかつロマンポルノは1133本あるそうなので、宇能鴻一郎原作の「あたし」ものが24本あってもたいしたことはないように見えるが、たぶん原作としては一番多いのではないかと思われる。 〇本書はその宇能鴻一郎が1969年~1970年に発表した4編と、1962年の1編と1961年の芥川賞受賞作を加えた6編で構成された短編集である。選択の基準はよくわからないが、読後感としては佳作揃いと思う。 一、構成 〇「姫君を喰う話」(1970)・・『お菓子の家の魔女』(講談社ロマンブックス1970)に収録。 〇「鯨神」(1961)・・『鯨神』(文芸春秋新社1962)に収録。のちに中公文庫。 〇「花魁小桜の足」(1969)・・『縄目の快楽』(講談社ロマンブックス1970)に収録。本書のものは最新バージョンとのことである。 〇「西洋祈りの女」(1962)・・『鯨神』(文芸春秋新社1962)に収録。のちに中公文庫。 〇「ズロース挽歌」(1969)・・『切腹願望』(徳間書店1970)に収録。のちにちくま文庫。 〇「リソペディオンの呪い」(1970)・・『切腹願望』(徳間書店1970)に収録。 二、大変 〇大変なニュースとしては、本書刊行と時を同じくして、1960年代~1970年代の講談社ロマンブックス宇能鴻一郎作品(短編集と長編)が、一気に20点以上電子化されてしまった。大変だ。 三、私的感想 〇「姫君を喰う話」は現代のモツ焼きで内臓を食べている主人公の隣に虚無僧平致光が降りてくる話。主人公の性的嗜好は女性のアナルに対するフェチシズム+微妙なスカトロ。虚無僧のほうは、平安時代に戻り、『小柴垣草紙』の斎宮との密通をエロティシズム一杯に語る。最後は題名の通り。 〇「鯨神」は略。 〇「花魁小桜の足」は踏み絵と殉教もの。作者会心の作品なのだろう。ラスト(オチ)が見事。 〇「西洋祈りの女」は聖母凌辱になるのだろう。気分のいい話ではないが、戦後農村社会の光景の丁寧な描写は印象に残る。 〇「ズロース挽歌」・・制服女学生信仰、ブルマー信仰、ズロース信仰にとらわれ、一度きりの悲惨な赤線体験以外は、女性との接触なく過ごしてきた三十代の男が、自分の余命を知って、女学生を誘拐監禁するという大胆な行動に出る。その結果は・・大変ロマンティックで意外な展開で、ちょっと感動した。『鯨神』を除く5編の中の最高傑作と思う。 〇「リソペディオンの呪い」・・前半が鍾乳洞とストーンベイビーの話。後半がストリッパーを巡る三角関係の話。 四、予習及び復習 〇予習及び復習として、講談社ロマンブックスの電子化の中で、最初期の作品『完全な女』(1964)と、官能「あたし」ものの比較的初期作品で、アンリミテッドで無料で読める『ためいき』(新潮社1974)を読んでみた。 〇『完全な女』は高校を出てデパートの店員をしていた主人公が、会計士の男と「「完全な女」になり、男に自由な愛を与える」契約をする。主人公は男の支援によって、ファッションモデルとなり、大学に進学し、さらにライターにまでなり、一年経って男と肉体関係に入る。自由な愛のはずだったが、主人公は男との結婚を望むようになり、子どもを孕んでしまい、男から出産を拒否されて堕胎する。 財政的には豊かになり、ほかの男から求婚されても結婚する気になれず、男の所に戻っていく。しかし・・。 五、予習及び復習結論 〇『完全な女』は性愛描写はあるが、過剰ではなく、テーマは生きがい、愛、教育、契約と契約外、無意識ジェンダーで、フェミニズム小説的雰囲気もある。傑作とはいえなくても、ほかの本も読んでみたいという気にはなる。 〇『ためいき』は読んでいて疲れた。「あたし」小説には当分近寄らないようにしよう。 | ||||
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74~78年、新潮社が四六判で出版していた官能小説「ためいき」「わななき」「すすりなき」。 (個人的には「すすりなき」は最高傑作だと思う) その後、80年代の宇能鴻一郎文庫化ブームにもこの3作品は出版されることはなかった。 今回、お堅い本書が出版されたのを機に、ぜひとも東京オリンピック後のコロナ鬱対策として「3きシリーズ」を出版してほしい。 できれば表紙は宇能作品でおなじみの、鈴木正・杉浦幸雄・山下紀一郎のどなたかで。(3きシリーズ四六判は鈴木正) 官能小説の出版を期待して☆4つ。 | ||||
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