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ノロワレ参 虫おくり
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ノロワレ参 虫おくりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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七谷という地に蔓延する閉塞感がさらに強く感じられたような話でした。 舞台は七谷の中でも更に奥まった場所にある棄谷であり、引っ越して来ただけの余所者も悪意も害意もなく、ただそこにいるから、というだけで排斥してしまうような「日本の田舎に潜む闇」をそのまま小説にしたような暗鬱さがありました。 人形呪詛、外法箱に続き、物語の主人公(だと思われる)現人・夢人兄弟は最後の最後まで蚊帳の外なので、Missingやグリムで主人公が前線に出るのに慣れていると、少し物語の舞台を遠く感じてしまうのか、猟奇に対する恐怖も前作よりも薄いように思いました。 スズメバチを媒介とした呪いの有様や、途中に出てくる呪い返しの儀式など、ぞくぞくする描写は多分に仕込んであるのですが、やはりキャラクターの個性が抑えられているせいかMissingの時に抱いたような心臓が凍る恐怖、というのはあまりなかったように感じます。 ただその代わり、田舎でのイジメに対する大人の態度、子どもの態度、見て見ぬ振りを続ける残酷さや、いじめられっこ側からいじめっ子側へと回った罪悪感や葛藤、それを突き放すキャラクター達の心理など「人間の怖さ」に対してスポットが当てられていたのかな、と。 人は死なないですが、死なないからこそもやもやする。勧善懲悪などない。命をとして呪ったからと言って、全てが報われる訳ではない、というある種の教訓的な後味の悪さがありました。 下手に道徳的な話を読ませるよりも、子どもの心に突き刺さるのでは。 | ||||
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前回までから一転し、今回は猟奇色が多かったように思います。この手の作品が人を惹きつける要素の一つにはやはり人の「死」があるでしょう。 今回は虐めを苦に自殺した少年を皮切りにした強烈な呪いが棄谷という小さな集落に蔓延ります。同時に田舎の因習、村社会の暗さといったものがまざまざと見せつけられているのも物語を盛り上げる一因となっており、1・2巻と比べて3巻が一番面白いと言えるかと思います。 特に「むしおくり」祭りの穢れを集めて捨てるという風習と虐めの中にある「呪い」の基本認識の絡め方は秀逸と言うほかなく、夢人の解説には感嘆の一言。虐める側の思考・虐められる側の思考と合わさってより本作の陰鬱さを際立たせていると言えます。 ただやはり夢人・現人が呪いの中心におらず、傍観者でしかない感が捨てきれません。呪いの正体も予想を裏切るものは無く、もうひとひねり後味の悪さが欲しかったかと思います。完成度は非常に高く面白いものの、☆4は付けられないといったところでした。 | ||||
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ホラー作品であるノロワレ参巻は、苛められて自殺した生徒の呪いによって・・・というあらすじとなっています。 その見所はというと、やっぱり虐めというものの描き方。田舎を舞台にして、引っ越した余所者に対しての嫌がらせといった具合で色々とされるのですが、苛める側の主張といったら「あいつが生意気なのが悪い」「あいつが金持ちを見せびらかすからだ」と、たかだかそんなものだったりします。しかし、現実の世界でもたかがそんな理由だけで虐めというものは行われ、被害者が自殺したといったニュースが実際に出ています。 今回の話では、そうした虐めというものの定義を作中で描写していました。登場人物の一人、真木夢人の言った台詞の一つにこうあります。 「ただああいったものは、子供の立場からでは見えにくいというだけだ。そして疑問を抱かずに大人になると分からなくなる。それが濃縮されると、ああなる」 傍から見れば、どう考えても酷いことをしているはず。それなのに、やってる本人の主観的には何の疑問もなく、「こいつが生意気だから・うざいから」といったその程度の理由で虐めは正当化されてしまいます。その事を指摘する台詞が他にもいくつかあって、虐めの悲惨さというのを本当に上手に描写していると思います。 これを読めば、正直言うと後味の悪い気分になるかもしれません。 しかし、確実に反面教師としては優秀なテーマ素材がここにはあります。 作者にそういう意図があったのかはわかりません。 ですが、自分はこうなってはいけないと思わされるような内容と後味の悪さがあり、まさしく意義のあるテーマ内容だと思います。 ほとんど虐めについて語ってしまいましたが、甲田学人さんの作品は民俗学的知識が多く披露されています。京極夏彦作品のように面白い薀蓄を述べるシーンも多々あるので、そういったものが好きな方は是非読んでください! | ||||
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