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パラレル
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パラレルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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不思議な読み口の作家さんでした。 ちょっと癖のある文章ですが、それが逆に癖になる書きぶり。また、30代位のアホでエロな男たちの挽歌とでも言いましょうか。主人公七郎やキャバ狂い!?の津田の行動に身に覚えがある男性諸氏も居るのではないでしょうか。 ・・・ 本作『パラレル』、タイトルの意味は何でしょうか? 作品では『パラで付き合う』という表現がありました。複数の相手とへらへらと付き合うことを『パラで付き合う』と表現しており、それなのかなあ。 時間軸が「大学時代」「ちょっと前」「現在」と三つに飛び飛びに展開しましたが、それはジャンプであってパラレルでもないしなあ、と独りごち。 2004年という、だいぶ前の作品ですが、かなり典型的な男性目線の作品であり、今の今新刊では出せなさそうな作風です。潔癖というか完全な倫理観をお持ちの方は読まない方がよさそうな作品。 ・・・ 解説によると、文芸誌では家族ものとして評価された一方、解説のゲーム作家さんが書くように『単行本発売記念の呑み会で、同席したすべての男性が「これ、オレなんだよー」と思っているようだった』とあります。つまり、多くの男性にとって親和性のある事柄が投影されていたとも言えます。 友人津田のキャバ嬢狂い、妙ちきりんな倫理観(結婚式のスピーチで『結婚とは文化であります』とうそぶきつつ、複数女性とお付き合い)、主人公七郎とキャバ嬢との友人関係、奥様の浮気と離婚の様子、はたまた津田の会社の破産など。 確かに30代という精力的な年代、お金もそもそこ自由になる世代(20代とか新卒当初と比較して)、こうして向こう見ずな生活の一端は私にもあった気がします。内向的な社会人生活を送っている私ですらそうでしたので、付き合いと称する呑み会が多そうな営業現場一筋とかの人は大いに膝を叩きそう。 ・・・ 文章はややくせのある会話調が多く、かぎかっこで会話を描くも『』の後にもぽつぽつと会話が続くのが特徴的。だから、さらさらとは読めず、注意しつつ二度読みすることがしばしばありました。 しかし、とっかかり・リードの発話と、それ以降のごにょごにょ(重要性低め)をこうした『』内外で分別しているのか、とも思いました。 これは何というか癖になる心地よさがあります。 ・・・ ということで長嶋有さんの作品、初めてでした。 もともと15年くらい前のBRUTUSで『読むべき現代の作家』みたいなチャラ目な特集だったのですが、特集ページだけ10ページくらいコピーして実家においてあって、近年ちょろちょろ購入し始めたというものでした。 時代の一端を切り取っているといえば、確かにそうかもしれないと感じた一作です。 | ||||
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あくまでも僕自身の感想ですが、長嶋有の諸作品の中ではあまり評価の高くない作品。 最後のエピソードが出来過ぎというか、彼に求めているのはウェルメイドやハッピーエンドじゃないんですよ。新刊即購買というわけにはいきませんが、本屋さんに寄ればこれ読んでいなかったけなあ、という具合にいつの間にやら手にしている日本の現代作家なんですから、おのずと高い期待値が付与されているんです。 『パラレル』と表題にあるように、本書はいくつものパラグラフが時系列に関係なく余白と共に並べられています。もちろん本書は一つの作品で、実験とか前衛にはおそらく接点のない?長嶋有にしては比較的長めの中篇、長らく友人関係にある30代の男二人、ぼく(=七郎、バツイチ)と津田(社長、女の出入りが激しい独り者)、そして女たちの日常が、最初のページから終わりまで、グダグダとそれでいてひょうひょうとした作者特有のキャラクター形成、および語り口ははいつもながらうまいと思うし、ところどころにハッとするようなセリフもちりばめられているのだけれど、読み終えた後のいつまでも余韻を引きずるようなひょうびょうとした風景(これを噛みしめたいがために僕は彼の作品を求めるのです)が本書では断ち切られしまったんです。 | ||||
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