たそがれ清兵衛
評判
たそがれ清兵衛の評価:
4.42/5点 レビュー 62件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全62件 61〜62 4/4ページ
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たそがれ清兵衛の評価:
4.42/5点 レビュー 62件。 A ランク
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ています。いま映画館でこの「たそがれ清兵衛」が上映されています。某 ワイドショ
ーによると、観客はこの映画に「サラリーマンの悲哀」を見出し、涙を流すとか。でも
映画と小説は全然違います。
「たそがれ清兵衛」では、人間愛(夫婦愛)が描かれているんですが、それと完全並立
するかたちで、武士社会の論理も描かれています。
病気の妻に優しい主人公。しかし「上意」(主君の命令)により何のためらいもなく、
人を殺す。
いやためらいはある。けれども、それは殺害の日には帰りが遅くなるので、妻の介護
に差し支えはしないかという心配なんです。
また、その後日、殺した相手の護衛が主人公を殺そうとするのですが、この時も、主
人公は実にあっさりとその人物を殺している。何のためらいも、葛藤もなく。そして平
然とその場を立ち去り、妻の元に急いで帰ってゆく。
江戸時代の武士は主君に絶対服従なんですね。無条件の服従が要求される。このよう
なありかたは「封建制」とは違うという見解がある(石尾芳久、吉本隆明)。
厳密な意味での「封建制」においては、主従の上下関係は絶対的なものではなくて、
give and take, 「ご恩」と「奉公」という相互性の関係がある、という。西欧と日本の
中世にはこの「封建制」があった。しかし、江戸時代の日本では「封建制」は崩れてお
り、それにかわって「アジア的専制」があったのだ……という見解がある。
この見解に依拠して、やや「ゴーマンかまして」みますと、藤沢周平の小説「たそが
れ清兵衛」は、夫婦愛と「アジア的専制」とのコントラスト、それらのあっけらかんと
した両立可能性がテーマになった小説だということになる。映画と違って、サラーリマ
ンが自己投影でき、「団塊の世代」がむせび泣くような、やわな小説では毛頭ありませ
ん。