秘密

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秘密の評価:

4.07/5点 レビュー 657件。 S ランク

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平均点4.07pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全971件 101〜120 6/49ページ
No.871
(5pt)

主人公に感情移入してたら結末が辛すぎた。

感の鋭い人なら途中でわかると思いますが、、

直子が妻であり娘である呪縛から平介と直子がお互い疎遠になりかけていた中、平介は直子を藻奈美として見る決意をする。それをきっかけに次の日から次第に藻奈美の意識が戻るようになり直子の意識が戻る数が減っていく。最期はかつてデートでいっていた場所で直子の意識は永遠に戻ることがなくなった。
という感じで、とうとう直子と別れてしまうのかと、家族三人の生活は終わるのかと、そう思っていた。
しかし結末はそんな甘いものではなかった。(僕にとっては既に甘くない)
物語後半、最後の数ページになってからそれが直子による演技だという事実を知らされたとき、直子の秘密を一人で抱えようとする平介への優しさや、最愛の直子が別の人の所へ行ってしまう悲しさ、そして、それを誰にも話さず自分の中で押し止めなければいけない状況に色々な感情が絡まって収集着かなくなった。
あのまま事実を平介が知らないでいれば直子と決別できて前向きに過ごせただろうにと思うと結末の平介のシーンはすごく悲しい気持ちにされる。最後に直子が平介との指輪を原料に指輪を作ったのが唯一の救いだろうか…
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.870
(5pt)

主人公に感情移入してたら結末が辛すぎた。

感の鋭い人なら途中でわかると思いますが、、

直子が妻であり娘である呪縛から平介と直子がお互い疎遠になりかけていた中、平介は直子を藻奈美として見る決意をする。それをきっかけに次の日から次第に藻奈美の意識が戻るようになり直子の意識が戻る数が減っていく。最期はかつてデートでいっていた場所で直子の意識は永遠に戻ることがなくなった。
という感じで、とうとう直子と別れてしまうのかと、家族三人の生活は終わるのかと、そう思っていた。
しかし結末はそんな甘いものではなかった。(僕にとっては既に甘くない)
物語後半、最後の数ページになってからそれが直子による演技だという事実を知らされたとき、直子の秘密を一人で抱えようとする平介への優しさや、最愛の直子が別の人の所へ行ってしまう悲しさ、そして、それを誰にも話さず自分の中で押し止めなければいけない状況に色々な感情が絡まって収集着かなくなった。
あのまま事実を平介が知らないでいれば直子と決別できて前向きに過ごせただろうにと思うと結末の平介のシーンはすごく悲しい気持ちにされる。最後に直子が平介との指輪を原料に指輪を作ったのが唯一の救いだろうか…
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208
No.869
(4pt)

特に終盤はヤバ過ぎ

【ネタバレ含みます】
最後はマジで涙が止まらなかった。
アマゾンでは100冊近く本を買っているが、殆どが実用書か純文学モノ。申し訳ないが東野圭吾は初めて買ったし、初めて読んだ。「秘密」というタイトルに何か只ならぬ気配を感じたからだった。
読む前に調べたら東野の出世作だというではないか。本人も「この作品で初めて世間に作家として認められた」と認めている。
「ほほう、これほどの大御所作家の出世作とは、どんな話なんだろう」と思いつつ、敢えて粗筋などは読まず、先入観を一切持たずに読むことにしたのだが…

まず「死んだはずの妻が娘の身体に宿って生き続ける」という設定からして、そりゃ無理があり過ぎだろうと、正直苦笑しながら読んだ。じゃあなぜ読んだかと言うと、単に本代がもったいないからだった(恥)。他にもツッコミどころ満載だなと前半は多少馬鹿にしながら読んでいた。
(中略)
結局主人公の平介は妻も娘も「両方失う」という事実に愕然として崩れ落ちる… それがラストシーンだが、読み終わった本を持ったまま私は数分間固まってしまった。何だかんだ言いながら最後はハッピーエンドに落ち着くのか?と、つい10ページ前までは思っていただけに、その最後はあまりに切なかった。
ちょっと待てよ、そう言えば…と、最後の数十ページを丁寧に読み返してみた。すると、軽く読み進めていた部分にいろんな「伏線」が緻密にちりばめられていることにやっと気が付いた(特に第37節以降は1行たりともおろそかにできない)。「やられた~」。
読み返しながら、平介が「ここにいるのは妻ではなく娘だ」と思って生きていくことを決めた夜に直子(モナミ)が自室にこもって長い時間泣き続けた場面:ここで直子は「ラスト」に繋がる重大な決意を、涙の中でしていたんだ!と思うと、読んでいてツライ。結末を知ってから読むと「山下公園」以降はもう涙なしでは読めなかった。

そっか、心と身体が入れ替わるという仮定に現実味がなかったり、細かい点で不自然なところがあったり(例えばモナミの中身が直子になったことは真っ先に担任の先生に相談すべきだろうとか)、モナミと文也を結婚させたのはずいぶんな荒業だなとか、そんなことは実はどうでも良いのだ。
現実にはあり得ない設定を借りて、「夫婦とは何か、親子とは、家族とは、愛するとは…」という問いかけをしているのだ(答えは各自考えなさいと)。
多くの方が書いているように、読後は非常にモヤモヤした気持ちが残った。が、それは決して「悪くない」モヤモヤだった。

出した当時には、これはある意味実験的な作品で、商業的にはリスクもあったと思う。が、それが出世作になったのにはそれ相当の理由があったんだと知った。
後味が悪いとか後味が良いとかではない、後味の「濃い」小説を読みたい方にはお薦めの一作である。
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.868
(4pt)

特に終盤はヤバ過ぎ

【ネタバレ含みます】
最後はマジで涙が止まらなかった。
アマゾンでは100冊近く本を買っているが、殆どが実用書か純文学モノ。申し訳ないが東野圭吾は初めて買ったし、初めて読んだ。「秘密」というタイトルに何か只ならぬ気配を感じたからだった。
読む前に調べたら東野の出世作だというではないか。本人も「この作品で初めて世間に作家として認められた」と認めている。
「ほほう、これほどの大御所作家の出世作とは、どんな話なんだろう」と思いつつ、敢えて粗筋などは読まず、先入観を一切持たずに読むことにしたのだが…

まず「死んだはずの妻が娘の身体に宿って生き続ける」という設定からして、そりゃ無理があり過ぎだろうと、正直苦笑しながら読んだ。じゃあなぜ読んだかと言うと、単に本代がもったいないからだった(恥)。他にもツッコミどころ満載だなと前半は多少馬鹿にしながら読んでいた。
(中略)
結局主人公の平介は妻も娘も「両方失う」という事実に愕然として崩れ落ちる… それがラストシーンだが、読み終わった本を持ったまま私は数分間固まってしまった。何だかんだ言いながら最後はハッピーエンドに落ち着くのか?と、つい10ページ前までは思っていただけに、その最後はあまりに切なかった。
ちょっと待てよ、そう言えば…と、最後の数十ページを丁寧に読み返してみた。すると、軽く読み進めていた部分にいろんな「伏線」が緻密にちりばめられていることにやっと気が付いた(特に第37節以降は1行たりともおろそかにできない)。「やられた~」。
読み返しながら、平介が「ここにいるのは妻ではなく娘だ」と思って生きていくことを決めた夜に直子(モナミ)が自室にこもって長い時間泣き続けた場面:ここで直子は「ラスト」に繋がる重大な決意を、涙の中でしていたんだ!と思うと、読んでいてツライ。結末を知ってから読むと「山下公園」以降はもう涙なしでは読めなかった。

そっか、心と身体が入れ替わるという仮定に現実味がなかったり、細かい点で不自然なところがあったり(例えばモナミの中身が直子になったことは真っ先に担任の先生に相談すべきだろうとか)、モナミと文也を結婚させたのはずいぶんな荒業だなとか、そんなことは実はどうでも良いのだ。
現実にはあり得ない設定を借りて、「夫婦とは何か、親子とは、家族とは、愛するとは…」という問いかけをしているのだ(答えは各自考えなさいと)。
多くの方が書いているように、読後は非常にモヤモヤした気持ちが残った。が、それは決して「悪くない」モヤモヤだった。

出した当時には、これはある意味実験的な作品で、商業的にはリスクもあったと思う。が、それが出世作になったのにはそれ相当の理由があったんだと知った。
後味が悪いとか後味が良いとかではない、後味の「濃い」小説を読みたい方にはお薦めの一作である。
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208
No.867
(4pt)

モヤモヤが残る

昔ドラマを見たきりで、結末は覚えていなかったため新しい気持ちで一気に読んだ。
私は夫と中学生の娘がおり直子と同じ立場なので平介よりも直子目線で読み進めた。
我が家に置き換えてみて共感してせつなくなったり、嫌悪感を抱いたりする場面もあった。
皆さんのレビューを読んでいると確かに男性、女性で受け取り方が大分違うなと感じた。
時代もあるのかもしれないが、娘(妻)が中学受験、高校受験、部活と忙しいのに、平介が直子に甘えてほぼ家事をしないことに腹が立った。さらに平介の嫉妬が行き過ぎで、そんな暇なら家のこと手伝え!とイラッとする場面もあった。
また妻として、娘として、2つの立場に挟まれ苦しみ、平介の圧に追い詰められていく直子の姿に息苦しくなった。
なので直子が消えるという決断でよかったのだと思う。
直子が消えるところは泣けたが、個人的には母親なので、夫との決別というよりも、娘との別れという意味で悲しくなった。

そして意外なラストには心が震えたが、秘密を知ってしまった平介の今後を思うとモヤモヤが残る。
平介は気持ちを切り替えて、再婚でもして完全に直子を解放してやってほしい。
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.866
(4pt)

モヤモヤが残る

昔ドラマを見たきりで、結末は覚えていなかったため新しい気持ちで一気に読んだ。
私は夫と中学生の娘がおり直子と同じ立場なので平介よりも直子目線で読み進めた。
我が家に置き換えてみて共感してせつなくなったり、嫌悪感を抱いたりする場面もあった。
皆さんのレビューを読んでいると確かに男性、女性で受け取り方が大分違うなと感じた。
時代もあるのかもしれないが、娘(妻)が中学受験、高校受験、部活と忙しいのに、平介が直子に甘えてほぼ家事をしないことに腹が立った。さらに平介の嫉妬が行き過ぎで、そんな暇なら家のこと手伝え!とイラッとする場面もあった。
また妻として、娘として、2つの立場に挟まれ苦しみ、平介の圧に追い詰められていく直子の姿に息苦しくなった。
なので直子が消えるという決断でよかったのだと思う。
直子が消えるところは泣けたが、個人的には母親なので、夫との決別というよりも、娘との別れという意味で悲しくなった。

そして意外なラストには心が震えたが、秘密を知ってしまった平介の今後を思うとモヤモヤが残る。
平介は気持ちを切り替えて、再婚でもして完全に直子を解放してやってほしい。
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208
No.865
(5pt)

悲しき秘密の物語

一気読みした直後にレビューを書きます。推敲してないので読みづらさについては何卒ご堪忍ください。

「深い」というのが物語中盤での印象。
そして読み終えた今、僕の口からは「深すぎる」という言葉しか出てこない。それはメッセージ性としてもそうだし、二人の、あるいは三人の愛情を形容した言葉でもある。

本作を語るうえで外せないのは、「誰もが秘密を抱えている」という人間の性である。主人公の平介をはじめ、妻、バスの運転手、その運転手の元妻など、様々な人間が現れては、秘密と現実のはざまで葛藤する。その葛藤こそが、今作最大の「見どころ」なのではないかと推測する。
とくに主人公の葛藤は、等身大で、ときに官能的な所作も交えて事細かに描写される。その心理の重厚さたるや、同作者の『手紙』にも負けず劣らずの徹底ぶりである。
「妻としての直子、娘としての藻奈美」という究極の二択に悩む姿は、もはや他人として見ることすらはばかられてしまうだろう。

「世界が違うんだよ」

この言葉の裏には、たった8文字には収めれないほどの、苦い経験とジレンマがあるのだ。

ミステリーとしても読みごたえがある。「なぜ運転手の金が消えたのか?」「本当に運転手は薄情な男だったのか?」という疑問は、愛憎入り乱れるストーリーの中で紐解かれていく。このあたりは、東野圭吾の得意技といったところか。

そして最後に思いがけず提示される最後の謎。
「本当に直子はいなくなってしまったのか?」
どちらともとれるから面白い。
そしてどちらをとっても、あまりにも切なすぎる。
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.864
(5pt)

悲しき秘密の物語

一気読みした直後にレビューを書きます。推敲してないので読みづらさについては何卒ご堪忍ください。

「深い」というのが物語中盤での印象。
そして読み終えた今、僕の口からは「深すぎる」という言葉しか出てこない。それはメッセージ性としてもそうだし、二人の、あるいは三人の愛情を形容した言葉でもある。

本作を語るうえで外せないのは、「誰もが秘密を抱えている」という人間の性である。主人公の平介をはじめ、妻、バスの運転手、その運転手の元妻など、様々な人間が現れては、秘密と現実のはざまで葛藤する。その葛藤こそが、今作最大の「見どころ」なのではないかと推測する。
とくに主人公の葛藤は、等身大で、ときに官能的な所作も交えて事細かに描写される。その心理の重厚さたるや、同作者の『手紙』にも負けず劣らずの徹底ぶりである。
「妻としての直子、娘としての藻奈美」という究極の二択に悩む姿は、もはや他人として見ることすらはばかられてしまうだろう。

「世界が違うんだよ」

この言葉の裏には、たった8文字には収めれないほどの、苦い経験とジレンマがあるのだ。

ミステリーとしても読みごたえがある。「なぜ運転手の金が消えたのか?」「本当に運転手は薄情な男だったのか?」という疑問は、愛憎入り乱れるストーリーの中で紐解かれていく。このあたりは、東野圭吾の得意技といったところか。

そして最後に思いがけず提示される最後の謎。
「本当に直子はいなくなってしまったのか?」
どちらともとれるから面白い。
そしてどちらをとっても、あまりにも切なすぎる。
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208
No.863
(5pt)

傑作の傑作たる理由

東野圭吾氏の初期の代表作であるが、当方、海外生活のために1990~2010年の日本が完全なブラックボックスになっていて、本作もようやく読む機会を得た。
   2019年5月6日現在、530件目のレビューなので、このレビューも、おそらく埋もれるだけかもしれないが、レビューを書いている理由は、一つは単純に予想を遥かに超えた傑作だったためで、読み終わって既に2日も過ぎているのに、未だに最後の場面が頭から離れない。そして、もう一つは、他の方が書いていないことがあったためで、本作が傑作であるのは、既に書かれていることに加えて、下記の理由が大きいと自分は考えている。
   1つは平介の妻、直子の、清廉、聡明な魅力である。最後の彼女の選択について、さまざまな意見が寄せられていて、それは各読者にゆだねられるのだが、いずれにせよ、そこまで読者を揺さぶるのは、彼女の、夫や娘に対する愛情が強く共感を呼ぶからだと思う。もし彼女が魅力的で無ければ、彼女の選択について、それほど多くの議論を呼ぶことも無かっただろう。読者が女性か男性かで印象も変わると思うが、私は直子がとても魅力的に描かれていたから、最後の平介の気持ちに素直に共感でき、涙を流すほど、心を揺さぶられた。
   2つめは、本作では、ファンタジーの体裁を取ったミステリーストーリーによって、父と娘、夫と妻の関係という、実はどこにでもある家族の問題を、上手に描いていることである。例えば、娘の体に宿った妻が、高校生として生き生きと生活する様を、ジェラシーの混じった感情で心配するのは、実は全ての父親が娘に対して持つ感情に他ならないし、たとえ若返りが契機になったとは言え、妻が新たな人生の目的に向けて努力したり、新しい人間関係を結んでいく事に、上手に対応できずに苦悩する夫の感情は、世間一般にあり得る話である(少なくとも、私にはある)。夫婦関係が持続するか否かは、結局は夫婦がお互いの人生にどのように立ち向かって行くかによると思うが、それを本作は物語の中で非常に上手に描いている。ただし、一般と違うのは、ここでは夫が妻をどんなに真に思いやっても、最後には添い遂げる事がかなわないという切ない結果だが、それでも、妻を幸せにすることはできるし、何より、それによって自分も未来に進むことができる。確かに、ここに描かれるのは全員笑顔の単純なハッピーエンドではないが、そんな絵空事は、作り物であっても真実ではない。本当に好きな人を思いやることだけが、本当の幸福に導いてくれるという「作りばなし」に宿る本物の真実、これを描いているからこそ、読者は本作品に没頭し、深い余韻を得ることができるのだと思う。
   いずれにせよ、傑作は読者にそれぞれの解釈を許してくれる作品なので、捉え方はいろいろで良い。ただ、一つだけ、直子の選択は、平介をずっと不幸にするとの見方があったが、それは私は賛成できない。なぜなら、彼女の最後の選択以前に、平介は、直子を藻奈美として扱うという選択を、彼自身で既にしているから(初めて、家で彼女を「藻奈美」と呼んだ時)。もし、直子の最後の選択がなければ、平介はおそらくもっと苦しい思いをしたし、それがゆえの直美の選択だったはずだ。だから、彼が最後に泣いたのは、喪失の悲しさもあるとは思うが、それよりも、彼女の思いやりに対しての感謝ゆえと自分は考えている。直子の彼に対する変わらぬ愛情は、指輪のエピソードが強く示していて(そうでなければ、何故、このような危険で不必要な行為をする必要がある?)、それが、最後の余韻を一層強めている。
本作に出会えたことは、望外の幸せであった。文句なしの5点である。
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.862
(5pt)

傑作の傑作たる理由

東野圭吾氏の初期の代表作であるが、当方、海外生活のために1990~2010年の日本が完全なブラックボックスになっていて、本作もようやく読む機会を得た。
   2019年5月6日現在、530件目のレビューなので、このレビューも、おそらく埋もれるだけかもしれないが、レビューを書いている理由は、一つは単純に予想を遥かに超えた傑作だったためで、読み終わって既に2日も過ぎているのに、未だに最後の場面が頭から離れない。そして、もう一つは、他の方が書いていないことがあったためで、本作が傑作であるのは、既に書かれていることに加えて、下記の理由が大きいと自分は考えている。
   1つは平介の妻、直子の、清廉、聡明な魅力である。最後の彼女の選択について、さまざまな意見が寄せられていて、それは各読者にゆだねられるのだが、いずれにせよ、そこまで読者を揺さぶるのは、彼女の、夫や娘に対する愛情が強く共感を呼ぶからだと思う。もし彼女が魅力的で無ければ、彼女の選択について、それほど多くの議論を呼ぶことも無かっただろう。読者が女性か男性かで印象も変わると思うが、私は直子がとても魅力的に描かれていたから、最後の平介の気持ちに素直に共感でき、涙を流すほど、心を揺さぶられた。
   2つめは、本作では、ファンタジーの体裁を取ったミステリーストーリーによって、父と娘、夫と妻の関係という、実はどこにでもある家族の問題を、上手に描いていることである。例えば、娘の体に宿った妻が、高校生として生き生きと生活する様を、ジェラシーの混じった感情で心配するのは、実は全ての父親が娘に対して持つ感情に他ならないし、たとえ若返りが契機になったとは言え、妻が新たな人生の目的に向けて努力したり、新しい人間関係を結んでいく事に、上手に対応できずに苦悩する夫の感情は、世間一般にあり得る話である(少なくとも、私にはある)。夫婦関係が持続するか否かは、結局は夫婦がお互いの人生にどのように立ち向かって行くかによると思うが、それを本作は物語の中で非常に上手に描いている。ただし、一般と違うのは、ここでは夫が妻をどんなに真に思いやっても、最後には添い遂げる事がかなわないという切ない結果だが、それでも、妻を幸せにすることはできるし、何より、それによって自分も未来に進むことができる。確かに、ここに描かれるのは全員笑顔の単純なハッピーエンドではないが、そんな絵空事は、作り物であっても真実ではない。本当に好きな人を思いやることだけが、本当の幸福に導いてくれるという「作りばなし」に宿る本物の真実、これを描いているからこそ、読者は本作品に没頭し、深い余韻を得ることができるのだと思う。
   いずれにせよ、傑作は読者にそれぞれの解釈を許してくれる作品なので、捉え方はいろいろで良い。ただ、一つだけ、直子の選択は、平介をずっと不幸にするとの見方があったが、それは私は賛成できない。なぜなら、彼女の最後の選択以前に、平介は、直子を藻奈美として扱うという選択を、彼自身で既にしているから(初めて、家で彼女を「藻奈美」と呼んだ時)。もし、直子の最後の選択がなければ、平介はおそらくもっと苦しい思いをしたし、それがゆえの直美の選択だったはずだ。だから、彼が最後に泣いたのは、喪失の悲しさもあるとは思うが、それよりも、彼女の思いやりに対しての感謝ゆえと自分は考えている。直子の彼に対する変わらぬ愛情は、指輪のエピソードが強く示していて(そうでなければ、何故、このような危険で不必要な行為をする必要がある?)、それが、最後の余韻を一層強めている。
本作に出会えたことは、望外の幸せであった。文句なしの5点である。
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208
No.861
(5pt)

傑作の傑作たるゆえん

東野圭吾氏の言わずもがなの代表作であるが、当方、海外生活のために1990~2010年の日本が完全なブラックボックスになっていて、本作もようやく読む機会を得た。
2019年5月6日現在、529件のレビューがあるので、新たにレビューを書いても、おそらくは埋もれるだけかと思われるが、何故にレビューを書いているかというと、一つは単純に前評判からの予想をさらに凌いでくれた傑作だったためで、読み終わって既に2日も過ぎているのに、未だに最後の場面が頭から離れない。そして、もう一つは、他のレビューワーが書いていない印象を得たためで、本作が傑作であるのは、他の方が既に書かれていることに加え、下記の理由が大きいと自分は考えている。
1つは平介の妻の直子の、清廉、聡明な魅力。最後の彼女の選択について、さまざまな意見は各読者にゆだねられるところだが、いずれにしても、そこまで読者を揺さぶるのは、彼女の夫や娘に対する愛情が、強く共感を呼ぶからだ。もし彼女に惹かれるところが無ければ、彼女の選択について、それほど多くの議論を呼ぶことも無かったであろう。読者が女性か男性かで印象も変わると思うが、私は直子が魅力的だったからこそ、最後の平介の気持ちに素直に共感でき、涙を流すほど、心を揺さぶられた。
もう一つ、あまり他のレビューで書かれていないのは、本作では、ファンタジーの体裁を取ったミステリーストーリーによって、父と娘、夫と妻の関係という、実はどこにでもあり得る家族の問題を、上手に語っていることである。例えば、娘の体に宿った妻が、高校生として生き生きと生活する様を、ジェラシーの混じった感情で心配するのは、実は全ての父親が持つ感情に他ならないし、たとえ若返りが契機になったとは言え、妻が新たに人生の目的を得て努力したり、新しい人間関係を結んでいく事に、上手に対応できずに苦悩する夫の感情は、世間一般にあり得る話である(少なくとも、私にはある)。夫婦関係が持続するか否かは、結局は夫婦がお互いの人生にどのように立ち向かって行くかによると思うが、それを本作は物語の中で非常に上手に描いている。ただし、一般と違うのは、ここでは夫が妻をどんなに真に思いやっても、最後には添い遂げる事がかなわないという切ない最後だが、それでも、妻を幸せにすることはできるし、何より、それによって自分も未来に進むことができる。そう、確かに、ここに描かれるのは全員笑顔の単純なハッピーエンドではないかもしれないが、そんなものは、しょせん本物ではない。本当に好きな人を思いやることだけが、本当の幸福に導いてくれる。「作り話し」に宿る本物の真実、これがあるからこそ、読者は本作品に没頭し、深い余韻を得ることができるのだと思う。
いずれにせよ、傑作は読者にそれぞれの解釈を許してくれる作品であるので、捉え方はいろいろと思う。ただ、一つだけ、ある評での、直子の選択では平介はずっと不幸になるとの見方に、私は賛成できない。なぜなら、彼女が、最後の選択を取る以前に、平介は直子を藻奈美として扱うという「彼の選択」を既にしているから(初めて、家で彼女を「藻奈美」と呼んだ時)。もし、直子があのような選択をしなかったら、平介はおそらくもっと苦しい思いをしただろうし、それゆえの選択だった。だから、彼が最後に泣いたのは、喪失の悲しさも、もちろんあるかもしれないが、それよりも、彼女の思いやりある選択に対しての感謝ゆえと自分は考えている。直子の彼に対する変わらぬ愛情は、指輪のエピソードが強く示していて(そうでなければ、何故、このような危険で不必要な行為をする必要がある?)、それが、最後の余韻を一層強めている。
本作に出会えたことは、望外の幸せであった。文句なしの5点である。
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.860
(5pt)

傑作の傑作たるゆえん

東野圭吾氏の言わずもがなの代表作であるが、当方、海外生活のために1990~2010年の日本が完全なブラックボックスになっていて、本作もようやく読む機会を得た。
2019年5月6日現在、529件のレビューがあるので、新たにレビューを書いても、おそらくは埋もれるだけかと思われるが、何故にレビューを書いているかというと、一つは単純に前評判からの予想をさらに凌いでくれた傑作だったためで、読み終わって既に2日も過ぎているのに、未だに最後の場面が頭から離れない。そして、もう一つは、他のレビューワーが書いていない印象を得たためで、本作が傑作であるのは、他の方が既に書かれていることに加え、下記の理由が大きいと自分は考えている。
1つは平介の妻の直子の、清廉、聡明な魅力。最後の彼女の選択について、さまざまな意見は各読者にゆだねられるところだが、いずれにしても、そこまで読者を揺さぶるのは、彼女の夫や娘に対する愛情が、強く共感を呼ぶからだ。もし彼女に惹かれるところが無ければ、彼女の選択について、それほど多くの議論を呼ぶことも無かったであろう。読者が女性か男性かで印象も変わると思うが、私は直子が魅力的だったからこそ、最後の平介の気持ちに素直に共感でき、涙を流すほど、心を揺さぶられた。
もう一つ、あまり他のレビューで書かれていないのは、本作では、ファンタジーの体裁を取ったミステリーストーリーによって、父と娘、夫と妻の関係という、実はどこにでもあり得る家族の問題を、上手に語っていることである。例えば、娘の体に宿った妻が、高校生として生き生きと生活する様を、ジェラシーの混じった感情で心配するのは、実は全ての父親が持つ感情に他ならないし、たとえ若返りが契機になったとは言え、妻が新たに人生の目的を得て努力したり、新しい人間関係を結んでいく事に、上手に対応できずに苦悩する夫の感情は、世間一般にあり得る話である(少なくとも、私にはある)。夫婦関係が持続するか否かは、結局は夫婦がお互いの人生にどのように立ち向かって行くかによると思うが、それを本作は物語の中で非常に上手に描いている。ただし、一般と違うのは、ここでは夫が妻をどんなに真に思いやっても、最後には添い遂げる事がかなわないという切ない最後だが、それでも、妻を幸せにすることはできるし、何より、それによって自分も未来に進むことができる。そう、確かに、ここに描かれるのは全員笑顔の単純なハッピーエンドではないかもしれないが、そんなものは、しょせん本物ではない。本当に好きな人を思いやることだけが、本当の幸福に導いてくれる。「作り話し」に宿る本物の真実、これがあるからこそ、読者は本作品に没頭し、深い余韻を得ることができるのだと思う。
いずれにせよ、傑作は読者にそれぞれの解釈を許してくれる作品であるので、捉え方はいろいろと思う。ただ、一つだけ、ある評での、直子の選択では平介はずっと不幸になるとの見方に、私は賛成できない。なぜなら、彼女が、最後の選択を取る以前に、平介は直子を藻奈美として扱うという「彼の選択」を既にしているから(初めて、家で彼女を「藻奈美」と呼んだ時)。もし、直子があのような選択をしなかったら、平介はおそらくもっと苦しい思いをしただろうし、それゆえの選択だった。だから、彼が最後に泣いたのは、喪失の悲しさも、もちろんあるかもしれないが、それよりも、彼女の思いやりある選択に対しての感謝ゆえと自分は考えている。直子の彼に対する変わらぬ愛情は、指輪のエピソードが強く示していて(そうでなければ、何故、このような危険で不必要な行為をする必要がある?)、それが、最後の余韻を一層強めている。
本作に出会えたことは、望外の幸せであった。文句なしの5点である。
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208
No.859
(4pt)

色んな意味で凄まじい

(多少ネタバレ?)当方、結婚して娘・息子がおります。
それほど難しくもない文体で非常に読みやすく、なのに目の前に情景が浮かび、登場人物それぞれに感情移入できるのは、さすが東野圭吾!という感じでした。僕の性格的なこともあるのかもしれませんが、主人公のとる行動・感情に多々共感できるところあり、山下公園のところまでは涙して読んでおりました。
最後の”秘密”の部分までは・・・
読了後は、主人公のこの先の独りの人生を考えると、非常にきついものがありました。知らせられなければよかったのになー、と。
個人的な話なのですが、新海誠の”秒速5cm”を観た後にこれを読んだのですが・・・Wで何かしばらく立ち直れそうにありません。いやはや、凄まじい
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.858
(4pt)

色んな意味で凄まじい

(多少ネタバレ?)当方、結婚して娘・息子がおります。
それほど難しくもない文体で非常に読みやすく、なのに目の前に情景が浮かび、登場人物それぞれに感情移入できるのは、さすが東野圭吾!という感じでした。僕の性格的なこともあるのかもしれませんが、主人公のとる行動・感情に多々共感できるところあり、山下公園のところまでは涙して読んでおりました。
最後の”秘密”の部分までは・・・
読了後は、主人公のこの先の独りの人生を考えると、非常にきついものがありました。知らせられなければよかったのになー、と。
個人的な話なのですが、新海誠の”秒速5cm”を観た後にこれを読んだのですが・・・Wで何かしばらく立ち直れそうにありません。いやはや、凄まじい
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208
No.857
(5pt)

娘と妻との間に

娘がいる人は読んじゃダメー(泣)
でも心動かされたい人にはオススメ!
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.856
(5pt)

娘と妻との間に

娘がいる人は読んじゃダメー(泣)
でも心動かされたい人にはオススメ!
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208
No.855
(4pt)

東野圭吾氏で一番

東野圭吾氏の作品は色々読みましたが、この作品が一番気に入っています。読み進めるほど感情が高まっていき、最後まで夢中にさせてくれます。東野氏の代表作だと思います。
娘でもあり、妻でもある複雑な彼女と父であり、夫である男の日常生活を、分かりやすく素直に表現できています。その男から独立を目指す彼女と成長していく彼女を妬む男の心情が、うまく書かれています。
ドラマ化、映画化されてDVDも出ていますので、観る予定でいます。
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.854
(4pt)

東野圭吾氏で一番

東野圭吾氏の作品は色々読みましたが、この作品が一番気に入っています。読み進めるほど感情が高まっていき、最後まで夢中にさせてくれます。東野氏の代表作だと思います。
娘でもあり、妻でもある複雑な彼女と父であり、夫である男の日常生活を、分かりやすく素直に表現できています。その男から独立を目指す彼女と成長していく彼女を妬む男の心情が、うまく書かれています。
ドラマ化、映画化されてDVDも出ていますので、観る予定でいます。
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208
No.853
(5pt)

こんな傑作と出会うために,読書をしている。

小説を最大限に楽しむ方法は
何の情報も得ず、ジャンルすら
分からない状態で読んだ方が
良いと私は思う。

読了後の今は,疲弊しきっていて
ハンバーガーのハンバーグになった気分。
とても良い作品だが
しばらくこういう類の作品は控えたい。
秘密 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秘密 (文春文庫)より
4167110067
No.852
(5pt)

こんな傑作と出会うために,読書をしている。

小説を最大限に楽しむ方法は
何の情報も得ず、ジャンルすら
分からない状態で読んだ方が
良いと私は思う。

読了後の今は,疲弊しきっていて
ハンバーガーのハンバーグになった気分。
とても良い作品だが
しばらくこういう類の作品は控えたい。
秘密 Amazon書評・レビュー: 秘密より
4163179208