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聖ウラジーミルの十字架



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【この小説が収録されている参考書籍】
聖ウラジーミルの十字架 (新潮文庫)

聖ウラジーミルの十字架の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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No.1:
(7pt)

聖ウラジーミルの十字架の感想

歴史ミステリー+アクションの王道というと、インディ―ジョーンズのような冒険家が主人公になりがちですが、本書ではそれが、くたびれた元反体制活動家で、今はただの飲んだくれという設定です。それが、失われたロシアの十字架をめぐって陰謀に巻き込まれていくとなると、冒険家となって宝物をめぐって敵と戦い・・・という風に単純に行きそうなのですが、そういうわけでもないのです。
単純なトレジャーハンター物を期待して購入しましたが、良い意味で裏切られました。

著者が書こうとした意図が半ばで解ると、ずいぶんと奇妙に見えたそれぞれ人物の設定は、どれも深く設計された完成度の高い作品だったことが分かります。
登場人物の設定は、それぞれ「ある国のある集団」のわかりやすい隠喩となっており、物語は国際情勢とその歴史を人間の生い立ちで隠喩しながら進行します。
シリアスな設定の「ヘタリア」みたいなものです。話を面白くようとして設定を少しでも変更すると全部が壊れてしまうといえるほど、ガラス細工のような精密さで書かれています。
しかもアクションや手に汗握る緊迫のシーンもそれなりに用意され、サービス満点です。

ウクライナとロシアの関係を知っているともっと面白いと思いますが、知らなくても楽しむには問題ありません。

ニュースを通してみるウクライナとロシアは、力で圧倒する貪欲な強者ロシアと圧倒されるウクライナという図式が強調されてしまいます。
本書の中では、昔堅気で民族の誇りを取り戻そうとするウクライナ人の夫と、未練を捨て切れず復縁したいロシア人妻になぞらえており、民族の感情としては領土拡大欲などという一言では説明のつかぬご当地の事情がよくわかります。


absinthe
BZLMTCHK

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