(短編集)
おすず
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江戸の町の日常が濃やかな息づかいで描写されている。例えば、この本の最終章「差しがね」から取り出してみよう。「小雨が降り出したとかで、肩先や袖口に手拭いを当てている。」「いえ、花どきで時刻(ころ)はよし、月はよしときて、待つ身も苦ではござんせんでした。」「秋葉山の火除け札がべたべたと張ってある板場」。そして、心憎いばかりの描写力、青梅のことを「和毛(にこげ)に包まれた青い実」と表現する。漢字には私が括弧で示した振り仮名がふってあるのも作者の意思を感じる。また、芝居(歌舞伎)や吉原の周辺で働く人が主人公の信太郎を含めて大半だが、そのため、特殊な芝居用語が頻出する。それにもちゃんと振り仮名が付いている。例えば、「楽屋口番(くちばん)」「在来作(ありもの)」「成田屋(はちだいめ)」「広告(ひきふだ)」「木戸銭(あがり)」など、あげ出すときりがない。作者が落首の利用にも見られるように当時の膨大な史料を読み込んでこの作を成したことは、佐久間長敬『嘉永日記抄』という記載にも窺われる。だが、そうした労苦を見せない軽やかな筆致は優れた手腕である。 | ||||
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シリーズ第一作です。もともとは雑誌連載としてはじまっていたようです。このシリーズの始まりはどうも唐突です。こんな始まりがっていいのでしょうか。ある意味では男性にとっての理想でしょうか。でも始まりはdeceivingです。読者はこの始まりで困惑されてしまいますが、その後は驚きの展開でこのシリーズの特徴が明らかにされていきます。これは一周の捕り物帳です。ただひねりが入っています。というのは、主人公新太郎は捕り物の主人公ではなく、捕り物の任に当たる同心や岡っ引きに背後から知恵をさりげなく与える役回りなのです。テンポは緩いと思っているとあっという間に事件が展開して結末に向かっているというスタイルなのです。そしてあるエピソードは解決したかと思うとそれは次のエピソードの伏線になっており、次の話につながっていくのです。この流れを支えるのは濃密な人間関係です。吉原の茶屋と芝居小屋がこの人間関係の舞台となるのですが、このディテールの描写がこの作品の肝です。 | ||||
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連作短編集ですが、どのお話も筋道や構図がしっかりしています。連作の捕物帖は人情話の方は良くても肝心の捕物話がいまひとつのことが多いのですが、人情話も捕物話も充実の内容です。主人公の信太郎は河原崎座という芝居小屋で仕事をしているので、芝居の裏話が充実しています。一方、信太郎と恋人のおぬいとの恋愛模様にはあまり紙面を割いていないので、「御宿かわせみ」のようなラブロマンスには欠けていて全体的にはちょっと硬い感じはありますが、江戸後期の時代小説ファンを裏切らない内容だと思います。 | ||||
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主人公の信太郎は大店の跡取息子。なのに吉原の茶屋の子連れの若後家とわりない仲になって内証勘当の身の上。結果的に捨ててしまった許婚は盗賊に犯され自害してしまう… おすずとは自害した許婚の名前。自分を忘れてちゃんと嫁入りし幸せになってくれるものと思ってたのになぜ?…ということで、信太郎が真相究明に走ります。ここからはじまり。 大店の様子、町人の親子関係、長屋に住む幼馴染、吉原の風物など、江戸のあれこれが丁寧に詳細に描かれていて、時代小説読みによっては涎の出る作品です。おすずが最後に会った時に着ていた振袖の色は当世の流行り。角火鉢の猫板に酒の肴を乗せて晩酌。長屋のどぶ板が鳴る音、障子に映る陰… 文庫はまだ1冊ですが、シリーズは4作以上続いているので今後にも期待が大。これがシリーズ第一作です。 | ||||
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