指紋のない男
- 国際謀略小説 (47)
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一年以上寝かせていましたが、遂に読破しました。中国の文化や政治的な話が所々に出てくるので、難しいところもありましたが、序文からスリリングというか、ミステリアスというか、物語に引き込まれました。国籍もIDも持たない男の自由を求める逃避行。スケールが大きく、全体としてはダークな話なのに、なぜか読後まで貫かれる爽快感。裏社会を覗く好奇心。春源は、行く先々で心温かい人々に出会いますが、裏切られることも多く、誤解もあり、最期は踏んだり蹴ったりだなと感じました。出口さんが、なぜここまで春源を痛めつける設定にしたのか、どのようにしてこの物語は生まれたのか、個人的に気になります。出口さんらしく、エロティックな描写は少し多いかなぁ(笑)。 また少し寝かせて再読したら、違った目線で読めるかなと楽しみにしています。この作品を読んで、普段手に取ることのなかったミステリーのジャンルが開拓されました。自作も心待ちにしております。 | ||||
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愉しく読了させていただきました! 氏独特の微に入り細に渡る情景描写は私を一気に物語の中に引き込ませました。 そしてリズムよく展開して行くストーリーの中に盛り込まれたバイオレンス、エロティシズムにセンチメンタル。。そして厳しい現実、社会情勢。。。 それはあたかも少年時代の私に「大人」の世界を見せつけてくれた往年の角川映画を観るような心持ちでページをめくるのでありました。 世が世なら、角川配信で映画化決定!全国ロードショーとなり得る内容だと本気で思いました! 不幸な事故により大きなハンディキャップを背負って暮らしておられる出口氏だからこそ表し得る、作品のそこかしこに散りばめられた生きていく上での「自由」、そして「厳しさ」。単なるサスペンス小説読了後の満足度とはまたひと味もふた味も違う充足感の理由はそこにあるのではないかと思いました。 次回以降の作品も楽しみでなりません。 | ||||
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国家に翻弄され、顔を変え指紋を消し逃げる呉春源、追う工作員、バラバラにされた男、虐げられた人々、それぞれの運命に引き込まれました。しかし私には呉春源の純愛ストリートに思われました。 | ||||
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やっと臥龍さんの新刊が出ました! ページをめくればワクワクワク…気持ちに眼が追いついていけない、待って待って… 読了後またバッチリ書かせていただきます! 追記…読了しました…イッキ読み。 以下ネタバレ有りですので、未読の方は注意してください。 臥龍さんの著作を読めば、いつも映画館に来たような気持ちになる。それは今どきのシネコンなどでは絶対なく、私自身が青春時代を過ごした昭和の名画座、クーラーもロクに効かない、生暖かい匂いのただようような。 (最近は見かけなくなった)スクリーンの幕が引かれると、始まる臥龍の世界。映写機の機械音と薄鼠色から極彩色の物語が始まる。 物語を通して見える三つの色がある。 鮮やかな赤、それはほとばしる鮮血、女の肉、燃える夕映え。 漆黒とは言えぬ鈍色、それは地下室への階段、彼は誰時、男たちの服。 眩しい白、それは雪、女の肌、かつての主人公の心の色。 いや…汚されたように見えて、実は主人公の心は真っ白いままだったのかもしれない。 三つの色は形を変え次々と現れては消えていくが、主人公の乗るクルマの色。それが彼の心の色だったのだろうか。 もう一つ。物語を通して時おり現れる「早春賦」のメロディ、ヒロインが奏でる調べは私の涙腺を崩壊させた。懐かしい旋律は人の心を和らげる。「琴線に触れる」という言葉そのままなのだろう。 人の心には愛が必要で、愛を受けずに育った者が誰かを愛するのはとても難しいことなのだろう、と思う。貧しさの中で愛情を受けられずに育った男たち。親の愛でなくてもいい、抱き締めてくれる人がいたなら、安らぎを感じる場所があったなら、と思わずにはいられない。暗闇の中のひとすじの光にすがり、命をも捧げた恩人に引き金を引いた悲しみ。愛を求めてしまったが故に。 貧困こそは罪悪なのだと思うが、貧しいが故に愛情あふれる母子の姿も描かれた。 振り返ってみて、この日本は果たして豊かなのだろうか?通り魔、ネグレクト。昨今の残虐な事件を見ると、加害者だけが加害者なのではなく、加害者自身も被害者なのではないかと思う。彼らには愛を持って抱き締めてくれる人はいなかったのか?音楽は彼らの心に響かなかったのだろうか? 人生は長さで測れるものではないだろう。どんな道のりを歩んだとしても、今際の際に懐かしい旋律が聴こえていたとしたら、こんなに満ち足りることはないだろう。そんな最期を、自分も迎えたい、と思う。 偶然か意図したか。30年目の天安門事件を振り返る。 かつて手塚治虫は[奇子]の中で「これでやっと…私の戦後が…終わるのよ!」と叫んだが、[指紋のない男]登場人物たちの天安門事件は、終わりを告げたのだろうか。 (写真…カバーを外した中の装丁。文字の鈍色、栞紐が真紅なのもこだわりを感じる。) | ||||
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