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レビュー数161

全161件 21〜40 2/9ページ

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No.141
(8pt)

大絵画展の感想

著者の作品は初読み。アートミステリーとして読むと、個人的には原田マハ作品の方が好み。強奪計画の場面は迫力あるし、絵画を巡ってあらゆる人物の描かれ方が実に巧み。ただ終盤は登場人物や場面がころころ変わって、ややこしかった。
それでも、個性豊かな作品を多く出されているし、アートミステリーであれば他の作品も読んでみて原田作品と違った面白さを発見したい。
望月諒子:大絵画展 (光文社文庫)
望月諒子大絵画展 についてのレビュー
No.140
(8pt)

黒い絵の感想

正直なところ、著者の作品にエロティックなノワールは似合わないと思う。特に前半の4作ほどはそんなシーンはなくても…と思わせられたし、明るめのアートミステリーがしっくりくるのではないか。まぁ、ある意味こういう作品群もたまにはありかな、とも思わせる。
でも、後半3作「キアーラ」「オフィーリア」「向日葵奇譚」はそんな気持ちを取り払うような快作であった。(ややエロな部分はあったけど)
「キアーラ」のような修復師を取り上げた長編を読んでみたいし、「オフィーリア」のようなとある名作を下敷きにした作品は面白いのでまた創作してほしいし、「向日葵奇譚」のような作品も、長編で読んでみたい。
原田マハ:黒い絵
原田マハ黒い絵 についてのレビュー
No.139
(8pt)

逝きたいな ピンピンコロリで 明日以降の感想

シルバー川柳をテーマに、面白おかしくも身につまされるお話が7篇。明日は我が身なエピソードが笑いと涙で彩られる。どれも老後に間違いなく味わいそうなことばかりで、人ごととは決して思えない。でも約100歳のおばあちゃんが活躍する最後の「上にサバ」はなかなか感動的。

「これ読めば 老後の自分が 見えてくる」
お粗末っ!!m(_ _)m
三浦明博:逝きたいな ピンピンコロリで 明日以降
No.138
(7pt)

百鬼大乱の感想

大田道灌といえば、江戸築城で有名だが、応仁の乱を凌ぐ「享徳の乱」をはじめとする大乱に関わっていたことはあまり知られていない。(複雑すぎて取り上げにくいか?)そこに目をつけた著者が複雑混迷の大乱を、道灌を通じて大作を作り上げた。あまりの複雑混迷さでわかりにくいことこの上なく(一人の人間が2つも3つも名前を変える)エンタテインメント性に欠け、読了まで時間がかかってしまったが、こういった物語を完成させる、何かとこだわりをもつ著者の力量にはただただ脱帽。
歴史小説にも実績を作ってきた著者、次は誰を取り上げるか?
(最後に登場する人物が意味深)
真保裕一:百鬼大乱
真保裕一百鬼大乱 についてのレビュー
No.137
(8pt)

いまこそガーシュウィンの感想

クラシック音楽の中でも最も好きな「ラプソディー・イン・ブルー」がどのように関わってくるか。楽しみに読んだが、音楽と黒人差別問題、大統領暗殺計画をむりやりくっつけた感は否めない。でも、さすがに演奏シーンは珠玉。岬のキャラも際立って神格化の領域か。最後のシーンも七里さんならではの結び方で終わってみれば全てよし。
中山七里:いまこそガーシュウィン
中山七里いまこそガーシュウィン についてのレビュー
No.136
(8pt)

サロメの感想

いつもながら著者の史実とフィクションを織り交ぜたアートミステリーはお見事。オスカー・ワイルドとオーブリー、メイベルのビアズリー姉弟の愛憎劇は読み手をワクワクさせてくれる。実際これに近い史実があったのではと思うくらいリアリティがあり、彼らを取り巻く人たちとその時代が至るところから目に見えるように描かれている。
原田マハ:サロメ (文春文庫)
原田マハサロメ についてのレビュー
No.135
(8pt)

水葬の感想

惜しくも今年(2023年)亡くなった著者の作品を久しぶりに手に取った。限界集落を題材に生命とは?を考えさせてくれる良質のミステリー。
セリフの部分が多く、それによってストーリーを進めていくイメージが少し気になったが、徐々に真相がわかってくるにつれ、どこか現実に起きていても不思議はない気持ちにさせてくれたし、早く続きが読みたい!とわくわくさせてくれもした。事実。著者の作品はともすると(テーマ的に)地味な印象があるが、それはそれで著者の持ち味であると思う。
今後新作が読めないのは残念ではあるが、生命の重さを実感させてくれる作者に巡り合えたのは貴重な経験である。
鏑木蓮:水葬 (徳間文庫)
鏑木蓮水葬 についてのレビュー
No.134
(8pt)

蝶々殺人事件の感想

「本陣殺人事件」と並び称される本作であるが、個性的な金田一耕助と比して、由利麟太郎はその知名度といい、どうしても地味な印象が残る。でも、本作はあらゆるトリックやミステリの要素を取り入れ、鮮やかであった。コントラバスに詰められた死体というシチュエーションもとある作品からのヒントを得ているとのことで、あの時代にこれだけの作品が創れるのはさすがその名を知らぬ者はいない横溝。
しかし、横溝作品を読んだの何年ぶりだろう。読んだことのある横溝作品はいずれも金田一耕助ものであったことに今気づいた。由利麟太郎も忘れずに!
横溝正史:蝶々殺人事件 (角川文庫)
横溝正史蝶々殺人事件 についてのレビュー
No.133
(8pt)

空想の海の感想

11編の趣の異なる短編たち。
「海」で不思議な感覚を覚え、「髪を編む」で笑わせてもらい、
「耳に残るは」で背筋を冷やしてもらった。
「御倉館に収蔵された12のマイクロノベル」で唸らせていただき、
「この本を盗む者は」のスピンオフ「本泥棒を呪う者」は最も感動をくれた編。もう一度「この本を盗む者は」を読んでみようか。
そして「緑の子どもたち」で爽やかさを感じるうちに本作を閉じた。
改めて著者のバラエティ溢れる作品群に没頭できる数日間だった。
深緑野分:空想の海 (角川文庫)
深緑野分空想の海 についてのレビュー
No.132
(8pt)

小説 星守る犬の感想

原作者・村上氏によると、実際にあった事件がモチーフになっているらしい。犬好きなら感動的な作品ではあるが、後味はあまりいいとは言えない。亡くなった当人たちの本心も分からずに第三者がきっと幸せだったろう、と考えるのはどうも…
そういったことを美化したような印象も残る。現実的なことを考えると、そんな美しい話ではなさそうだし。
原田マハ:小説 星守る犬<新装版> (双葉文庫)
原田マハ小説 星守る犬 についてのレビュー
No.131
(8pt)

上水流涼子の究明: 合理的にあり得ない2の感想

比較的コミカル系のシリーズ第2弾。わかりやすいストーリーで、重いテーマが多い著者にしてみれば、閑話休題的な軽妙感。できれば重厚感のある作品の方が著者の長所が出ているとは思う。
TVドラマ化されているが、もしこれが、ドラマ化を前提に書かれたものだとすると、個人的には残念ではある。
柚月裕子:合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明
No.130
(8pt)

春の物語: 3分間ノンストップショートストーリー ラストで君は「まさか!」と言う12の感想

命名!「童話ミステリー」
ラストで「まさか!」とまでは言わないけど、どこかホッコリするお話が詰まっています。
なかでも「マスクの笑顔」「片割れ雛」「キミの名は……?」「卒業式の前日」「きみがこぼした花」は思わず笑みがこぼれてきます。癒やされたいときにオススメの25篇。
PHP研究所:ラストで君は「まさか! 」と言う 春の物語 (3分間ノンストップショートストーリー)
No.129
(8pt)

数学の女王の感想

爆弾事件といつテーマ自体に目新しさはないものの、なかなかによく練られているし、女性作家ならではの視点で場面、台詞などがきめ細やか。
数学を物語にはめ込んでいくなら、いっそのこと何やらややこしい数式を散りばめて、トリックなり事件解決に繋がる暗号のようなものにしていくと「数学」というものが生きたかも。
伏尾美紀:数学の女王 道警 沢村依理子 (講談社文庫)
伏尾美紀数学の女王 道警 沢村依理子 についてのレビュー
No.128
(8pt)

神様の絆創膏の感想

取ってつけたようなストーリーではある。これだけの材料をそろえたぞ、さぁ感動しろと押し付けられている感じはあった。でも、よく考えられた筋書きだし、生きる意味、宮司と男の子と猫がうまいこと配置されていて、ほっこりするシーン満載、本作の特徴ではあると思う。
個人的にも、それぞれの章の主人公にどこか通じるところがあったり、勇気をもらえたりして読んで損はない作品だと思いました。著者のこの路線、いいですよ、次も読みたいと思わせてくれました。
村瀬健:神様の絆創膏 (メディアワークス文庫)
村瀬健神様の絆創膏 についてのレビュー
No.127
(8pt)

小説家の一日の感想

「書く」ことをテーマにした十編の短篇小説。短篇小説の名手といわれるだけあり、「書く」だけでもこれだけ多彩に描けるのかと感銘うけるし、情景が(良くも悪くも)まざまざと浮かんでくる。
個人的には「凶暴な気分」がお気に入り。仕事の鬱憤、誰でも溜まってますよね。「窓」は初めから最後まで、気分、悪。「小説家の一日」はシリーズ化を希望。
井上荒野:小説家の一日
井上荒野小説家の一日 についてのレビュー
No.126
(8pt)

夢を喰う男 ダービー3勝を遂げた馬主、ノースヒルズ前田幸治の覚悟の感想

ノンフィクション小説だけあって、人物や馬名はすべて実名で読みやすい。小説としてみると大きな紆余曲折がなく、あまりにも順風満帆で物足りなさもあり、前田一族のサクセスストーリーをそこまで見せられても…というのはあるが、それでもノースヒルズの馬は今後も気にしていこうとは思う。
今年は出走馬がなかったダービー、来年は?もう3勝もしているからいい?いやいや欲望は果てしなく。

本城雅人:夢を喰う男 ダービー3勝を遂げた馬主、ノースヒルズ前田幸治の覚悟
No.125
(8pt)

予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してるの感想

読了後、自暴自棄という言葉が脳裏に残った。好きになった人、友に裏切られ、目指したことが思わぬ方向に行ったことで目標を失い…青春時代に誰もが陥る暗闇をミュージシャン兼作家ならではの物語を披露してくれた。どの作品にもいえると思うが、表現や使われる言葉の数々がわかりやすい中にも胸をうち、さすが独特の歌詞で楽しませてくれる曲の世界が著作にも生きていると感じた。またしても次回作の期待度が増してきた。
黒木渚:予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる
No.124
(8pt)

鴨川食堂しあわせの感想

毎度おなじみのストーリーながら、今回も胸を打つ家族の物語が6つ。食べ物にまつわる思い出というのは生きていくうえで欠かせないだけに、心に残るんだな〜と。
「フィッシュアンドチップス」が食べたくて仕方がない今日このごろ。
柏井壽:鴨川食堂しあわせ (小学館文庫 か 38-12)
柏井壽鴨川食堂しあわせ についてのレビュー
No.123
(8pt)

真・慶安太平記の感想

由比正雪の乱、慶安の変などは名前は聞いたことがあっても、内容までは知らなかったが、それをあえて取り上げた著者のセンスに拍手!
物語としてはやや盛り上がりに欠けたきらいはあるが、保科正之や祖心尼の描き方、由比正雪の登場のさせ方は著者ならでは。日本史の新たな1ページを勉強できました。
真保裕一:真・慶安太平記 (講談社文庫)
真保裕一真・慶安太平記 についてのレビュー
No.122
(8pt)

カミサマはそういないの感想

皆が”神頼み”をしに行くお正月に読了。
タイトルを念頭に読んでいくと、どの短編も「神様は試練は与えるだろうけど、本当に幸せにしてくれるんだろうか?」という感想をもたらしてくれる。
中でも「伊藤が消えた」「朔日晦日」では特に感じる。
「新しい音楽、海賊ラジオ」では音楽好きの私にはさわやかな音楽が聴こえてくる半面、厳しい状況に置かれている彼らの感情が苦しいほどに伝わってきた。彼らは意外に気楽そうに見えるが実はそうでもないんだなぁと...
野分には「戦場のコックたち」「ベルリンは晴れているか」という戦争ミステリの名作があるが、やはり「見張り塔」は読みごたえというか、戦地に置かれた兵士たちの哀しさがよく出ていた。野分さんの戦争ミステリは一級品!

深緑野分:カミサマはそういない (集英社文芸単行本)
深緑野分カミサマはそういない についてのレビュー